法定福利費とは?何パーセント?
計算方法・会社負担率・含まれる費用を解説

社会保険の加入対象となる従業員を雇用すると、会社には給与等の15%前後に相当する法定福利費が発生する場合があります。「健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険などのうち、何が法定福利費に含まれるのか」「給与に対して何%負担が増えるのか」など、正確な計算方法がわからず不安に感じていませんか。

本記事では、福利厚生費との違いから具体的な計算手順、最新の保険料率の確認方法まで、実務で使える形で詳しく解説します。

法定福利費とは?

法定福利費とは、会社が法律にもとづいて負担しなければならない社会保険料や労働保険料などの費用のことです。健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険などが含まれ、給与とは別に会社が支払う費用になります。

以下は、法定福利費・社会保険料・福利厚生費の違いをまとめた表です。

項目 意味
法定福利費 会社が法律にもとづいて負担しなければならない社会保険料や労働保険料などの費用
社会保険料 健康保険料や厚生年金保険料など、会社負担分と従業員負担分を合わせた保険料全体
福利厚生費 一定の要件を満たす健康診断、社員旅行、慶弔見舞金、社内行事など、従業員の福利厚生にかかる費用

ここでは、法定福利費と社会保険料・福利厚生費の違いや、なぜ給与以外の人件費になるのかを詳しく紹介します。

社会保険料との違い

社会保険料とは、健康保険料や厚生年金保険料など、社会保険制度に基づいて納付する保険料のことです。会社が負担する分と従業員が負担する分を合わせた保険料全体を指します。

これに対して法定福利費は、社会保険料や労働保険料、子ども・子育て拠出金などのうち、法令に基づいて会社が負担する部分を会計上の費用として計上したものです。  

つまり、社会保険料は保険料全体を指す言葉であり、法定福利費は会社負担分のみを指します。従業員が負担する保険料は給与から控除して納付されるため、法定福利費には含まれません。

参考:健康保険法第161条(デジタル庁のサイトに遷移します)

福利厚生費との違い

福利厚生費とは、一定の要件を満たす健康診断費用、社員旅行費用、慶弔見舞金など、会社が従業員の福利厚生を目的として支出する費用です。

一方、法定福利費は、健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの法令に基づき、会社に負担義務がある費用を指します。

項目 法定福利費 福利厚生費
根拠 法令に基づき負担義務がある 法令上の義務はなく、会社が任意で実施する
主な例 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険 住宅手当、社員旅行、慶弔見舞金など
会社の裁量 法令や保険料率に基づき負担額が決まる 制度内容や支給条件は会社ごとに定める


福利厚生費は法令で実施が義務付けられているものではなく、制度内容や支給条件は会社ごとに異なります。

一方、法定福利費は法令や保険料率に基づいて負担額が決まるため、会社が任意に負担額を変更することはできません。

給与以外の人件費になる理由

法定福利費は、給与とは別に会社が負担する費用であるため、人件費に含まれます。

会社が従業員を雇用すると、給与や賞与の支払いだけでなく、法令に基づいて事業主が負担する以下のような費用も発生します。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 労災保険料

これらは従業員へ直接支払う給与ではありませんが、雇用を維持するために必要な費用です。

例えば、月給30万円の従業員を採用した場合、給与30万円だけでなく、会社負担分の社会保険料や労働保険料も負担します。そのため、給与額だけを人件費として考えると、実際に会社が負担する雇用コストを正確に把握できません。

採用計画や予算作成、人件費の試算を行う際は、給与だけでなく法定福利費も含めて見積もることで、従業員の雇用に必要な費用を把握しやすくなるでしょう。    

参考:厚生年金保険の保険料(日本年金機構のサイトに遷移します。)

個人事業主で発生する場合

個人事業主本人は、原則として国民年金や国民健康保険に加入します。そのため、個人事業主本人の国民健康保険料や国民年金保険料は、通常、事業上の法定福利費には計上しません。

