KGI、KPIとは?
それぞれの意味や違い、設定方法を詳しく解説

KPIとKGIは、企業や組織の目標達成に向けて活用される重要な指標です。しかし、両者の違いや関係性を十分に理解しないまま運用すると、現場の活動が成果につながらず、目標管理が形骸化するおそれがあります。

KGIは最終的に達成したい成果を示す指標、KPIはその達成に向けたプロセスの進捗を測る指標です。それぞれの役割を理解し、適切に設定することで、組織全体の目標と日々の業務を結び付けやすくなります。

本記事では、KPIとKGIの意味や違い、設定するメリット、具体的な管理手順を解説します。営業・マーケティング・製造業・採用における設定例や、KSF・OKRとの関係も紹介するので、自社の目標管理にぜひお役立てください。

KGI・KPIとは?

KGIとKPIは、企業や組織が目標を設定し、達成状況を管理するための指標です。

両者は密接に関係していますが、測定する対象が異なります。KGIが最終的な成果を示すのに対し、KPIはその成果を生み出すまでのプロセスを測定する役割を担います。

まずは、それぞれの意味と具体例を確認しましょう。

KGIとは最終目標のこと

KGIとは「Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。企業や事業、プロジェクトが最終的に達成したい目標を、数値で示した指標です。

たとえば、次のような目標がKGIに該当します。

  •  年間売上高を1億円にする
  •  年間の新規契約件数を100件にする
  •  年度末までに営業利益率を15%以上にする

KGIには、売上高や利益率、契約件数など、最終的な成果を判断できる指標を設定します。「売上を伸ばす」といった抽象的な表現ではなく、達成すべき数値と期限を明確にすることが重要です。

設定期間は四半期・半年・1年など、事業計画やプロジェクトの期間に合わせて決定します。経営層や事業責任者だけでなく、部門の責任者もKGIを共有することで、組織全体が同じ目標に向かって取り組みやすくなるでしょう。

なお、KGIは企業全体の経営目標に限りません。部門やプロジェクト単位でも設定でき、上位組織の目標との整合性を保つことが大切です。

No.52 KGI

KPIとは目標達成までの進捗を測る指標

KPIとは「Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」などと呼ばれます。KGIという最終的な目標を達成するまでの進捗や、目標達成に重要な活動・中間成果を測るための指標です。

例えば、KGIを「年間売上高1億円」とした場合、次のようなKPIが考えられます。

  • 月間商談件数:100件
  • 商談からの受注率:20%
  • 平均受注単価:50万円

この例では、毎月100件の商談を行い、その20%を平均50万円で受注できれば、月間売上高は1,000万円となります。年間を通じて同じ水準を維持した場合、売上高は1億2,000万円となり、KGIの達成に必要な水準を上回る計算です。

このように、KGIから逆算してKPIを設定すれば、最終目標に向けて必要な活動量や成果水準を具体化できます。

KPIの確認頻度は、指標の性質に応じて日次・週次・月次などに設定するのが一般的です。定期的に数値を確認することで、目標とのずれを早期に把握し、施策や行動を見直しやすくなります。

ただし、KPIは必ずしも従業員が直接コントロールできる行動量だけを指すものではありません。商談件数などの活動指標に加え、受注率や顧客継続率といった中間成果もKPIとして活用されます。

KGIとKPIの違い

KGIとKPIの違いは、KGIが最終的に達成したい成果を示す指標であるのに対し、KPIはその達成に向けたプロセスの進捗を測る指標であることです。

KGIは「何を達成するのか」、KPIは「目標達成に向けて、どの数値を管理するのか」を明確にする役割を持っています。

両者の主な違いは、以下のとおりです。

比較項目 KGI KPI
意味 重要目標達成指標 重要業績評価指標
役割 最終的な成果を測定する 目標達成までの進捗を測定する
管理する対象 売上高や利益率などの最終成果 商談件数や受注率などの中間成果・活動
主な管理者 経営層・事業責任者 部門長・チームリーダー・現場担当者
確認頻度の例 月次・四半期・年度 日次・週次・月次
具体例 年間売上高1億円 月間商談件数100件、受注率20%


