休職手当(傷病手当金)とは?
支給条件や期間・企業の対応ポイントを人事担当者向けに解説

「休職手当」という言葉は一般的に使われていますが、正式な制度名ではありません。実際には、健康保険の「傷病手当金」を指すケースもあり、休業手当や労災保険給付との違いを正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、傷病手当金の支給条件や支給期間、支給額、人事担当者が押さえておきたい実務対応や労務リスクまで、企業側の視点で分かりやすく解説します。

休職手当とは?

休職手当は、法律で定められた正式な制度名ではありません。業務外の病気やケガで働けないときに支給される「傷病手当金」を指して使われることが多い言葉です。

どの制度を利用できるかは、以下の表のとおり、休む原因によって異なります。

制度 対象となる主な状況 支給元
傷病手当金 業務外の病気やケガで働けない 勤務先を通じて加入している健康保険
休業手当 会社の都合で仕事を休まされた 会社
労災保険給付 業務上または通勤による負傷・疾病の療養のため、働けない 労災保険


また、会社が独自に休職中の見舞金や補償制度を設けている場合もあります。ただし、法律で一律に支払いが義務づけられているものではありません。休職を検討するときは、休む原因を整理したうえで、勤務先の就業規則と加入している健康保険の案内を確認しましょう。

参考:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します)

傷病手当金との違い

業務外の病気やケガで働けない場合は、傷病手当金を受け取れる可能性があります。会社ではなく、協会けんぽや健康保険組合など加入している健康保険から支給される制度です。

原則として、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

引用:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します)

待期とは、支給が始まる前に必要な休業期間です。同じ病気やケガについて通算1年6ヶ月まで受給できます。

休業手当との違い

休業手当は従業員の体調ではなく、会社側の事情で仕事を休ませた場合に支払われるお金です。使用者の責めに帰すべき事由によって所定労働日に従業員を休業させた場合、会社は原則として平均賃金の60%以上の休業手当を支払います。

一方、本人が業務外の病気やケガで働けず休職する場合は、通常の休業手当の対象とは異なります。この場合、会社から給与が支払われるとは限らないため、傷病手当金の利用や会社独自の補償制度の確認が必要です。

人事担当者は、休職理由や給与の取り扱いを確認したうえで、休業手当と傷病手当金の違いを従業員へ適切に案内しましょう。

参考:働き方のルール (PDF形式)(8.45MB)(東京労働局のサイトに遷移します)
参考:休業手当(平均賃金の60%以上)の計算方法 (PDF形式)(1020KB)(大分労働局のサイトに遷移します)

労災保険給付との違い

仕事や通勤が原因で病気やケガをした場合は、傷病手当金ではなく労災保険給付が中心になります。労災保険は仕事中の事故だけでなく、業務による病気や通勤途中のケガも対象となる制度です。

原則として休業4日目以降は、給付基礎日額の60%の休業(補償)等給付に、20%の休業特別支給金が加わり、合計80%相当が支給されます。給付基礎日額とは、事故が起きる前の賃金をもとに算出する1日当たりの金額を指します。

人事担当者は、まず発症・負傷の経緯を確認し、業務や通勤との関連が疑われる場合は、労災保険の請求手続きを案内しましょう。労災の可能性がある場合は、健康保険ではなく労災保険の手続きを案内するとともに、必要に応じて労働基準監督署への相談を促します。

参考:労働災害が発生したとき(厚生労働省のサイトに遷移します。)
参考:労災保険制度の概要(厚生労働省のサイトに遷移します。)
参考:休業(補償)等給付の計算方法(厚生労働省のサイトに遷移します。)

休職手当(傷病手当金)の支給条件

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けず、勤務先の健康保険に加入している従業員が一定の条件を満たした場合に受け取れる制度です。休職しただけで自動的に支給されるわけではなく、支給の可否は加入している健康保険者が判断します。

人事担当者は従業員が支給要件を満たしているかを確認するとともに、必要な手続きや申請方法を適切に案内することが重要です。

ここでは、休職手当(傷病手当金)の支給条件について解説します。

  • 支給対象者
  • 支給要件
  • 待期期間
  • 休職手当が支給されないケース

参考:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します。)

支給対象者

傷病手当金の対象となるのは、原則として勤務先の健康保険に加入している被保険者です。被保険者とは、勤務先を通じて健康保険に加入している本人を指します。

また、正社員だけでなく、健康保険の加入要件を満たすパート・アルバイト・派遣社員も対象となる場合があります。

人事担当者は、雇用形態だけで対象外と判断せず、従業員が健康保険の被保険者であるかを確認することが重要です。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構のサイトに遷移します。)
 