一方で、個人事業主が従業員を雇用している場合は注意が必要です。常時5人以上の従業員を使用する一定の業種の個人事業所は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所となります。また、従業員を雇用した場合は、労災保険や雇用保険などの労働保険についても、加入要件を満たせば事業主として保険料を負担する必要があります。

そのため、個人事業主であっても、従業員を雇用する際は社会保険や労働保険の加入要件を確認し、必要となる法定福利費をあらかじめ見込んでおくことが大切です。

参考:国民年金の『第1号被保険者』『第3号被保険者』とは何ですか(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:労働保険とは(厚生労働省のサイトに遷移します。)

法定福利費に含まれる費用

法定福利費として計上される主な費用には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料、介護保険料、子ども・子育て拠出金があります。それぞれ会社と従業員の負担割合や、保険料の算定基準が異なります。

まずは全体像を表で確認したうえで、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

費目 会社負担 従業員負担 主な計算基準
健康保険料 原則半分 原則半分 標準報酬月額・標準賞与額
厚生年金保険料 原則半分 原則半分 標準報酬月額・標準賞与額
雇用保険料 負担あり 負担あり 賃金総額
労災保険料 全額会社負担 なし 賃金総額
介護保険料 原則半分 原則半分 標準報酬月額・標準賞与額
子ども・子育て拠出金 全額会社負担 なし 標準報酬月額・標準賞与額

健康保険料

健康保険料は、病気やケガをした際の医療費の給付をはじめ、傷病手当金や出産手当金などの保険給付を支えるための保険料です。保険料は、事業主と被保険者が原則として折半で負担します。

また、保険料の算定には、標準報酬月額および標準賞与額を用います。標準報酬月額とは、基本給や各種手当など、毎月受ける報酬を一定の等級に区分した金額です。

健康保険料率は都道府県ごとに異なるため、同じ標準報酬月額でも事業主の負担額は地域によって異なります。例えば、令和8年度の協会けんぽ東京支部では、標準報酬月額30万円の場合、事業主が負担する健康保険料は月14,775円です(介護保険料を含みません)。

参考:令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます(協会けんぽのサイトに遷移します。)

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、老齢・障害・遺族厚生年金などの給付に充てられる保険料です。保険料は事業主と被保険者が原則として折半で負担します。厚生年金保険料率は全国一律18.3%で、都道府県による違いはありません。

また、保険料の算定には、健康保険料と同様に標準報酬月額および標準賞与額を用います。例えば、令和8年度の保険料額表では、標準報酬月額30万円の場合、事業主が負担する厚生年金保険料は月27,450円です。

参考:厚生年金保険料額表(日本年金機構のサイトに遷移します。)

雇用保険料

雇用保険料は、労働者が失業した場合の基本手当や育児休業中の育児休業給付など、雇用保険制度による給付の財源となる保険料です。健康保険料や厚生年金保険料が標準報酬月額・標準賞与額を基に算定されるのに対し、雇用保険料は労働者へ実際に支払った賃金総額に雇用保険料率を掛けて計算します。

また、雇用保険料率は、一般、農林水産・清酒製造、建設など、事業の種類によって異なります。令和8年度の一般の事業では、事業主負担率は8.5/1,000です。そのため、賃金月額30万円の場合、会社が負担する雇用保険料は月2,550円となります。

参考:令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内 (PDF形式)(351KB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

労災保険料

労災保険料は、業務上または通勤中に発生したケガや病気などに対する保険給付の財源となる保険料です。保険料は事業主が全額負担し、労働者の負担はありません。労働者を一人でも雇用する事業は、原則として労災保険の適用対象となります。

また、労災保険率は事業の種類ごとに定められています。例えば、令和8年度に適用される労災保険率は、金融業・保険業・不動産業が2.5/1,000、建築事業が9.5/1,000です。

さらに、労災保険料は雇用保険料と同様に、労働者へ支払った賃金総額を基に算定します。そのため、業種ごとに定められた労災保険率を確認し、適用される保険率に基づいて保険料を計算することが重要です。