KGIとKPIは別々に設定するのではなく、最終目標であるKGIから逆算し、その達成に必要なKPIを設定することが重要です。両者を論理的に結び付けることで、日々の業務と最終的な成果の関係が明確になり、実効性のある目標管理につながります。

KGI・KPIを設定するメリット

KGIとKPIを適切に設定すると、最終目標と日々の業務のつながりが明確になり、組織全体で目標達成に向けた取り組みを進めやすくなります。

KGI・KPIを設定する主なメリットは、以下の4つです。

  • 目標達成に向けた行動が明確になる
  • 従業員のモチベーション向上が期待できる
  • 業績改善の要因を分析しやすくなる
  • 共通の基準で進捗を判断しやすくなる

それぞれのメリットについて、具体的に解説します。

目標達成に向けた行動が明確になる

KGIとKPIを設定することで、最終目標の達成に向けて必要な行動が明確になります。

例えば、営業部門で「年間売上高1億円」というKGIだけを設定しても、現場の従業員は何から取り組むべきか判断しにくいでしょう。

そこで、商談件数や受注率などのKPIに分解すれば、日々の活動と最終目標の関係を把握しやすくなります。

また、KPIを定期的に確認することで、目標とのずれを早期に発見できる点もメリットです。

KPIの状況 改善策の例
商談件数が不足している 新規顧客へのアプローチを強化する
受注率が低下している 提案内容や商談プロセスを見直す
平均受注単価が低下している 商品構成や価格設定を検討する


このように、進捗状況に応じて改善策を検討できるため、目標達成に向けた軌道修正がしやすくなります。

従業員のモチベーション向上が期待できる

KGIとKPIを適切に設定すると、従業員のモチベーション向上も期待できます。

最終目標だけを示された場合、従業員は自分の業務がどのように組織の成果につながるのか、実感しにくいことがあります。

一方、担当業務に関連するKPIが設定されていれば、取り組むべき行動や目指す水準が明確になり、日々の進捗も把握しやすくなるでしょう。

例えば、月間商談件数をKPIとして設定した場合、目標に対する進捗を週単位で確認することで、自身の取り組みを振り返ることができます。

ただし、数値目標を設定するだけで、必ずモチベーションが向上するわけではありません。

目標の意義を説明し、達成可能な水準を設定したうえで、上司が定期的にフィードバックすることも重要です。

従業員が目標に納得し、必要な支援を受けられる環境を整えることで、主体的な行動を促しやすくなります。

業績改善の要因を分析しやすくなる

KGIとKPIを論理的に結び付けることで、業績に影響する要因を把握し、改善施策を検討しやすくなります。

例えば、営業部門の売上高は、以下の計算式で分解できます。

【売上高の計算式】
売上高 = 商談件数 × 受注率 × 平均受注単価

この計算式をもとにKPIを設定すれば、売上高が目標に届かない原因が、商談件数・受注率・平均受注単価のどこにあるのかを分析できます。

例えば、商談件数が不足している場合は集客施策を強化し、受注率が低い場合は営業担当者の提案内容を見直すといった対応が考えられるでしょう。

また、売上高だけでなく利益率なども併せて管理することで、過度な値引きによる採算性の悪化を把握しやすくなります。

現場の活動と事業成果の関係を明確にし、改善を継続することが、企業全体の業績向上につながります。

共通の基準で進捗を判断しやすくなる

KPIを数値で明確に定義しておくことで、担当者の主観や印象に左右されず、誰が見ても同じ基準で進捗や成果を判断できるようになります。具体的な数値を基準にすることで評価の曖昧さを減らし、担当者によって評価が変わるといったばらつきを防ぎやすくなる点もメリットです。

数値という共通の判断材料があるため、会議での議論も具体的に進めやすくなるでしょう。

ただし、KPIの数値だけで従業員の貢献度を完全に評価できるわけではありません。担当業務の難易度や顧客の状況、チームへの貢献など、数値に表れにくい要素も存在します。

