OKRとは?
目標設定のやり方をわかりやすく解説

OKRとは、組織が達成したい目標と、その達成度を測る成果指標を組み合わせた目標管理手法です。経営目標と現場の仕事を結び付け、組織全体が重要な目標に集中できるようにするために活用されます。

一方で、「KPIやMBOとは何が違うのか」「具体的にどのような目標を設定すればよいのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。OKRは、仕組みを理解せずに導入すると、目標設定や進捗管理が負担となり、形骸化するおそれがあります。

本記事では、OKRの意味や導入目的、MBO・KPIとの違い、ObjectiveとKey Resultsの設定方法を具体例とともに解説します。

OKRとは?

OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、組織が目指す目標(Objective)と、その達成度を測る主要な成果指標(Key Results)を組み合わせた目標管理手法です。

OKRは、次の2つの要素で構成されます。

要素 意味・役割 設定例
Objective(O) 何を実現したいのかを示す定性的な目標 新規顧客から選ばれる営業組織になる
Key Results(KR) 目標にどこまで近づいたかを測る具体的な成果指標 新規顧客の受注率を20%から30%へ向上させる

 

Objectiveで目指す姿を明確にし、Key Resultsでその達成度を客観的に確認するのが基本的な仕組みです。

たとえば、経営方針として「新規顧客の獲得を強化する」と掲げた場合、営業部門は顧客開拓に関するOKRを設定し、マーケティング部門は見込み顧客の獲得に関するOKRを設定できます。

それぞれの目標が全社方針とどうつながるのかを共有すれば、部門間の協力や優先順位の判断がしやすくなるでしょう。

また、OKRは目標を設定して終わる仕組みではありません。定期的に進捗を確認し、課題を解消しながら、期間終了後に成果と学びを振り返ることまで含めて運用します。

OKRを導入する目的

OKRを導入する主な目的は、経営目標と現場の日々の仕事を結び付け、組織全体が同じ方向を向いて目標達成に取り組める状態をつくることです。

経営層が目標を掲げても、社員が自分の仕事との関係を理解できなければ、日々の業務で何を優先すべきか判断しにくくなります。

OKRでは、全社・部門・チームなどの目標を関連付け、それぞれがどのような成果を通じて組織に貢献するのかを可視化します。必要に応じて個人単位のOKRを設定することも可能です。

こうした仕組みにより、次のような状態を目指します。

  • 目標の共有: 経営方針と各部門の目標を結び付け、組織が目指す方向をそろえる
  • 優先順位の明確化: 重要な成果を絞り込み、限られた時間や人員を重点的に配分する
  • 部門間の連携: 各部門の目標や役割を共有し、協力が必要な業務を把握する
  • 挑戦と改善の促進: 達成状況を定期的に振り返り、課題の解消や次の行動につなげる

たとえば、営業部門が新規顧客の受注率向上を目指す場合、マーケティング部門による見込み顧客の質の改善が必要になるかもしれません。

両部門が目標を共有すれば、それぞれの活動を調整しながら共通の成果を目指せます。

OKRは個人の成績を管理するためだけの制度ではなく、組織の方向性をそろえ、重要な成果に向けた行動と学習を促す仕組みといえるでしょう。

OKRとMBO・KPIの違い

OKRとMBO・KPIは、いずれも目標管理に関わる考え方ですが、役割や使い方が異なります。

OKRは目標と成果指標を組み合わせた目標管理の仕組み、MBOは目標によるマネジメント手法、KPIは業務や成果の状態を測る重要な指標です。

それぞれの違いを整理すると、次のようになります。

比較項目 OKR MBO KPI
正式名称 Objectives and Key Results Management by Objectives Key Performance Indicator
主な目的 組織の方向をそろえ、挑戦や成果を促す 個人と組織の目標をすり合わせ、達成状況をマネジメントに活用する 重要業績評価指標として、目標達成に向けた業務の進捗や成果を数値で把握する
確認する頻度 四半期などの期間を設定し、週次などで進捗を確認することが多い 自社の目標管理・評価サイクルによって異なる 日次・週次・月次など、指標に応じて確認する
人事評価との関係 達成率だけを評価や報酬に直接連動させない運用が推奨される 人事評価に活用されることが多い 評価基準の一部として活用されることがある

 

MBOは目標の設定と達成状況の確認を重視するマネジメント手法であり、必ずしも人事評価への連動を前提とするものではありません。一方、KPIは目標管理制度そのものではなく、業務や成果の状態を把握するための指標を指します。