参考:労災保険率表 (PDF形式)(135KB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

介護保険料

介護保険料は、介護保険制度の財源となる保険料で、40歳以上65歳未満の健康保険の被保険者(第2号被保険者)が対象です。保険料は健康保険料と同様に事業主と被保険者が原則として折半で負担し、標準報酬月額および標準賞与額を基に算定されます。

協会けんぽの介護保険料率は全国一律で、令和8年3月分(4月納付分)から1.62%です。対象となる被保険者については、健康保険料とあわせて介護保険料が徴収されます。

参考:介護保険制度について (PDF形式)(796KB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)
参考:協会けんぽの介護保険料率について(協会けんぽのサイトに遷移します。)

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、事業主が全額負担する拠出金です。令和8年度の拠出金率は0.36%で、日本年金機構が公表する保険料額表に基づいて算定されます。

一方、子ども・子育て支援金制度は令和8年4月から開始されました。協会けんぽでは、令和8年4月分(5月納付分)から支援金率が0.23%となり、健康保険料と同様に事業主と被保険者が原則として折半で負担します。

「子ども・子育て拠出金」と「子ども・子育て支援金」は名称が似ていますが、拠出金は事業主が全額負担する一方、支援金は事業主と被保険者が折半で負担する点が異なります。古い資料のみを参照すると会社や従業員の負担額を誤って把握するおそれがあるため、最新の保険料率を確認しましょう。

育児休業については、以下の記事で詳しく解説しています。

No.10「育児休暇」

参考:令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 (PDF形式)(689KB)(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和8年度版) (PDF形式)(331KB)(日本年金機構のサイトに遷移します。)

法定福利費は何パーセント?会社負担率の目安

業種や年齢によって法定福利費の割合が変わるため、正確な数字は条件ごとに確認しましょう。法定福利費が給与の何パーセントになるかは、多くの経営者や経理担当者が気になるポイントです。

ここでは、目安となる割合と、実際の給与額をもとにした計算例を紹介します。

会社負担率の目安

法定福利費の会社負担額が給与に対してどの程度の割合になるかは、加入している健康保険や都道府県、従業員の年齢、事業の種類などによって異なります。令和8年度の東京都の協会けんぽに加入している一般的な企業を例にすると、40歳未満の従業員では、会社負担額は給与のおおむね15%台半ばが目安です。

一方、40歳以上65歳未満の従業員は、介護保険料の会社負担分が加わるため、おおむね16%台前半が目安となります。

ただし、これらはあくまで概算です。実際の法定福利費は、都道府県ごとの健康保険料率や事業の種類、従業員の年齢、標準報酬月額や標準賞与額などによって異なります。正確な金額を算定する際は、最新の保険料率や保険料額表を確認しましょう。

参考:厚生年金保険の保険料(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:令和8年度 雇用保険料率について (PDF形式)(351KB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)

標準報酬月額別のシミュレーション

実際の負担額を具体的にイメージするために、月給30万円の従業員を1人採用した場合のシミュレーションを紹介します。次の表は、東京都の協会けんぽに加入する40歳未満の従業員を前提に、会社が負担する月々の内訳をまとめたものです。

費目 会社負担額(月額)
健康保険 14,775円
厚生年金 27,450円
労災保険(金融業、保険業又は不動産業の場合) 750円
子ども・子育て支援金(会社負担分) 345円
子ども・子育て拠出金 1,080円
雇用保険 2,550円
合計 46,950円


合計46,950円は、給与30万円に対して15.65%にあたります。40歳から64歳までの従業員で介護保険の対象になると、同じ給与でも会社の月額負担は49,380円まで増えるため、注意しましょう。

採用計画を立てる際は、月々の給与だけでなく、賞与を含めた年間ベースの負担額を想定して予算を組んでおくと安心です。一方、法定福利費は法令や保険料率に基づいて負担額が決まるため、会社が任意に負担額を変更することはできません。

参考:令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和8年度版) (PDF形式)(331KB)(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:雇用保険料率について (PDF形式)(351KB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)
参考:令和8年度保険料額表 (PDF形式)(332KB)(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:令和8年度の労災保険率等について(厚生労働省のサイトに遷移します。)