人事評価に活用する際は、定量的な指標と定性的な評価を組み合わせ、評価基準を従業員に共有することが大切です。

KGI・KPI管理の手順

KGIとKPIを効果的に運用するには、最終目標を明確にしたうえで、達成に必要な指標を設定し、継続的に進捗を管理することが重要です。

KGI・KPI管理は、以下の6つのステップで進めます。

  1. KGIを設定する
  2. KSFを設定する
  3. KPIを設定する
  4. 評価方法を策定する
  5. 定期的に測定する
  6. 結果を検証する

各ステップの具体的な進め方や注意点を押さえ、目標達成につながる管理体制を構築しましょう。

KGIを設定する

最初のステップは、企業や事業、プロジェクトが最終的に達成したい成果をKGIとして設定することです。

KGIは、その後に設定するKSFやKPIの基準となるため、達成すべき成果と期限を明確にしましょう。

例えば、「売上を増やす」という目標では、具体的な達成基準が分かりません。一方、「年度末までに年間売上高1億円を達成する」と設定すれば、目指す成果と期限が明確になります。

KGIを設定する際は、「SMARTの法則」を活用すると効果的です。

SMARTとは、目標設定で重視される5つの要素の頭文字を組み合わせたフレームワークを指します。

要素 意味 確認するポイント
Specific 具体的である 何を達成するのか明確か
Measurable 測定可能である 数値で達成度を判断できるか
Achievable 達成可能である 実績やリソースを踏まえた目標か
Relevant 関連性がある 経営方針や事業目標と関連しているか
Time-bound 期限が明確である いつまでに達成するのか決まっているか


例えば、過去の年間売上高が8,000万円であれば、売上高1億円を達成するために必要な成長率や営業体制を検討します。

そのうえで、過去の実績や市場環境、利用できる人員・予算などを踏まえ、目標の妥当性を確認することが大切です。

SMARTの法則を意識して具体的な数値と期限を設定することで、達成基準が明確になり、その後のKPIも設計しやすくなります。

KSF(重要成功要因)を設定する

KGIを設定したら、次にKSFを明確にします。

KSFとは「Key Success Factor」の略称で、日本語では「重要成功要因」と呼ばれます。KGIを達成するために、特に重要となる要因を示したものです。

例えば、KGIを「年間売上高1億円」とした場合、次のようなKSFが考えられます。

  • 新規顧客の獲得強化
  • 商談からの受注率改善
  • 既存顧客の取引額拡大

KSFを設定せず、最初から架電件数や商談件数などのKPIを決めてしまうと、測定しやすい数値ばかりを追いかける可能性があります。

しかし、売上が伸びない原因が受注率の低下にある場合、架電件数を増やすだけでは十分な改善につながらないでしょう。

そこで、顧客の獲得状況や商談プロセスなどを分析し、目標達成に影響する要因を特定します。

KGIで最終的な成果を決め、KSFで成功の鍵を明らかにし、KPIで進捗を測定するという順序が基本です。

KSFは市場環境や顧客ニーズの変化によって重要度が変わる場合もあるため、定期的に見直しましょう。

KPIを設定する

KSFを明確にしたら、目標達成に必要な要素を具体的な数値に落とし込み、KPIを設定します。

例えば、KGIを「年間売上高1億円」、KSFを「新規顧客の獲得強化」とした場合、新規商談件数や受注率などをKPIとして設定できます。

KPIを設定する際は、次の3点を確認することが重要です。

  • KGIやKSFとの関連性があるか
  • 数値を継続的に測定できるか
  • 現場の取り組みによって改善できるか

また、KGIとKPIの関係を整理する方法として「KPIツリー」があります。

KPIツリーとは、最終目標であるKGIを頂点に置き、達成に必要な要素を階層的に分解したものです。

例えば、売上高をKGIとした場合、以下のように整理できます。

区分 指標 目標値
KGI 年間売上高 1億円
KPI 年間商談件数 1,000件
KPI 受注率 20%
KPI 年間受注件数 200件
KPI 平均受注単価 50万円


