ナノ材料・デバイス

有機薄膜太陽電池サブモジュールで最高効率7.7%を達成

2012年9月

概要

当社は塗布型の有機薄膜太陽電池技術を開発し、サブモジュールの変換効率は世界最高の7.7%、セルの変換効率では9.2%を実現しました。薄型軽量で低コストの有機薄膜太陽電池の本格的実用化に一歩近づきました。

※本技術は、NEDOの委託事業「太陽光発電システム次世代高性能技術開発」による成果です。

有機薄膜太陽電池の図

開発の背景

わが国では今年(2012年7月1日)から再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートしました。太陽光発電ではコストの低減が大きな課題ですが、現在主流のシリコン系太陽電池は変換効率とモジュールコストの改善が限界に近づきつつあり、大幅な低コスト化は困難な状況です。

有機薄膜太陽電池技術

当社は、低価格の有機材料を塗布して大量生産することができる、塗布型の有機薄膜太陽電池技術を開発しました。独自の長波長吸収P型ポリマーや中間層材料、及びセル化プロセス等は既に開発済みで、変換効率の高いセルを実現していました。今回、独自開発したメニスカス塗布技術で、膜厚がナノスケールの多層膜を均一かつ高精度にパターン形成できるようになりました。そして、太陽電池のモジュール構造をシミュレーションする技術を利用し、有機薄膜太陽電池サブモジュールで世界最高変換効率を実現しました。有機薄膜太陽電池の変換効率は、室内照明下では太陽光下の1.6倍程度になります。LEDの室内照明下では、シリコン系太陽電池を凌駕するセルの変換効率13%前後という数字も得ています。将来は、他の太陽電池の1/2ないしは1/3のモジュールコストを期待できる上に、塗布型で薄型軽量、フレキシブルといった特長を生かし、様々な電子機器や屋内外の建材等に適用して、多様な光を電気エネルギーに変換することが可能になります。

今後の展望

今後、実用化の基準となるモジュール効率10%の早期実現に向けて研究開発を進めていきます。