法定福利費の計算方法

法定福利費を正しく計算するには、社会保険については標準報酬月額・標準賞与額に、労働保険については実際の賃金総額に、それぞれ所定の料率を掛けて計算します。

ここでは、実際の手順を4つのステップに分けて説明します。

  1. 保険料額表・保険料率を確認する
  2. 保険料率から計算する
  3. 賞与を含めて計算する
  4. 計算ツールを活用する

保険料額表・保険料率を確認する

法定福利費を正確に計算するには、最新の保険料率や保険料額表を確認することが重要です。主な社会保険・労働保険の料率の特徴は、以下のとおりです。

費目 料率の特徴
健康保険 都道府県ごとに保険料率が異なる
厚生年金 全国一律18.3%
雇用保険 事業の種類によって保険料率が異なる
労災保険 業種ごとに保険料率が異なる


また、介護保険料率や子ども・子育て拠出金率、子ども・子育て支援金率などは、毎年度見直される可能性があります。そのため、古い資料をそのまま使用せず、毎年度、厚生労働省や日本年金機構、協会けんぽなどが公表する最新の保険料率や保険料額表を確認しましょう。

保険料率から計算する

保険料率を確認したら、次は標準報酬月額を基に保険料を計算します。標準報酬月額とは、基本給に残業手当や通勤手当などの各種手当を含めた毎月の報酬を、一定の等級に区分した金額です。

健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、子ども・子育て支援金の会社負担分は、標準報酬月額に保険料率と事業主負担割合を掛けて算出します。

一方、雇用保険料や労災保険料は、標準報酬月額ではなく、実際に支払った賃金総額を基に計算します。社会保険と労働保険では保険料の計算方法が異なるため、混同しないよう注意しましょう。

参考:令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和8年度版) (PDF形式)(331KB)(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:雇用保険料率について (PDF形式)(351KB)(厚生労働省のサイトに遷移します。)
参考:令和8年度保険料額表 (PDF形式)(332KB)(協会けんぽのサイトに遷移します。)
参考:令和8年度の労災保険率等について(厚生労働省のサイトに遷移します。)

賞与を含めて計算する

法定福利費は毎月の給与だけでなく賞与にも発生するため、賞与分も忘れずに計算に含める必要があります。

賞与に係る社会保険料は、標準賞与額を基に計算します。標準賞与額とは、税引前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額です。なお、標準賞与額には上限があり、健康保険では年度累計573万円、厚生年金保険では1か月当たり150万円までです。

健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料の事業主負担分は、標準賞与額に保険料率と事業主負担割合を掛けて算出します。

また、雇用保険料は賞与も賃金に含まれるため、賞与に対しても保険料が発生します。年間の人件費や法定福利費を見積もる際は、賞与分も忘れずに計算へ含めましょう。

参考:厚生年金保険の保険料(日本年金機構のサイトに遷移します。)

計算ツールを活用する

法定福利費の計算には、給与計算ソフトや人事労務システムを活用する方法があります。
法定福利費は、保険の種類ごとに計算方法や保険料率が異なるため、従業員数が増えるほど手作業で管理する負担も大きくなりがちです。

給与計算ソフトや人事労務システムのなかには、保険料や給与の計算をサポートする機能を搭載したものもあります。こうしたツールを活用することで、計算作業の効率化や確認にかかる手間の削減が期待できます。

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最新の保険料率を確認する方法

法定福利費を正しく計算するには、毎年変わる可能性がある保険料率を、公式の情報源で確認することが欠かせません。健康保険と厚生年金では確認先が異なり、さらに改定される時期も費目によって違います。

ここでは、それぞれの確認方法を具体的に見ていきます。

  • 健康保険料率は協会けんぽで確認する
  • 厚生年金保険料は日本年金機構で確認する
  • 保険料率の改定時期を確認する

健康保険料率は協会けんぽで確認する

協会けんぽの健康保険料率は全国一律ではなく、都道府県ごとに異なります。そのため、自社が加入する協会けんぽの都道府県支部が公表している、最新の保険料率や保険料額表を確認しましょう。同じ標準報酬月額であっても、適用される都道府県の保険料率によって、会社と従業員が負担する健康保険料は異なります。