これらは必ずしも代替関係にあるわけではなく、自社の目的に応じて組み合わせることも可能です。

OKRとMBOの違い

OKRとMBOの主な違いは、目標管理の目的や運用方法、人事評価との関係です。

MBOは、組織と個人の目標をすり合わせ、達成状況をマネジメントに活用する手法です。企業によっては、目標の達成度を人事評価や報酬に反映します。

一方、OKRは、組織全体で目標を共有し、挑戦や部門間の連携を促す仕組みです。挑戦的な目標を設定しやすくするため、Key Resultsの達成率だけを人事評価や報酬に直接結び付けない運用が推奨されています。

OKRとKPIの違い

OKRとKPIの主な違いは、目標管理の仕組みか、業務や成果の状態を測る指標かという点です。

KPIは、目標達成に向けた進捗を数値で把握するための指標です。たとえば、営業部門では商談数や受注率などを設定し、日次・週次・月次などで継続的に確認します。

一方、OKRは、目指す状態を示すObjectiveと、その達成度を測るKey Resultsを組み合わせた目標管理手法です。単に数値を管理するのではなく、実現したい目標を明確にし、その達成に向けて組織の方向性をそろえます。

両者は併用でき、既存のKPIに目標値や期限を設定し、Key Resultsとして活用することも可能です。

OKRの目標設定方法|Objective・Key Resultsの作り方

OKRの目標設定では、まずObjectiveで「何を実現したいか」を言葉にし、その実現度をKey Resultsで測れる形にします。

重要なのは、目標を数多く設定することではなく、組織が優先すべき成果を絞り込むことです。

目標数に絶対的な決まりはありませんが、導入時は、ObjectiveとKey Resultsを重要なものに絞ると運用しやすくなります。

Objectiveを設定するポイント

Objectiveは、組織やチームが一定期間内に実現したい状態を、具体的でわかりやすい言葉で表した目標です。

単に売上や件数などの数値を並べるのではなく、「どのような状態を実現したいのか」「なぜその目標に取り組むのか」が伝わる表現にします。

たとえば、営業部門で「売上を伸ばす」という目標を掲げた場合、既存顧客への販売を強化するのか、新規顧客の獲得に取り組むのかが明確ではありません。

これを「新規顧客から選ばれる営業体制をつくる」と設定すれば、目指す方向性を共有しやすくなります。

Objectiveを設定する際は、特に次の3点を意識しましょう。

ポイント 設定の考え方
実現したい状態を明確にする 誰が読んでも目指す方向性を共有できる表現にする
組織の方針と結び付ける 全社や上位組織の目標達成に、どのように貢献できるかを確認する
重要なテーマに絞る 目標を増やしすぎず、限られた期間で優先すべき成果に集中する

 

Objectiveは定性的な表現を基本としながらも、抽象的すぎないことが重要です。

「最高の組織になる」といった表現では、何を実現すればよいのか判断できません。顧客や従業員、組織にどのような変化をもたらしたいのかまで具体化すると、Key Resultsも設定しやすくなります。

Key Resultsを設定するポイント

Key Resultsは、Objectiveをどの程度達成できたかを測るための具体的な成果指標です。

売上金額や受注率、顧客満足度、解約率など、客観的に確認できる指標を設定します。

たとえば、Objectiveが「顧客に選ばれるサービスを実現する」であれば、顧客満足度や継続利用率などがKey Resultsの候補になるでしょう。

設定する際は、次のポイントを押さえることが重要です。

ポイント 考え方
重要な成果に絞る Objectiveの実現度を判断するうえで重要な成果に絞る
成果を指標にする 活動の実施回数だけでなく、その活動によって生じた成果や変化を測る
達成基準を明確にする 現状値・目標値・期限を決め、達成状況を客観的に判断できるようにする
測定方法を決める データの取得元や更新担当者を明確にし、継続的に進捗を確認する

 

特に注意したいのが、Key Resultsとタスクの違いです。

「営業研修を3回実施する」は活動そのものを表しており、研修によってどのような成果が生まれたのかは判断できません。

研修を通じて営業力を高めたいのであれば、「営業担当者の商談受注率を20%から30%に向上させる」といった成果指標を検討します。

OKRの良い例・悪い例

OKRを適切に設定するには、ObjectiveとKey Resultsの役割を区別し、目標と成果の関係を明確にする必要があります。

たとえば、営業部門で新規顧客の獲得を強化したい場合を考えてみましょう。

Objective:売上を伸ばす

Key Results:

  • 新規顧客向けの営業資料を作成する
  • 営業研修を3回実施する
  • 毎週営業会議を開催する

この設定では、Objectiveが抽象的で、何を実現したいのか明確ではありません。

また、Key Resultsも資料作成や研修、会議の実施といった活動が中心になっています。すべて完了しても、新規顧客の獲得につながったかどうかは判断できないでしょう。

改善する場合は、次のように設定します。

Objective:新規顧客から選ばれる営業体制をつくる

Key Results:

  •  KR1:新規商談数を前四半期比30%増加させる
  • KR2:新規商談の受注率を20%から30%へ向上させる
  • KR3:初回問い合わせから提案までの平均所要日数を5日から3日以下に短縮する

改善後のOKRでは、Objectiveで目指す姿を示し、Key Resultsで商談数・受注率・提案スピードを数値化し、目標達成に向けた進捗を測定できるようにしています。

これにより、営業担当者は「どのような活動を通じて目標を実現するか」を具体的に検討しやすくなります。

ただし、数値はあくまで設定例です。実際には、過去の実績や市場環境、担当者の人数などを踏まえて現状値と目標値を決める必要があります。

また、すべてのKey Resultsを達成してもObjectiveの実現を判断できない場合は、指標の見直しが必要です。顧客から選ばれることをより直接的に測りたいのであれば、顧客側の評価や選定理由などを補助情報として確認する方法も考えられます。

人財管理ソリューションGeneralistの資料ダウンロードはこちら

OKRのやり方|設定から振り返りまでの運用手順

OKRを効果的に活用するには、目標を設定するだけでなく、組織内で共有し、進捗確認と振り返りを継続することが重要です。

一般的には、四半期などの期間を設定し、「設定・共有」「進捗確認」「振り返り」のサイクルで運用します。

OKRを設定・共有する

OKRの運用では、まず経営層が全社として優先する目標を明確にします。そのうえで各部門やチームが全社OKRを踏まえ、自分たちがどのObjectiveやKey Resultsの達成に貢献できるのかを整理します。

すべての目標をトップダウンで細かく分解するのではなく、上位目標とのつながりを意識しながら、各部門やチームが主体的に目標を考えることも重要です。

部門間で目標が重複・衝突していないかも確認しましょう。

個人OKRを設定する場合は、上司との1on1などを活用し、本人が主体的に取り組める内容になっているかを確認します。

設定後は、組織内でOKRを共有し、誰が何を目指しているのかがわかる状態にすることが大切です。

定期的に進捗を確認する

OKRは設定後に放置せず、週次などの定期的なチェックインで状況を確認します。

チェックインとは、Key Resultsの状況や課題を共有し、目標達成に向けた次の行動を決めるための短いミーティングです。

たとえば、次の内容を確認します。

  • Key Resultsの最新数値と目標値との差
  • 期限までに達成できる見通し
  • 進捗を妨げている課題や障害
  • 上司や他部門からの支援
  • 次回の確認までに取り組む具体的な行動

既存の定例会議や業務プロセスに組み込み、短時間でも継続して実施することで、目標が日々の業務から離れにくくなるでしょう。

単なる進捗報告で終わらせず、困っていることや他部署に求める支援まで確認し、次に取る行動を明確にすることがポイントです。

振り返りを次のOKRに反映する

設定した運用期間が終了したら、Key Resultsの達成状況を確認し、その結果に至った要因を振り返ります。

OKRの振り返りでは、単に「達成した」「達成できなかった」と判断するだけでは不十分です。

目標の難易度や実行した施策、必要なリソースの状況などを踏まえ、何が成果につながり、どこに改善の余地があったのかを整理します。

たとえば、次のような観点から確認するとよいでしょう。

  • 目標値や設定した期間は適切だったか
  • どの活動が成果につながったか
  • 想定外の課題や環境変化はあったか
  • 人員・予算・情報などのリソースは十分だったか
  • 次の期間でも継続すべき取り組みは何か

挑戦的な目標であっても、未達成の原因を分析する必要があります。

「難しい目標だったから達成できなくても問題ない」と考えてしまうと、改善の機会を逃すことになりかねません。

振り返りで得られた情報を次のObjectiveやKey Resultsへ反映し、目標設定と実行の精度を継続的に高めていくことが重要です。

OKRの達成率を人事評価に直接連動させない

OKRを運用する際は、Key Resultsの達成率だけを給与や賞与、昇格などの判断に直接連動させないことが重要です。

これは、OKRが組織の重要な目標への挑戦や協力を促す仕組みであるためです。

たとえば、挑戦的な目標の達成率が低いことを理由に人事評価を下げる制度にすると、社員は評価への影響を避けるために、確実に達成できる目標を設定する可能性があります。

また、Key Resultsの達成度は、本人の能力や努力だけで決まるとは限りません。市場環境の変化や他部門の事情など、本人が直接コントロールできない要因が影響する場合もあります。

