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研究者紹介 バックナンバー2016

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“AIで工場をスマート化する” データマイニング技術 桐淵 大貴 システム技術部門 2015年入社 システム情報学専攻

機械に意思決定をさせる技術

AIで工場を飛躍的にスマートにすることを目指し、バンディットアルゴリズムを用いて設備の保守計画を適正化する研究をしています。生産設備やプラントなどでは、一定の間隔で保守やリプレースを実施しています。その間隔が短いと、頻繁に保守やリプレースを行うことになり、コストは上昇します。間隔が長ければコストは削減できますが、万が一、保守やリプレースの前に故障や事故が起これば大きな損失になります。通常のデータ分析では最適値を予測したら変更しない場合が多いのですが、バンディットアルゴリズムは過去の予測の結果を採り入れて探索を行います。次はいつ、どのような保守を生産設備に施すべきか、最適解を探ります。

桐淵 大貴の写真

データマイニング技術の図

異分野で応用されている技術を導入

単にデータ分析をして予測するだけでなく、さらにその先の意思決定にまで踏み込むべきではないか、ラボで先輩や同僚と議論をする中で出てきたのが、バンディットアルゴリズムです。このアルゴリズムは、ウェブサイトに表示する広告を決める技術として発展しました。人間のチャンピオンに勝って世界を賑わせた「ALPHAGO™」(*) という囲碁のソフトにも使われています。それを製造業にも適用し、生産設備のように意思決定の失敗が重大な影響を及ぼす現場でも使えるように改善しました。学会を聴講したり本を読むことはもちろんのこと、アンテナの感度を高くして最先端の技術をしっかり追いかけ、それを自分たちの研究に活かしています。
(*)「ALPHAGO™」はDeepMind社の登録商標です。

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世の中にないものを作り出す

専攻はシステム情報学で、修士課程の研究室では完全に理論を研究していました。とても楽しかったのですが、理論だけではなくもっとニーズに即したこともやりたいと考え、博士課程には進みませんでした。本当の意味で世の中にないものを作りたいという想いがあります。現在、理化学研究所革新知能統合研究センター(AIP)との共同研究に携わっていますが、一流の研究者が集まり大学の研究室にかなり近い雰囲気で研究しています。最先端の研究にも触れつつ、ニーズに対応する仕事も担当しているので、研究開発センターには新しいものが作れる環境が用意されていると思います。

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学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『就活中だからこそできるチャンスを活用しましょう』

大企業は規模が大きいので、様々な価値観の人がいます。同じ会社でも、立場や所属している部署によって求めるものが違うと感じます。就職を考えている企業を多面的に捉えるには、いろいろな人に会って、話をすることが有効だと思います。同僚になり得る技術者にも積極的にコンタクトしてみましょう。この研究者紹介のページを読んで興味を持ったら、『この人に会いたいです』とリクエストしてみるのも良い方法だと思います。私の話を聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお声掛けください。