この例では、年間1,000件の商談を実施し、その20%を受注できれば、年間受注件数は200件となります。さらに、平均受注単価が50万円であれば、年間売上高1億円を達成できる計算です。

年間売上高=年間商談件数1,000件×受注率20%×平均受注単価50万円=1億円

このように、KGIを構成する要素に分解し、それぞれのKPIを設定することで、最終目標の達成に必要な活動量や成果水準が明確になります。また、売上高が目標に届かない場合も、商談件数・受注率・平均受注単価のどこに課題があるのかを把握し、改善策を検討しやすくなるでしょう。

No.57 kpiツリー

評価方法を策定する

KPIを決めたら、設定した数値をどのように評価するのかを決めましょう。

同じ指標でも、計算方法や集計期間が統一されていなければ、正確な比較はできません。

例えば、「月間商談件数」をKPIとする場合、初回商談だけを対象とするのか、既存顧客との継続商談も含むのかによって結果が変わります。

そのため、以下の項目をあらかじめ明確にしておくことが重要です。

項目 決めておく内容
指標の定義 何を測定対象とするか
目標値 どの数値を達成基準とするか
集計期間 日次・週次・月次など
測定方法 使用するデータや計算式
管理責任者 誰が進捗を確認するか
未達時の対応 いつ、誰が、どのような対策を講じるか


特に、KPIが目標値を下回った場合の対応ルールを決めておくと、問題が発生した際にも速やかに行動できます。

例えば、受注率が2か月連続で目標を下回った場合、営業責任者が失注理由を分析し、提案内容の改善を検討するといったルールが考えられるでしょう。

また、評価結果は従業員にも共有し、今後の行動や改善につなげることが大切です。

定期的に測定する

KPIは設定して終わりではなく、決められたサイクルで継続的に測定する必要があります。

測定頻度は指標の性質に合わせて設定しましょう。

例えば、営業部門では次のように使い分ける方法があります。

測定頻度 KPIの例
日次 架電件数、新規アプローチ件数
週次 商談件数、提案件数
月次 受注率、平均受注単価


測定頻度が低すぎると、問題の発見が遅れ、目標達成に向けた改善が間に合わなくなる可能性があります。一方、変化の少ない指標を毎日確認すると、管理負担だけが増えてしまう場合もあるでしょう。

また、スプレッドシートや管理ツールを使って進捗を可視化しておけば、会議で数値を報告する時間を短縮できます。

結果を検証する

KPIを測定したら、目標値と実績を比較し、結果が生じた原因を分析します。

目標を達成できなかった場合は、行動量の不足だけでなく、施策の質や指標の設計そのものに問題がなかったかを確認することが重要です。

例えば、営業部門では以下のように原因と改善策を整理できます。

状況 考えられる原因 改善策の例
商談件数が不足 新規顧客へのアプローチ不足 集客施策や営業活動を見直す
商談件数は達成したが受注率が低い 提案内容や顧客との適合性に課題 失注理由を分析する
受注件数は達成したが売上が不足 平均受注単価が低い 商品構成や価格設定を見直す
KPIをすべて達成したがKGIは未達 指標の設計や計算上の前提に問題 KPIの関係性や目標値を再検討する


結果の検証には、PDCAサイクルを活用する方法もあります。

PDCAとは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)を繰り返し、業務を継続的に改善する考え方です。

KPIが未達となった原因を分析し、次の計画に反映することで、目標管理の精度を高められます。

また、すべてのKPIを達成しているにもかかわらずKGIが未達の場合は、KPIの選定や目標値が適切かどうかを検証する必要があります。

KPIの達成そのものを目的とせず、最終的なKGIの達成につながっているかを確認し続けることが重要です。

KGI・KPI管理を成功させるポイント

KGIとKPIは、数値目標を設定するだけでは十分に機能しません。目標管理を形骸化させないためには、指標の選び方や目標値の妥当性を確認し、現場で継続的に活用できる仕組みを整える必要があります。