そのため、OKRと人事評価は目的を区別して運用することが大切です。

項目 OKRで確認すること 人事評価で確認すること
主な目的 重要な目標への挑戦や組織の協力、継続的な改善を促す 社員の成果や役割遂行、組織への貢献を評価する
結果の見方 Objectiveの実現度、Key Resultsの進捗、課題や学び 成果、行動、能力、役割遂行、チームへの貢献など
達成率の扱い 結果とその要因を振り返り、改善に活用する 達成率だけで機械的に評価を決めない
活用する情報 目標、進捗、成果、振り返りの記録 自社の評価基準に沿った複数の情報

 

ただし、OKRと人事評価を完全に切り離し、OKRで得られた情報を一切使わないという意味ではありません。

OKRへの取り組みを通じて生まれた成果や、課題に対する行動、他部門への貢献などは、社員の仕事を振り返る際の参考情報になります。

重要なのは、「Key Resultsの達成率70%なら評価B」のように、達成率だけで人事評価を機械的に決めないことです。

自社の評価基準を明確にしたうえで、成果・行動・役割遂行・チームへの貢献などを総合的に判断することが、納得感のある人事評価につながるでしょう。

OKR導入を成功させるポイント

OKRを組織に定着させるには、目標設定の方法を理解するだけでなく、経営層と現場が目的を共有し、継続できる運用の仕組みを整えることが重要です。

特に、導入直後は目標の数が増えすぎたり、進捗確認が形式的な報告になったりする場合があります。

こうした形骸化を防ぐため、次の3つのポイントを意識しましょう。

経営層・管理職を巻き込んで小さく始める

OKRの導入では、経営層や管理職が目的や運用方法を理解したうえで、小規模な試験運用から始める方法があります。

最初から全社へ展開すると、目標の設定方法や進捗確認のルールが統一されず、現場に混乱が生じる可能性があるためです。

たとえば、1部門や1プロジェクトを対象に一定期間試験運用し、その間に定期的な進捗確認や振り返りを続けます。

その中で、次のような課題がないか確認しましょう。

  • ObjectiveやKey Resultsの数が多すぎないか
  • 目標の難易度や達成基準は適切か
  • 進捗の更新や確認が現場の負担になっていないか
  • 他部門との目標の重複や衝突が発生していないか

試験運用で得た課題と対応方法を整理してから対象を広げることで、全社展開時の混乱を抑えやすくなります。

また、経営陣だけで目標を決めるのではなく現場からも意見を集めることで、目標が一方的なノルマになるのを防ぎやすくなります。

運用ルールをシンプルにして形骸化を防ぐ

OKRを継続するには、目標や確認項目を増やしすぎず、日常業務の中で続けられるルールにすることが大切です。

前述のように、ObjectiveやKey Resultsの数を必要以上に増やさず、重要なものに絞ります。

運用中は週次などの定期的なチェックインを設け、数値の進み具合や達成への見通し、困っていること、次に取り組むことを確認しましょう。

確認項目や会議を増やしすぎると、OKRの管理自体が目的になることもあります。既存の定例会議などに組み込み、必要な内容に絞って継続することで、目標を設定したまま放置する形骸化を防ぎやすくなるでしょう。

目標・評価・人材情報を継続的に活用する

OKRで蓄積した情報は、達成率を確認して終わりにせず、次の目標設定や人材育成に生かすことが重要です。

期間終了時には、Key Resultsの実績に加えて、どのような行動を取ったか、何を学んだか、他のメンバーや部門にどのように貢献したかも振り返ります。

Key Resultsの達成率だけを給与や昇格へ機械的に結び付けるのではなく、人事評価では自社の評価基準に基づき、成果や行動、役割遂行、チームへの貢献など複数の観点から判断します。

適切な権限管理や情報の利用ルールを整えたうえで、目標や進捗、面談、評価などの情報を継続的に蓄積すれば、次のOKRを検討するだけでなく、人材育成や配置などを考える際の材料としても活用しやすくなるでしょう。

目標管理と人財データを人事戦略につなげるならGeneralist

OKRは、組織が目指す目標と成果指標を明確にし、経営目標と現場の業務を結び付ける目標管理手法です。導入時にはObjectiveとKey Resultsを適切に設定し、定期的な進捗確認と振り返りを通じて、継続的に改善することが重要になります。

また、OKRで得られた成果や課題を目標管理だけで終わらせず、人材育成や適材適所の人員配置などの人事施策に生かすには、人事情報を一元的に管理・活用できる環境づくりも欠かせません。

人財管理ソリューション「Generalist」は、人事・給与管理から就業管理、人材育成、タレントマネジメントまで幅広い領域を支援します。人財情報の一元管理やスキルの可視化を通じて、計画的な人材育成や配置の検討を支援します。

目標管理制度を見直したい方や、人財データを人事戦略に生かしたい方は、ぜひGeneralistをご検討ください。

人財管理ソリューションGeneralistへのお問い合わせはこちら