研究開発センター

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研究者紹介 バックナンバー2016

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“自動車の自動運転を支える” 車載向け画像認識技術 杉浦 貴行 コラボレイティブAI部門 2015年入社 機械制御システム専攻

障害物や走行可能な領域を認識

車載用LSIに実装される画像認識アルゴリズムの研究をしています。いわゆる自動運転で自動車が自律的に動くためには、周囲の環境を把握しなければなりません。周りの人や物、自動車をカメラの画像から認識したり、その人や物までの距離をセンサで測ります。また、これらの画像や情報から、走行可能な領域も認識します。画像に何がどのように写っているのか。この認識をするプロセスに、AIや機械学習を利用します。人が見れば簡単にわかることでも機械にはわからない場合も多く、それが難しい部分でもあり面白い部分でもあります。安全に係わる技術なので、いかに正しく認識できるかが重要で、誤りの少ない結果が求められています。

杉浦 貴行の写真

車載向け画像認識技術の図

自動車への実装を想定した研究

機械による画像認識では、天候が違えば同じ場所でも結果は異なりますし、単体では認識可能でも、他の物体と重なっていると、その境界がわからなくなる場合もあります。走行中の他の自動車の見え方は刻々と変化するため、認識の難易度が高いモチーフの一つです。自動車への実装を前提としているので、カメラやセンサの設置位置やスペック、LSIの処理能力などに厳しい制約条件があります。こうした様々な状況と制約条件を念頭に置いて、日々、画像認識技術の性能向上を目指しています。新しいデータが必要なときは車庫から実験用の自動車を出し、検証のために走らせることもありますが、普段は居室でPCに向かって仕事をしていることが多いです。自分たちが開発している技術が実際の自動車に載る202X年が今から楽しみです。

杉浦 貴行の写真

大学の研究室に近い雰囲気の職場

学生時代は、カメラを動かして物体の三次元形状を取得する研究をしていました。同じような取り組みをしている企業数社を就職先として考えましたが、東芝に入社した最終的な決め手は、人です。見学に行ったときに、話しやすさを感じました。職場では、軽口を叩いていたかと思うと急にカチッと真面目スイッチが入る研究者の姿を見かけます。私も同じタイプなので、居心地がいいですね。大学では授業料を払い、企業では給料をもらうという違いはありますが、自分自身の研究への姿勢について言えば、あまり違いはありません。研究開発センターは大学の研究室と似ていると言われていますが、人や雰囲気など研究環境についてはその通りです。

杉浦 貴行の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『学生の頃から広くアンテナを張りましょう』

私は学生時代に隣の研究室が何をやっていたのか、あまり関心を持ちませんでした。研究の話をするのは自分の所属研究室の仲間やドクターの先輩、先生方で、研究活動が狭い範囲に閉じていたきらいがあります。ところが会社に入ってみると、社内の他部門はもとより大学の研究室や他社の動向まで、先輩たちは常に幅広くアンテナを張っていました。「あの研究室はどのような研究をしているのか?」学生時代からもっとアンテナを広げておけばよかったと思っています。