支給要件

傷病手当金を受けるには、業務外の病気やケガで仕事に就けず、休業中に十分な給与を受けていないことが基本的な条件です。

仕事に就けない状態は労務不能と呼ばれ、医師の意見だけでなく本人の仕事内容も踏まえて判断されます。そのため、病名だけで支給が決まるわけではなく、通院しながら勤務できる場合と勤務の継続が難しい場合では判断が異なるので、注意が必要です。

また、休業中に給与が一部支払われていても、その額が支給される傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されることがあります。

人事担当者は、休職理由や給与の支給状況を確認し、従業員が支給要件を満たしているかを踏まえて、健康保険者への申請を案内しましょう。

待期期間

傷病手当金を受けるには、連続する3日間の待期期間を満たす必要があります。待期期間とは、傷病手当金の支給開始前に必要となる休業期間です。この3日間には、欠勤日のほか、有給休暇や土日祝日などの公休日も含まれます。

また、待期期間が完了すると、4日目以降の休業が傷病手当金の支給対象となる可能性があります。ただし、待期の3日間の途中に出勤した場合は連続性が途切れるため、待期が成立しません。

人事担当者は、出勤日や欠勤日、有給休暇、公休日を整理したうえで、待期期間の考え方や申請の可否について、加入している健康保険者へ確認するよう従業員へ案内しましょう。

休職手当が支給されないケース

傷病手当金は、休職していても支給要件を満たさなければ受給できません。主なケースは以下のとおりです。

  • 業務上または通勤中の病気やケガで、労災保険の対象となる場合
  • 医師の意見などを踏まえ、仕事に就けない状態(労務不能)と認められない場合
  • 連続する3日間の待期期間を満たしていない場合
  • 休業期間中に給与が支給され、その額が傷病手当金以上である場合

なお、休業期間中に給与が支給されていても、その額が傷病手当金より少ない場合は差額が支給されることがあります。また、休職中の就労状況によっては支給の可否に影響する場合があるため、人事担当者は必要に応じて健康保険者へ確認するよう案内しましょう。

休職手当の支給期間と支給額

傷病手当金は、同一の病気やケガについて、傷病手当金が支給された期間を通算して1年6ヶ月を限度として支給されます。

支給開始には連続する3日間の待期期間を満たす必要があり、支給額は標準報酬月額をもとに算出されます。そのため、人事担当者は従業員へ支給期間や支給額の目安を案内するとともに、給与や社会保険料などの取り扱いについてもあわせて説明することが重要です。

ここでは、休職手当(傷病手当金)の支給期間と支給額について解説していきます。

参考:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します。)

支給期間

傷病手当金では、同一の病気やケガについて、実際に支給された期間を通算して1年6ヶ月まで受給することが可能です。なお、傷病手当金の支給期間と会社の休職期間は異なり、それぞれ別の制度として扱われます。

復職後に同じ病気やケガで再び働けなくなった場合でも、一定の条件を満たせば、残りの支給期間について傷病手当金を受給できることがあります。人事担当者は、個別の支給期間について加入している健康保険者へ確認するよう案内しましょう。

支給開始日

傷病手当金は、連続する3日間の待期期間を満たした後、4日目以降の休業から支給対象となります。待期期間には、欠勤日だけでなく、有給休暇や土日祝日などの公休日も含まれます。

ただし、途中で出勤した場合は原則として待期期間を満たしたことにならず、あらためて連続する3日間の待期期間が必要です。

人事担当者は、勤務記録や給与の支給状況を確認し、待期期間の考え方や支給開始日について適切に案内しましょう。

支給額の計算方法

傷病手当金の1日当たりの支給額は、原則として「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2」で算出します。被保険者期間が12ヶ月未満の場合は、別の基準が適用されます。

標準報酬月額とは、毎月の報酬を一定の等級に区分したものです。社会保険料や各種給付額の算定に用いられます。

休業期間中に給与が支給される場合でも、その額が傷病手当金より少ない場合は差額が支給されることがあります。人事担当者は、具体的な支給額については加入している健康保険者へ確認するよう従業員へ案内しましょう。

退職後の受給条件

退職後も傷病手当金を受給するには、退職前から一定の条件を満たしている必要があります。主な要件は、以下のとおりです。

  • 資格喪失日の前日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  • 資格喪失日の前日に傷病手当金を受給している、または受給要件を満たしている

