扱う商品の特徴から他の業界にはない課題を多く抱えるアパレル物流ですが、それらの課題は物流倉庫への自動化機器の導入など、物流業務全体の効率化により改善することができます。アパレル物流を高度化するためのポイントをご紹介します。

輸送や通関手続きに時間がかかっても、必要なタイミングで商品を店舗に届け、販売機会を逃さないよう、物流倉庫で自動化機器を導入し、リードタイムを削減する取り組みが行われています。また、長いサプライチェーンの中で、商品の在庫数や入出荷数をデータで一括管理することにより、スピード感のある物流ネットワークの構築が試みられています。

ピッキングのヒューマンエラーを減らすため、アパレル業界の物流倉庫ではソーターや棚搬送ロボットシステムが導入されています。これらの自動化機器は、ピッキングする商品を人のもとに自動で運び、作業者に対し、どの商品を何個ピッキングするか指示するため、サイズ・カラーの違いや類似商品などのピッキングミスを防ぐことができます。また、梱包においても、商品に合わせた最適な箱詰め方法や箱サイズをシステムが指南してくれるため、高速かつ丁寧な流通加工が可能です。​

ソーターや棚搬送ロボットシステムは、ハンガーや段ボールなど、複数の保管形態に対応しています。例えば棚搬送ロボットでは、棚の間口サイズを調整することで、様々な商品を効率的に収納できるため、従来の保管棚よりもより省スペースで多くの商品を保管することが可能です。ロボットにより商品が自動で人のもとへ運ばれるため、作業者が広大な保管スペースで商品を探して歩き回る時間も削減できます。

アパレル業界では、季節やトレンドに合わせて流通量が変化しますが、ピッキング自動化機器で蓄積された入出荷データを分析することにより、年間の入出荷量の波動を予測することが可能です。また、返品による再入荷もシステム上で管理できるため、商品の入れ替わりによる管理ミスを防ぎ、適切な在庫管理を実現します。
また、近年では、バーコードタグにかわってRFID（電波を用いたタグの読み取りシステム）による商品管理も進んでいます。RFIDは、電波が通じる距離であれば、バーコードが見えなくてもタグを読み取ることができるため、従来よりも多くの商品情報を短時間で管理することができ、入出荷の検品や仕分け、在庫管理の効率化に役立ちます。RFIDは、物流倉庫内だけでなく、店舗の棚卸やバックヤードの在庫管理にも用いられています。

保管やピッキングを効率化する自動化機器は、盗難防止にも効果があります。例えば、自動倉庫は保管エリアに人が入ることができないため、作業者が高価な商品に触れる機会を減らすことができます。また、自動倉庫や棚搬送ロボットシステムでは、保管エリアと人のピッキング作業エリアを商品が出入りする際、出入りする商品の数や品名をシステムがチェックしています。これにより、高級品の盗難を防止することができます。