また、40歳以上65歳未満の従業員にかかる介護保険料率も、協会けんぽで確認できます。介護保険料率は全国一律で、令和8年3月分から1.62%です。

健康保険料率や介護保険料率は改定される可能性があるため、古い資料を使用すると、会社や従業員の負担額を誤って算定するおそれがあります。計算する際は、必ず適用時点の最新情報を確認しましょう。

参考:令和8年度保険料額表(協会けんぽのサイトに遷移します。)

厚生年金保険料は日本年金機構で確認する

厚生年金は、日本年金機構が公表する最新の保険料額表を確認しましょう。厚生年金保険料率は全国一律で18.3%のため、健康保険料のように都道府県ごとの料率を確認する必要はありません。ただし、実際の保険料額は標準報酬月額や標準賞与額によって変わります。

また、子ども・子育て拠出金の会社負担額も、日本年金機構の公式サイトから把握しましょう。厚生年金保険料との主な違いは、次のとおりです。

費目 料率 負担者
厚生年金保険料 18.3%(全国一律) 会社と被保険者が原則折半
子ども・子育て拠出金 0.36%(令和8年度) 会社が全額負担


保険料額表や制度内容は改正される場合があるため、給与計算の際は毎年度の最新情報を確認しましょう。

参考:厚生年金保険料額表(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:子ども・子育て拠出金率が改定されました(日本年金機構のサイトに遷移します。)

保険料率の改定時期を確認する

保険料率は、費目によって見直しのタイミングが異なるという点も押さえておく必要があります。健康保険料率は都道府県単位で、介護保険料率は毎年度、雇用保険料率は年度ごとに見直され、労災保険率は業種別に定められています。

さらに令和8年度からは、子ども・子育て支援金という新しい制度も加わりました。「去年と同じはずだ」という思い込みで古い料率を使い続けると、会社の実際の負担額を見誤る原因になります。したがって、年度初めには必ず公式資料を確認するというフローを、社内であらかじめ決めておくのが安全です。

法定福利費を計算するときの注意点

法定福利費の計算では、いくつかの典型的なミスが起きやすい特徴があります。古い料率をそのまま使ったり、会社負担分と従業員負担分を混同したりすると、正しい人件費が把握できなくなるでしょう。

ここでは、実務でとくに注意すべき6つのポイントを紹介します。

  • 古い保険料率を使用しない
  • 対象外の費用を含めない
  • 会社と従業員の負担分を混同しない
  • 標準報酬月額の見直しが必要になる場合がある
  • 保険料が変動するタイミングを確認する
  • 加入条件を確認する

古い保険料率を使用しない

法定福利費の計算で起こりやすいミスの一つが、前年の保険料率をそのまま使用することです。協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なり、介護保険料率や雇用保険料率も改定される場合があります。そのため、「前年と同じ料率のままだろう」と考えて計算すると、法定福利費を正しく算出できない恐れがあるでしょう。

また、古い記事や社内資料だけを参考にすると、会社や従業員の負担額を誤って見積もる可能性があります。

法定福利費を正確に計算するためには、毎年度、協会けんぽや日本年金機構、厚生労働省などが公表する最新の保険料率や保険料額表を確認する運用を社内で定めておきましょう。

対象外の費用を含めない

法定福利費として計上する費用の範囲を正しく理解し、対象外の費用を含めないようにしましょう。法定福利費と人件費、福利厚生費を混同すると、原価管理や会計処理を誤る恐れがあります。

対象となる費用と対象外の費用の例は、次のとおりです。

費目 法定福利費に含まれるか
法定福利費に含まれるもの ・健康保険料(介護保険料を含む)
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・労災保険料・子ども・子育て拠出金
法定福利費に含まれないもの ・従業員負担分の社会保険料
・通勤交通費
・福利厚生費・研修費 など