KGI・KPI管理を成功させるポイントは、以下の4つです。

  • 客観的に評価できる指標にする
  • 実現可能な水準を指標にする
  • 従業員が理解しやすい指標にする
  • KGI・KPIのつながりを意識する

それぞれのポイントについて、具体例を交えながら解説します。

客観的に評価できる指標にする

KPIには、誰が測定しても同じ結果になるよう、明確に定義された指標を設定しましょう。

例えば、「営業活動を増やす」という目標では、具体的に何をどの程度増やせば達成と判断できるのかが分かりません。

一方、「営業担当者1人あたりの月間新規アプローチ件数を50件にする」と設定すれば、測定対象と期間、目標値が明確になります。

悪い例 良い例
営業活動を増やす 月間新規アプローチ件数50件
商談を積極的に行う 月間商談件数20件
顧客満足度を高める 顧客満足度調査の平均評価4.5点以上(5点満点)


さらに、アプローチ件数をKPIとする場合は、メールと電話のどちらを含むのか、同じ顧客への複数回の接触をどう数えるのかまで定義しておくと、担当者間で比較しやすくなります。

ただし、活動件数だけを重視すると、成果につながらない行動が増える可能性もあります。

そのため、アプローチ件数などの活動指標に加え、商談化率や受注率などの中間成果も確認することが重要です。

実現可能な水準を指標にする

KGIとKPIの目標値は、過去の実績や現場のリソースを踏まえ、根拠のある水準に設定することが大切です。

例えば、過去の年間売上高が5,000万円の企業が、十分な根拠を確認せずに翌年度の売上目標を10億円と設定しても、具体的な行動計画を立てることは難しいでしょう。

現実とかけ離れた目標は、従業員の意欲低下や、過度な業務負担を招く原因にもなりかねません。

目標値を設定する際は、次の項目を確認しましょう。

  • 過去の実績と成長率
  • 現在の人員数や業務量
  • 利用できる予算や設備
  • 市場環境や顧客ニーズ
  • 改善施策によって期待できる効果

なお、実現可能な水準とは、簡単に達成できる目標を意味するものではありません。組織の成長につながる挑戦的な目標であっても、達成に向けた施策や必要なリソースを具体的に説明できることが重要です。

従業員が理解しやすい指標にする

KPIは、従業員が自分の担当業務と結び付けて理解できる指標にしましょう。

例えば、経営層が管理する年間売上高や営業利益率を、そのまま営業担当者個人の目標に設定しても、日々の行動に落とし込みにくい場合があります。

そこで、商談件数や提案件数、受注率など、担当業務との関係が分かりやすい指標を設定することが大切です。

経営層が管理する指標の例 現場が管理するKPIの例
年間売上高 商談件数、受注率
年間新規顧客獲得数 新規アプローチ件数、商談化率
年間採用人数 面接実施数、内定承諾率


さらに、目標達成に必要な支援や業務上の課題について、従業員と定期的に話し合うことも重要です。

KGI・KPIのつながりを意識する

KGIとKPIを設定する際は、両者に論理的なつながりがあるかを確認しましょう。

KPIを達成しても最終目標であるKGIが改善しなければ、指標の選び方や目標値を見直す必要があります。

例えば、売上高をKGIとしているにもかかわらず、架電件数だけをKPIとして管理すると、電話をかける回数が増えても売上高が伸びない場合があります。

そこで、売上高に至るプロセスを以下のように分解します。

指標 関係性
売上高 受注件数 × 平均受注単価
受注件数 商談件数 × 受注率
商談件数 新規アプローチ件数 × 商談化率


このように整理することで、KGIの達成に必要な数値と、改善すべき項目が明確になります。

ただし、すべてのKPIが単純な計算式だけでKGIと結び付くわけではありません。例えば、顧客満足度の向上が顧客継続率に影響するという関係は、実績データをもとに検証する必要があります。

KGIから逆算してKPIを設定し、両者の関係を定期的に確認することが、実効性のある目標管理につながります。

KGI・KPIの具体例

KGIとKPIは、業界や部門によって設定すべき指標が異なります。営業、マーケティング、製造業、採用という4つの分野を例に、実際にどのような指標を設定すればよいのかを紹介します。

