情報通信プラットフォーム

超低消費電力プラットフォーム向け「電子ペーパ省電力表示制御技術」の開発および実機実証について

2015年4月

概要

当社は、電子ペーパを搭載する情報機器の大幅な省電力化を実現する電子ペーパ省電力表示制御技術を開発し、タブレット型端末の試作機に適用したところ、表示切り替えに必要な電力を最大で49%削減することができました。技術の詳細は、4月13日から横浜で開催された半導体チップの国際会議COOL Chips 2015にて発表しました。

開発の背景

タブレット型端末や様々なIoTデバイスなどのバッテリで動作する情報機器は、バッテリの駆動時間が短いことが課題でした。当社では、超低消費電力プラットフォームの実現に向け、情報機器の使用時に基幹デバイスSoC(System on Chip)を積極的にディープスリープと呼ばれる省電力モードに遷移させる「SoCの積極的省電力制御技術」を開発しました。この技術を、画面表示を切り替える時以外は電力が不要となる不揮発性電子ペーパを採用したタブレット型端末に適用し、操作がなく画面閲覧のみの利用時において大幅な省電力化を達成しました。一方で、不揮発性電子ペーパは、表示の切り替え処理に従来の液晶ディスプレイと比較して時間がかかり消費電力が大きくなるという問題があり、画面操作等の表示切り替え時の省電力化が次なる課題となっていました。

本技術の特徴

そこで当社は、電子ペーパ省電力表示制御技術を開発しました。この技術では、表示切り替え処理遅延の要因となっていた処理同士の衝突の除去や、表示切り替え処理を局所化することで、処理時間を短縮し、省電力化を実現します。本技術を電子ペーパを搭載したタブレット型端末の試作機に適用したところ、画面操作等の表示切り替えに必要な電力を最大で49%削減することができました。先に発表した「SoCの積極的省電力制御技術」と利用することにより、ユーザが表示された画面を見ている時間と表示を切り替える時間の全ての時間で省電力化でき、バッテリ寿命のさらなる延長が可能になります。

今後の展望

本省電力表示制御技術の電子ペーパ以外の省電力ディスプレイの適用など、さらなる研究開発を進め、究極の超低消費電力プラットフォームの実現を目指します。