技術者の素顔

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原子力材料の健全性評価技術 平林 潤一 専攻:システム創成学

原子炉内で使用される金属材料の健全性評価技術の開発

原子炉を安全かつ安定的に運用するためには、原子炉を構成する金属材料の特性変化を監視する必要があります。私が所属する材料技術開発部では、燃料の核分裂反応により生じる中性子、熱および冷却材として使用される水と金属材料との相互作用に係る研究開発に取り組んでいます。

平林写真

現在私は、既存の評価技術を更に発展させるための研究開発に携わっています。評価は実測と予測の両面から成り立っており、双方に開発目標を設定しています。例えば、材料の脆化量(脆さの指標)を非破壊手法により実測することや、脆化の進展を加速させた材料の作製・評価により数10年後の脆化量を予測することなどです。開発に取り組む際には、材料の劣化メカニズムをマルチスケールで理解することを意識しています。劣化はミクロスケールでの現象に起因しており、金属組織の変化として捉えることが出来ます。この組織変化が、材料の脆さや錆びやすさなどのマクロな機械特性・耐腐食特性の変化をもたらすのです。このことを踏まえて、ミクロとマクロの両面から実験や考察を進めています。また、社外の研究機関との共同研究を推し進め、多様な研究者の知識や経験を共有することで、より優れた技術を開発すると共に、開発した技術を異分野に応用するための着想を得ることも意識しています。

学生時代には特定の専門分野の研究に集中して取り組んできましたが、入社後には先輩社員からの丁寧な指導の下、自らの専門以外の分野へも視野を広げることや、時間をうまく活用して効率良く業務を進めることなどを意識してきました。現在では、初めて接する複数の専門分野の研究を同時並行で進められています。また、設計部門との議論や特許作成などの業務を通じて、研究成果を製品に反映させることの面白さを実感しています。

余暇には、ドライブやサイクリングなどのアウトドアと、読書や映画鑑賞などのインドアの両方を楽しんでいます。旅先で綺麗な景色に触れたり、読書や映画鑑賞を通じて自分の価値観が変わるような体験をすることで、良い気分転換が出来ています。余暇と仕事は相反するものではなく、余暇を充実させることで仕事に良い影響が出ることを実感しています。

(2019年9月執筆)

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