自社の状況と照らし合わせながら、指標設定の参考にしてください。

部門 KGIの例 KPIの例
営業 年間売上高5,000万円 ・年間商談件数250件
・受注率20%
・平均受注単価100万円
マーケティング 年間有効商談創出数120件 ・月間Webセッション数1万件
・リード獲得率0.5%
・MQLからの商談化率20%
製造業 年間良品生産数12万個以上 ・月間生産数1万500個以上
・良品率96%以上
採用 年間採用人数50人 ・年間最終面接人数400人
・内定率25%
・内定承諾率50%

営業の設定例

営業部門では、売上高や受注金額、新規契約件数などをKGIとして設定する方法が一般的です。

例えば、KGIを「年間売上高5,000万円」とした場合、以下のようにKPIを設定できます。

区分 指標 目標値
KGI 年間売上高 5,000万円
KPI 年間商談件数 250件
KPI 受注率 20%
KPI 平均受注単価 100万円


年間250件の商談を実施し、その20%を受注できれば、年間受注件数は50件となります。平均受注単価を100万円とした場合、年間売上高は以下のように算出できます。

【年間売上高の計算例】

  •  年間受注件数:250件×20%=50件
  •  年間売上高:50件×100万円=5,000万円

KGIから逆算してKPIを設定することで、目標達成に必要な商談件数や受注率が明確になります。商談件数だけでなく、受注率や平均受注単価も確認し、売上につながる営業活動を進めましょう。

マーケティング部門の設定例

マーケティング部門では、Webサイトへの集客や見込み顧客の獲得など、営業活動につながる成果をKGI・KPIとして設定します。

例えば、KGIを「年間有効商談創出数120件」とした場合、以下のような指標が考えられます。

区分 指標 目標値
KGI 年間有効商談創出数 120件
KPI 月間Webセッション数 1万件
KPI リード獲得率 1%
KPI MQL転換率 50%
KPI MQLからの商談化率 20%


MQLとは「Marketing Qualified Lead」の略称で、マーケティング部門が一定の基準を満たすと判断した見込み顧客を指します。

月間Webセッション数が1万件、リード獲得率が1%であれば、月間100件のリードを獲得できます。そのうち50%がMQLとなり、さらに20%が有効商談につながると仮定した場合、年間有効商談創出数は以下のように算出できます。

【年間有効商談創出数の計算例】

  • 月間リード獲得数:1万件×1%=100件
  • 月間MQL数:100件×50%=50件
  • 月間有効商談数:50件×20%=10件
  • 年間有効商談創出数:10件×12か月=120件

集客から商談創出までのプロセスを数値化することで、改善すべき指標を把握しやすくなります。リード数だけでなく、MQLへの転換率や商談化率も確認し、営業成果につながる施策を検討しましょう。

※計算例は、各月に獲得したリードが同じ月内に商談化し、重複計上がないことを前提としています。

製造業の設定例

製造業では、生産量・品質・納期・コストなどの指標を活用し、KGIとKPIを設定します。

例えば、KGIを「年間良品生産数12万個以上」とした場合、月間生産数と良品率をKPIとして管理する方法があります。

区分 指標 目標値
KGI 年間良品生産数 12万個以上
KPI 月間生産数 1万500個以上
KPI 良品率 96%以上


毎月1万500個を生産し、そのうち96%が良品であれば、月間良品生産数は1万80個となります。同じ水準で12か月間生産した場合、年間良品生産数は以下のように算出できます。

【年間良品生産数の計算例】

  • 月間良品生産数:1万500個×96%=1万80個
  • 年間良品生産数:1万80個×12か月=12万960個

生産量と良品率をKPIに設定することで、KGIの達成に必要な生産水準と品質水準が明確になります。生産量だけを追うのではなく、品質や安全性にも配慮しながら改善を進めましょう。

