大規模停電を防止する保護リレー

電力インフラを守り、安定供給を支えるための保護システムを紹介します。
保護システムは、落雷や鳥獣の接触などにより、電力系統・設備の異常(系統事故)が発生した際に、その異常(系統事故)を瞬時に検出し、異常のある区間(事故区間)を切り離す指令を出す役割を担っています。
これにより、 事故の波及を防止、あるいは最小化し、設備の損傷や大規模停電から電力系統を守ります。
近年では、ハードウェア及びソフトウェア技術の進歩により、⾼機能、⾼集積、⾼信頼なデジタル形保護リレーを開発し、電力の安全・安定な供給に貢献しています。

デジタル変電所における保護制御システム

効率的かつ高精度に電力を管理・制御する

変電所は発電所から効率よく電気を送るために、送電する電気を⾼圧に変換したり、需要家が使いやすい低圧に変換したりするために重要な役割を果たす施設です。
従来の変電所では、遮断器(CB)や断路器(LS)、変圧器、計器用変成器(CT/VT)と保護リレーや制御装置間の情報の授受は、設備毎に直接メタルケーブルを用いて行われているため、大量のメタルケーブルの敷設を必要としていました。
これに対しデジタル変電所では、LANケーブルを用いたローカルネットワークでこれらの情報授受を行う構成となるため、これまでの構成では送れなかった詳細情報なども伝送できるようになりました。また、これらの情報をサーバーなどに蓄積し、AIなどと組み合わせることで、装置異常の早期発見や要因分析、システムの自動復旧など新たな機能の実現にも貢献できます。

電力の安定供給を支えた、100年以上の伝統と誇り

東芝は、アナログ型の保護リレー開発から100年以上、主後一体形送電線保護リレーに代表される保護リレーの高度化、高機能化を進めています。

1907年 日本初の電磁機械形を開発
1970年代 アナログ静止形を開発
1980年 1チップCPUを採用したD1リレーを開発。世界に先駆けてデジタル形リレーの実用
1985年 マルチCPUを採用したD2リレーを開発。すべての保護方式をデジタル化
1994年 電協研第50巻第1号「第二世代デジタルリレー」準拠のD3リレーを開発
2006年 保護性能の更なる向上を図ったD4リレーを開発
1907年 日本初の電磁機械形を開発
1970年代 アナログ静止形を開発
1980年 1チップCPUを採用したD1リレーを開発。世界に先駆けてデジタル形リレーの実用
1985年 マルチCPUを採用したD2リレーを開発。すべての保護方式をデジタル化
1994年 電協研第50巻第1号「第二世代デジタルリレー」準拠のD3リレーを開発
2006年 保護性能の更なる向上を図ったD4リレーを開発

デジタル保護リレー

保護リレーとは、送電線など電力系統の設備に発生した事故(落雷など)を瞬時(数十ミリ秒)に検出し、事故区間を切り離し、停電時間を極小化するものです。電力の安定供給のために大変重要な役割を担っています。

事故の拡大・波及を防止する系統安定化システム

保護リレーと中央演算装置を活用し、広域停電を防止

電力系統で事故が発生すると大規模停電に至る恐れがあります。 東芝は、系統事故発生時に、発電機遮断などの制御を高速に行い、広域停電を防止する系統安定化システムを供給しています。
系統安定化システムは、制御内容を演算する中央演算装置、事故検出・制御選択・制御指令出力を行う中央制御装置と端末装置で構成されています。

小型軽量で信頼性の高い単機能リレー

高精度、小型・軽量のNシリーズ

デジタル形継電器で、高精度を実現(16ビットCPUを採用)。小型・軽量で耐震性・耐衝撃性を向上、自己監視機能を搭載し、高信頼性を実現しています。

高精度で高信頼性を実現するVシリーズ

デジタル形継電器で高精度を実現(16ビットCPUを採用)。単独でトリップに使用されるリレーは、2回路構成とし高信頼性を実現しています。また、常時監視機能及び相互監視機能*1を有し、不良発生時には外部警報を出力します。

*1:2回路構成の継電器のみ対応です。

『でんきの礎』を顕彰

『でんきの礎』とは、「21世紀においても持続可能な社会」を考える上で、20世紀に大きな進歩を見せ、「社会生活に大きな貢献を果たした電気技術」を振り返り、その中でも特に価値のあるものを顕彰し、その功績をたたえるものです。
創立120年を超える電気学会が創設しました。
第10回でんきの礎(2017年3月)で東芝の「デジタル技術による送電線電流差動保護方式」が顕彰されました。
また、第1回でんきの礎(2008年10月)で東芝の「ガス絶縁開閉装置」が顕彰されました。