また、退職後にいったん就労できる状態となった場合は、その後に同じ病気やケガで再び働けなくなっても継続給付の対象とならないことがあります。人事担当者は、退職日や最終出勤日の状況によって受給可否が異なる場合があることを説明し、詳細は加入している健康保険者へ確認するよう案内しましょう。

人事担当者が押さえたい休職手当の実務対応

人事担当者は、傷病手当金の申請案内と会社の休職手続きを分けて説明する必要があります。また、休職中は給与だけでなく社会保険料や住民税、有給休暇、労災保険などの取り扱いについても適切に案内することが重要です。

ここからは、給与や社会保険料、住民税など、休職中の各制度の取り扱いについて詳しく解説します。

給与・社会保険・住民税の取り扱い

休職中の給与の有無は、会社の就業規則や独自の補償制度によって異なります。

傷病手当金は非課税です。一方、休職中も被保険者資格が継続する場合は、原則として健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の負担が続きます。

給与の支給がなく、社会保険料を給与から控除できない場合は、本人負担分を別途徴収するなどの対応が必要です。また、給与から住民税を控除できない場合は、本人から別途徴収して特別徴収を継続するか、普通徴収へ切り替えるかを、自治体の手続きと社内運用に沿って確認します。

人事担当者は、休職中の給与の有無だけでなく、社会保険料や住民税の納付方法についても事前に説明し、従業員が安心して療養に専念できるようサポートしましょう。

参考:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:厚生年金保険料等の納付(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:給与所得(国税庁のサイトに遷移します。)
参考:保険料の計算方法について(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:特別徴収をやめる【異動届出書】(神戸市のサイトに遷移します。)

雇用形態別の適用範囲

傷病手当金の対象になるかどうかは、正社員やパートといった雇用形態ではなく勤務先の健康保険に加入しているかで判断されます。そのため、加入要件を満たすパート・アルバイト・派遣社員も対象となる場合があります。

一方、派遣社員は雇用契約を結んでいる派遣元の健康保険に加入しているケースが一般的です。

人事担当者は、雇用形態だけで判断せず、加入している健康保険の種類を確認したうえで案内しましょう。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構のサイトに遷移します。)

有給休暇との関係

有給休暇を取得した日も、傷病手当金の支給前に必要な連続3日間の待期期間に含められます。ただし、有給休暇を取得して給与が支払われる日は、原則として傷病手当金の支給対象にはなりません。給与額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されることがあります。

そのため、人事担当者は、有給休暇が待期期間に含まれることと、実際に傷病手当金が支給される日とは異なることを分けて説明することが重要です。

有給休暇については、以下の記事で詳しく解説しています。

No.19 年次有給休暇管理簿
参考:よくある質問(東京都医業健康保険組合のサイトに遷移します。)
参考:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します。)

労災保険との関係

病気やケガが業務や通勤に起因する場合は、傷病手当金ではなく労災保険(労働者災害補償保険)の対象となる可能性があります。労災保険は、仕事中の事故や業務が原因の病気、通勤中のケガなどを補償する制度であり、傷病手当金とは申請先や必要書類が異なります。

そのため、人事担当者は休職理由だけでなく、発症や負傷に至った経緯も確認することが重要です。業務や通勤との関連が疑われる場合は、労災保険の対象となる可能性があることを従業員へ説明しましょう。必要に応じて、社内の担当部署や労働基準監督署への相談を案内することも大切です。

参考:労災補償(厚生労働省けんぽのサイトに遷移します。)
参考:労災保険給付の概要 (PDF形式)(6.63MB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

人事担当者が休職手当について従業員に説明する際のポイント

従業員へ制度を案内する際は、「休職手当」という正式な制度はなく、実際には傷病手当金などの制度を利用することを最初に説明しましょう。また、会社の休職制度と傷病手当金の申請は別の手続きであり、それぞれ申請先や必要書類が異なることもあわせて伝えることが大切です。

以下の表では、人事担当者が従業員へ説明する際に確認しておきたい内容と、主な確認先をまとめています。

確認する内容 主な確認先 説明するポイント
休職期間や給与の有無 会社の人事・総務 就業規則に基づく休職制度や給与の取り扱いを説明する
傷病手当金の対象や支給時期 協会けんぽや健康保険組合 支給の可否は健康保険者が判断することを伝える
働けない期間や就労上の制限 主治医 医師の意見書や申請書の記入が必要になることを説明する
仕事や通勤との関係 会社の担当部署や労働基準監督署 労災保険の対象となる可能性がある場合は相談先を案内する