採用の設定例

採用部門では、年間採用人数や採用計画の充足率などをKGIに設定し、目標達成に必要な選考人数や内定承諾率などをKPIとして管理します。

例えば、KGIを「年間採用人数50人」とした場合、以下のような指標が考えられます。

区分 指標 目標値
KGI 年間採用人数 50人
KPI 年間最終面接人数 400人
KPI 最終面接からの内定率 25%
KPI 内定承諾率 50%


年間400人の最終面接を実施し、その25%に内定を出せば、内定者数は100人となります。さらに、内定承諾率が50%であれば、年間内定承諾者数は50人となる計算です。

【年間採用人数の計算例】

  • 年間内定者数:400人×25%=100人
  • 年間内定承諾者数:100人×50%=50人
  • 年間採用人数:50人×入社率100%=50人

最終面接人数や内定承諾率をKPIに設定することで、採用計画の達成に必要な選考人数を把握できます。ただし、内定承諾後の辞退も考慮し、入社率や入社後の定着状況も確認することが重要です。

※計算例は、内定承諾者全員が対象年度内に入社することを前提としています。

KGI・KPIと関連する用語

KGIとKPIを活用した目標管理では、KSFやOKRといった関連用語も理解しておくことが重要です。それぞれ役割が異なるため、違いを把握することで、目的に合った目標管理を行いやすくなります。

KGI・KPI・KSF・OKRの意味や特徴を、以下の表にまとめました。

用語 意味・役割 具体例
KGI 最終的に達成したい成果を数値で示す指標 年間売上高1億円
KPI 最終目標の達成に向けた進捗を測定する指標 月間商談件数100件
KSF 最終目標の達成を左右する重要な成功要因 新規顧客の獲得強化
OKR 目標と測定可能な主要成果を組み合わせた目標管理手法 ・目標:新規事業を成長させる
・主要成果:新規契約100件


ここでは、KSF・OKRの意味や特徴について解説します。

KSF

KSFとは「Key Success Factor」の略称で、日本語では「重要成功要因」と呼ばれます。最終目標であるKGIを達成するために、特に重要となる要因を示したものです。

KGIやKPIが数値で測定する指標であるのに対し、KSFは「何が成功の鍵になるのか」という要因や方向性を示す点に違いがあります。

例えば、営業部門では次のように設定できます。

項目 設定例
KGI 年間売上高1億円
KSF 新規顧客の獲得強化
KPI 月間新規商談件数100件


この場合、KGIを達成するために重要となる要因が「新規顧客の獲得強化」です。その進捗を具体的に測定する指標として、「月間新規商談件数100件」を設定します。

KSFを明確にすることで、KGIに関連性の低いKPIを設定してしまうことを防ぎやすくなります。

ただし、KSFは一度決めたら変更できないものではありません。市場環境や顧客ニーズ、自社の競争環境などが変化すれば、目標達成に重要となる要因も変わる可能性があります。

そのため、事業環境やKGIの達成状況を確認しながら、KSFとKPIの両方を定期的に見直すことが大切です。

OKR

OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、目標と主要な成果を組み合わせた目標管理手法です。

OKRは、次の2つの要素で構成されます。

要素 意味 具体例
Objective 何を達成したいのかを示す目標 顧客に選ばれるサービスを実現する
Key Results 目標の達成状況を判断するための測定可能な成果 顧客継続率95%、顧客満足度10ポイント向上


KPIが目標達成に向けた進捗を測る指標であるのに対し、OKRは目標と主要な成果を組み合わせた目標管理手法です。なお、挑戦的なOKRでは60〜70%程度の達成を良好と捉える運用もありますが、すべてのOKRに共通する基準ではありません。

KPIとOKRは、どちらか一方しか利用できないものではありません。

例えば、OKRで組織が目指す方向と主要な成果を明確にし、日々の業務の進捗をKPIで管理する方法も考えられます。

両者の特徴を理解したうえで、自社の目標管理の目的に合わせて活用しましょう。

No.48 okr

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KGIは最終的に達成したい成果を示す指標、KPIはその達成に向けた進捗を測る指標です。両者を適切に設定し、定期的な測定と改善を繰り返すことで、目標達成に向けた取り組みを進めやすくなります。

特に人事部門では、採用人数や定着率などの指標に加え、従業員情報を適切に管理し、人材育成や組織の課題解決につなげることが重要です。

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