技術者の素顔

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水素電力貯蔵システムの効率化・長寿命化技術 犬塚 理子 専攻:応用化学

電気エネルギーを水素に変えて貯蔵するシステムの高効率化を担当

今、水素社会の到来に向けて、水素による電力貯蔵に関する技術の開発が盛んに行われています。太陽光発電などの再生可能エネルギーによる電力を用いて水を電気分解し、水素を生成することで、電気エネルギーを水素として、長期的にしかも大容量保存することが可能になります。これが水素電力貯蔵です。私は、この水素電力貯蔵システム向けに、水の電気分解を長期間、高効率に行うことができるスタックを開発しています。

一口に水の電気分解スタックと言っても、様々な技術が関わります。入社してからこれまでに、より高効率に水素を生成できる電極材料や、ガスの流し方、水素を外に漏らさないスタック構造、長寿命化のための材料など、多岐にわたる研究開発に携わってきました。

学生時代の専攻は化学系だったので、材料検討は専門知識をフルに使って進められる一方で、スタックの流路などの機械的な構造については関係する知識がなく、一から勉強する必要があったので、苦労しました。大学の研究と違って、企業で製品に向けた研究開発するためには、専門にこだわらず知識を広げる必要があることを痛感するとともに、このようにどんどん知識を広げる機会が得られることを、うれしく感じています。

解析やシステムに携わる技術者とも開発を進めており、異分野の技術が相互に連携し合って完成度を高めていくことの面白さも実感しています。一方、自分とは違う分野の技術者に自分の専門分野のことを伝える難しさも痛感しています。これも、東芝グループだからこそ体験できること。数多くの技術分野のエキスパートがそろい、お互いの専門的な知見を出し合う仕事のスタイルはとても刺激的です。


犬塚写真

生活面では、現在小さい子供がおり、もうすぐ2人目も産まれます。会社の制度と、上司や同僚に恵まれ、子供がいてもとても働きやすいと感じています。子供の用件で休みたいのに休めないとか、逆に簡単な仕事しか与えられないとか、そういうことは全くなく、私の目指すキャリアに真剣に向き合えています。仕事と子育てを両方するのは確かに大変ですが、どちらも面白く、やりがいのあることが二つも持ててぜいたくだなと思っています。

今後は、更に技術者として成長していくために知識や経験を増やし、学会発表や論文投稿も積極的に行って、博士の学位取得などにもチャレンジしていきたいと思います。

(2019年9月執筆)

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