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最新の映像圧縮規格HEVCに準拠したリアルタイム4K-HEVCソフトウェア圧縮技術を開発

2014年6月

概要

当社は、次世代超高精細映像配信サービスへの活用が期待される最新の映像圧縮規格HEVC(注1)に準拠したリアルタイム4K(注2)-HEVCソフトウェア圧縮技術を開発しました。

(注1)High Efficiency Video Codingの略。正式規格名はITU-T H.265 | ISO/IEC 23008-2

(注2)3840×2160画素60fpsに対応

開発の背景

近年、テレビの大画面化が進み、従来の4倍に画素密度を高めた4Kテレビが市場に出始めています。現行の4KテレビはHDTV解像度の映像を画像処理により4K解像度に変換していますが、4K本来のより臨場感のある高精細な映像を楽しむためには、4K映像をそのままテレビに届ける超高精細映像配信サービスの実現が必要です。最新の映像圧縮規格HEVCは、従来規格であるAVC(注3)に比べて映像のデータ量を約1/2に削減可能であり、4Kあるいは8K(注4)といった超高精細映像配信サービスでの活用が期待されています。HEVCによる映像圧縮には、映像を細かく分割したブロック毎に、圧縮パラメータの膨大な組み合わせの中から最適なパラメータを決定することが必要なため、膨大な演算量を要します。また、4K映像では解像度が従来のHDTVの4倍となるため、エンコード処理の効率化が課題となります。

(注3)Advanced Video Codingの略。正式規格名はITU-T H.264 | ISO/IEC 14496-10

(注4)7680×4320画素

リアルタイム4K-HEVCソフトウェア圧縮技術

そこで当社は、超高精細映像配信サービスの拡大に向けて、汎用PCサーバ上で動作可能なソフトウェアベースのリアルタイム4K-HEVC圧縮技術を開発しました。本技術では、映像の時空間方向の性質を解析する独自の映像解析技術により、膨大な圧縮パラメータの組み合わせを適応的に絞り込み、高画質を維持しつつ演算量を低減しました。さらに、毎秒60フレームの4K映像を時空間方向に分割する並列処理を導入するとともに、処理時間のばらつきを抑える独自の並列化効率改善技術を開発し、リアルタイム処理を達成しました。従来4K映像の圧縮には専用ハードウェアが必要でしたが、本技術により2台の汎用PCサーバを用いて高画質なリアルタイム圧縮を実現できます。これにより、既存クラウドシステムでの活用が容易となるほか、従来のHDTVから4K、8Kといった超高精細映像までさまざまな映像にスケーラブルに対応可能となり、また各種映像配信サービス固有の要求に対しても、柔軟な対応が可能となります。

今後の展望

今後は本技術をベースに、超高精細映像配信サービスに向けたソフトウェアソリューションの早期実用化を目指します。