制度を説明する際は、一度に多くの情報を伝えようとせず、従業員が次に何をすればよいかを順番に案内することが重要です。

例えば、主治医の受診、会社への休職申請、傷病手当金の申請という流れを整理して伝えることで、手続きの漏れや制度の取り違えを防ぎやすくなります。

休職者対応の実務フロー

休職者への対応では、休職開始から復職までの流れをあらかじめ整理しておくことが重要です。人事担当者は、会社の休職手続きと傷病手当金の申請を切り分け、それぞれの手続きや必要書類を適切なタイミングで案内する必要があります。

ここでは、休職者対応の実務フローについて解説します。

  1. 休職開始時の対応
  2. 診断書・必要書類の手配
  3. 傷病手当金の申請手続き
  4. 休職期間中のフォロー
  5. 復職判定・復職時の対応

休職期間中は対応漏れを防ぐためにも、時期ごとに確認事項を整理しながら進めることが大切です。

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休職開始時の対応

休職の相談を受けたら、まずは本人の体調に配慮しながら休職理由や業務・通勤との関連性を確認します。業務外の病気やケガであれば傷病手当金、業務や通勤が原因であれば労災保険の対象となる可能性があります。

そのうえで、就業規則に基づく休職条件や休職期間、給与の有無、会社への連絡方法を案内しましょう。また、傷病手当金が支給されても、社会保険料や住民税の納付が必要となる場合があります。

休職後の手続きや費用負担についても、あわせて説明しておくことが大切です。

参考:職場復帰支援の手引き (PDF形式)(2.71MB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

診断書・必要書類の手配

診断書と傷病手当金の申請書は、それぞれ目的が異なるため、分けて案内する必要があります。診断書は、会社が休職の必要性や療養期間を確認するための書類です。

一方、傷病手当金は、健康保険の支給申請書を提出して申請します。そのため、診断書を会社へ提出しただけでは、傷病手当金の申請は完了しません。

人事担当者は、会社と健康保険者への提出書類を整理したうえで、提出先や提出期限、主治医に記入を依頼する箇所を分かりやすく案内しましょう。

参考:健康保険傷病手当金支給申請書(協会けんぽのサイトに遷移します。)

傷病手当金の申請手続き

傷病手当金の申請には、本人だけでなく、会社と主治医の記入も必要です。本人は申請者情報や傷病の原因などを記入し、会社は勤務状況・給与支給状況、療養のため労務不能と認めた期間や傷病の状態などを記載します。

必要事項の記入が完了したら、協会けんぽや健康保険組合へ申請書を提出します。人事担当者は、事業主記入欄の記入漏れや、勤務記録・給与記録との不整合がないかを確認しましょう。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:健康保険傷病手当金支給申請書(協会けんぽのサイトに遷移します。)

休職期間中のフォロー

休職中の連絡は、本人の療養を妨げない範囲で、必要な手続きに絞って行うことが大切です。休職開始時に、連絡担当者や連絡方法、確認する内容をあらかじめ共有しておくと、行き違いや本人の負担を減らしやすくなります。

確認事項としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 療養期間の見込み
  • 傷病手当金の申請状況
  • 休職期間の更新
  • 社会保険料や住民税の納付状況

一方で、健康状態に関する情報は、休職対応に必要な範囲で収集し、社内で共有する相手も必要最小限にとどめることが重要です。

参考:職場復帰支援の手引き (PDF形式)(2.71MB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

復職判定・復職時の対応

会社は、主治医の意見に加え、本人の仕事内容や職場環境、必要に応じて産業医の意見を踏まえ、復職の可否を判断します。産業医が選任されている場合は、必要に応じて面談を実施し、専門的な意見を確認しましょう。

復職が決まったら、担当業務や勤務上の配慮、体調が悪化した場合の連絡方法などを本人と共有します。また、復職直後から従前どおりの業務を任せるのではなく、必要に応じて勤務時間や業務量を調整することも重要です。段階的に職場へ復帰できるよう配慮することで、再休職のリスク軽減につながるでしょう。

参考:職場復帰支援の手引き (PDF形式)(2.71MB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

休職手当の労務リスクとトラブル防止策

休職者対応では、制度の案内不足や復職判断の進め方によって、従業員との認識に違いが生じることがあります。こうしたトラブルを防ぐには、就業規則や社内ルールに沿って対応し、説明内容や判断の経緯を記録しておくことが重要です。