法定福利費は、会社が法律に基づいて負担する社会保険料などが対象です。対象となる費用をあらかじめ整理し、法定福利費に含まれない費用と区別して管理しましょう。

会社と従業員の負担分を混同しない

法定福利費を適切に管理するには、会社負担分と従業員負担分を明確に区別することが重要です。従業員の給与から控除する健康保険料や厚生年金保険料などは、会社が一時的に預かり納付するお金であるため、会社の法定福利費には含まれません。

会計処理では、従業員負担分は「預り金」として処理し、会社負担分は「法定福利費」として処理するのが一般的です。

この区別があいまいになると、会社が実際に負担している法定福利費を正確に把握できず、原価計算や予算管理に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、会社負担分と従業員負担分は、それぞれ適切に管理しましょう。

標準報酬月額の見直しが必要になる場合がある

社会保険の会社負担分を計算する基準となる標準報酬月額は、基本給に残業手当や通勤手当などの各種手当を含めた毎月の報酬を一定の等級に区分した金額です。

標準報酬月額に通勤手当や残業手当などが適切に反映されていないと、法定福利費を実際より少なく見積もる可能性があります。また、昇給や降給などにより報酬額が大きく変動した場合は、標準報酬月額の改定(定時決定や随時改定)が必要になることがあります。そのため、給与内容に変更があった際は、標準報酬月額もあわせて確認しましょう。

なお、賞与に係る社会保険料は標準賞与額を基に計算します。標準賞与額とは、税引前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額です。

参考:賞与にかかる保険料はどのように計算するのですか(日本年金機構のサイトに遷移します。)

保険料が変動するタイミングを確認する

法定福利費は、従業員の年齢や退職日、休業の状況によって負担額が変わることがあります。

例えば、40歳以上65歳未満の従業員は介護保険料の負担対象となるため、会社負担も増加します。また、社会保険料は月末退職の場合は退職月分が発生しますが、月末以外の退職では原則として発生しません。

さらに、産前産後休業や育児休業の期間中は、一定の要件を満たすことで事業主・被保険者ともに健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。制度ごとの取扱いを確認し、法定福利費を正確に計算しましょう。

参考:随時改定(月額変更届)(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:従業員に賞与を支給したときの手続き(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:保険料について(協会けんぽのサイトに遷移します。)

加入条件を確認する

法定福利費が発生するかどうかは、雇用形態ではなく、社会保険や雇用保険の加入要件を満たしているかで決まります。パートやアルバイトでも、加入要件を満たせば健康保険や厚生年金保険の対象です。雇用保険は、原則として週20時間以上勤務し、31日以上雇用される見込みがある場合に加入します。

また、役員は社会保険の対象となることがありますが、雇用保険は原則として対象外です。加入要件を確認し、法定福利費を正しく計算しましょう。

参考:適用事業所と被保険者(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構のサイトに遷移します。)
参考:Q&A~事業主の皆様へ~(厚生労働省のサイトに遷移します。)

法定福利費を効率的に管理する方法

法定福利費を効率的に管理するには、給与計算ソフトや人事労務システムを活用する方法があります。システムを利用すれば、毎年度の保険料率改定を反映しやすくなるほか、給与や賞与を基にした保険料計算も効率化することが可能です。

また、従業員情報や標準報酬月額を一元管理できるため、異動や昇給、賞与支給があった場合でも情報を反映しやすくなります。さらに、算定基礎届や月額変更届の作成・確認に必要な情報も管理しやすくなるので、担当者の業務負担軽減につながるでしょう。

法定福利費の計算・管理を効率化するならGeneralistがおすすめ

法定福利費は、保険料率の改定や加入要件の変更、標準報酬月額・標準賞与額の管理など、継続的な確認が必要です。手作業で管理すると、計算ミスや確認漏れが発生しやすく、担当者の負担も大きくなるでしょう。

Generalistなら、人事・給与・就業情報を一元管理できるため、法定福利費の計算や管理業務の効率化につながります。人事労務に関する情報をまとめて管理することで、日々の業務負担を軽減し、より正確な運用を実現可能です。

法定福利費の管理を効率化したい方は、Generalistの導入をぜひご検討ください。

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