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研究者紹介 バックナンバー2016

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“CO₂から効率的に有用な物質を生み出す” CO₂の資源化技術 菅野 義経 トランスデューサ技術部門 2013年入社 化学工学専攻

資源化の効率を向上させる研究

私は地球温暖化の一因とも言われるCO2の資源化に取り組んでいます。再生可能エネルギーを利用してCO2からCOや工業製品の原材料となるエチレングリコールなどの付加価値の高い生成物を生み出す研究です。これまでは処理能力が低かったので、CO2の再資源化処理の設備を作ろうとすると巨大な電極が必要でした。そこで、処理能力の向上を目指して触媒電極の研究開発を進めたところ、2年前と比較して処理能力を2桁のオーダーで増やすことに成功しました。

CO₂の資源化の図

研究テーマが国家プロジェクトに

私の研究は、再生可能エネルギーを利用して、もともと価値のないものとして扱われていたCO2から資源を生み出す研究です。その有用性が認められ、国家プロジェクトにも採択されました。やはり国家プロジェクトですから、この技術を実装することで社会がどのように変革されていくのかという視点や、他国に負けない技術を育てるという考え方に立って研究開発しないといけません。数年前まではベンチマークの相手は米国でしたが、最近ではドイツにも勢いがあります。海外勢には負けたくないですね。

菅野 義経の写真

ある日のスケジュール
6:30
出社
  • ・メールおよび本日のスケジュールを確認
7:00
実験(サンプル作製/評価)/データ整理/社内外資料作成
10:00
社内ミーティング(水曜のみ)
12:00
昼食
13:00
実験(サンプル作製/評価)/データ整理/社内外資料作成
17:30
退社

目標は現実のプラント設備

数年前までは、自分の担当する研究をして、その成果を上司に伝えることが業務の中心でした。現在は、今後どのように研究を進めていくべきか、3年あるいは5年後のビジョンに意見を求められるようになりました。技術の伸び代やブレイクスルーのポイントなど、自分の経験から導き出された意見が研究開発ビジョンに反映されるので、発言に責任を持つことになります。自分の中では、任されている、という気持ちが大きいです。この技術を現実の実機プラントに適用するためには、少なくともあと10年はかかると考えています。純粋な技術者として研究開発するのはもちろんですが、工場でCO2を排出する立場の方々など、将来のユーザと話し合って協業計画を立て、様々な手を打ちながら社会実装を目論み、実際に使ってもらうようになるまで長い目で考えながら研究をしていきたいと思います。

菅野 義経の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『興味のあることには、貪欲に取り組みましょう。』

学生時代に何を学んできたかという専門性はしっかり問われましたが、私の場合、副専攻にも手を出して専門以外にも興味のあることに挑戦しているという活動的な印象も、就職活動で好感を持たれたのではないかと分析しています。専門性はもちろん、余裕があれば自分の幅を広げる何かに挑戦するのも良いかもしれません。それから、諦めない気持ちも大切です。失敗ばかりの中で最後にようやく成功しました、ということが研究の世界ではよくあります。良い結果にはしっかり反応し、悪い結果も受け止めて、いずれにしても自分の糧にする姿勢が自分の成長につながると思います。