ここでは、休職者対応で起こりやすい労務リスクについて、それぞれの注意点と防止策を詳しく解説します。

  • メンタルヘルス不調への対応
  • 傷病手当金の誤案内
  • 復職可否の判断
  • 休職期間満了時の対応
  • 解雇・退職時の留意点

メンタルヘルス不調への対応

メンタルヘルス不調による休職では、本人の療養を優先して考え、必要以上に詳細な事情を確認しないことが重要です。診断名や治療内容などの健康情報は、休職対応に必要な範囲にとどめ、共有する相手も必要最小限とします。

また、連絡窓口や連絡頻度をあらかじめ決めておくと、本人の負担を抑えながら必要な手続きを進めやすくなります。確認事項は、傷病手当金の申請状況や休職期間の更新などに絞るとよいでしょう。

対応した内容や判断の経緯を記録しておくことで、後のトラブル防止にもつながります。

参考:職場復帰支援の手引き (PDF形式)(2.71MB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

傷病手当金の誤案内

傷病手当金は、会社が支給の可否を決める制度ではありません。会社は申請書の事業主記入欄に勤務状況や給与の支給状況を記載しますが、支給の可否は健康保険者が判断します。

また、支給額や振込時期を確定事項として案内したり、診断書を会社へ提出すれば申請が完了すると説明したりすると、後から認識の違いが生じるおそれがあります。人事担当者は、会社が対応する手続きと健康保険者が判断する事項を分けて説明し、詳細は健康保険者へ確認するよう案内しましょう。

参考:傷病手当金(協会けんぽのサイトに遷移します。)

復職可否の判断

復職の可否は、主治医の意見だけで判断せず、仕事内容や勤務環境も踏まえて総合的に判断することが重要です。主治医は治療の立場から意見を示しますが、職場の業務内容や通勤状況まで把握していない場合があります。

そのため、会社に産業医がいる場合は面談を実施し、勤務時間や業務量、通院への配慮が必要かを検討しましょう。あわせて、復職の判断基準や手順を社内で統一し、検討内容を記録しておくことで、後のトラブル防止にもつながります。

参考:職場復帰支援の手引き (PDF形式)(2.71MB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

休職期間満了時の対応

休職期間が満了する場合は、期限直前ではなく、就業規則の内容や今後の手続きを早めに本人へ説明することが重要です。あわせて、休職期間の延長可否や復職に必要な書類、満了後の取り扱いについても確認しておきましょう。

休職期間満了後の対応は、就業規則を基本としつつ、本人の回復状況、配置可能な業務、必要な配慮などを確認したうえで慎重に判断する必要があります。

ただし、事情を十分に確認しないまま機械的に手続きを進めると、後のトラブルにつながるおそれがあります。本人が意見を伝える機会を設けるとともに、確認内容や判断の経緯を記録しておくと良いでしょう。

解雇・退職時の留意点

休職中の退職を案内する際は、会社の休職制度と退職後の傷病手当金を分けて説明することが大切です。退職後も傷病手当金を継続して受給するには、一定の要件を満たす必要があります。

主な要件は、以下のとおりです。

  • 資格喪失日の前日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  • 資格喪失日の前日に傷病手当金を受給している、または受給要件を満たしている

また、退職日や最終出勤日の状況によっては、受給に影響する場合があります。そのため、人事担当者は、従業員が退職日や最終出勤日を決める前に、継続給付への影響を健康保険者へ確認するよう案内しましょう。

一方、解雇を検討する場合は、就業規則だけで判断するのではなく、休職に至った経緯や本人への説明内容なども踏まえて慎重に対応することが重要です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(協会けんぽのサイトに遷移します。)

休職手当の運用を効率化するならGeneralistがおすすめ

休職や復職に関する手続きは、傷病手当金の案内だけでなく、書類の回収や進捗管理、関係部署との連携など、人事担当者に多くの業務負担が発生します。対応漏れや手続きの遅れを防ぐには、業務フローを標準化し、一元的に管理できる環境を整えることが重要です。

Generalistなら、休職・復職に関する人事業務を効率化し、担当者の負担を軽減することが可能です。必要書類や対応状況を一元管理できるため、申請の進捗確認や関係者との情報共有もスムーズに進められます。

また、人事情報をまとめて管理することで、休職から復職までの対応状況を把握しやすくなり、属人化の防止にもつながります。

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