技術者の素顔

技術者の素顔技術者の思いをご紹介

高電圧遮断器のアクチュエータ開発技術 金谷 和長 専攻:機械工学

設計・解析から試験までを一貫したアクチュエータ(操作機構)開発

私が駐在する浜川崎工場では、特に高電圧・大電力に対応した送変電機器を生産しています。送変電機器とは、発電所から皆さんが生活している市街や家庭へ電力を送る機器のことで、主に変電所に設置されています。これらの機器には、電圧の昇降を行う変圧器や、事故が起きた際に停電範囲を最小限に留めるため瞬時に電流を遮断する遮断器などがあります。私はこの遮断器の開発、特に電流を投入・遮断するために接点を高速開閉するアクチュエータ(操作機構)の開発に携わっています。

学生時代に、日本の停電時間は他国よりも格段に短く、その根底は質の高い送変電機器が支えている、という話を研究室訪問された先輩から聞き、この分野に興味を持ちました。特に遮断器では、数10msの短時間で高速に接点を駆動し、かつ制動時の数トンの衝撃に耐え得る操作機構がコア技術の一つであり、機械系技術者として非常にやりがいのある仕事だと感じ、入社したいと思いました。

操作機構には、所望の駆動力を発生させ、力をロスなく伝達し、所定時間内に接点を駆動し、確実に制動する、といった性能が要求されます。さらに十分な強度を保ちつつ、コンパクトな大きさに納めなければいけません。私が所属している部門は操作機構開発の初期段階である基礎設計・解析から、最終的な性能確認試験までを一貫して担当できるため、自らが考案した部品や方式がそのまま製品に反映されることも多く、技術者としての醍醐味を感じています。最近の業務では、従来のばね力の代わりに電磁力を駆動力とした全く新しい操作機構を担当しており、最初に電磁力や制動力の解析コードの開発から始め、その後、解析技術をベースとした基礎設計を短時間で行いました。このように、新しい技術の創出と素早い製品化を常に念頭に置いた開発を心掛けています。

金谷写真

また、私が所属している技術開発センターでは基盤技術委員会という、他工場に駐在し様々な製品の開発を行っている部門との交流の場もあります。委員会では情報交換によって互いに刺激を受けると共に、時には共同して開発を行うこともあります。前述の解析コードの開発の際も、多部門の方々から技術協力を頂きました。このような活動によって知見や技術者間の繋がりを広げられるのも、本職場の魅力です。

余暇では、学生時代から続けているサイクリングをしています。サイクリングの魅力は、自分の力で遠くまで行けること、そこで食べる食事がとても美味しくなることです。一時サイクリングから遠のいていましたが、最近では職場の友人と一緒に出かけることもあり、サイクリングの楽しさを再確認しています。

これからも人との繋がりを大切にしつつ、送変電機器の技術開発に努めていきます。

(2016年2月執筆)

「技術者の素顔」のトップへ