AI Technology

搭乗鉄道路線の"つぶやき"を抽出する技術

2012年3月

概要

当社は、Twitter上の"つぶやき"から、ユーザが搭乗する鉄道路線情報に関する"つぶやき"のみを抽出する「つぶやき抽出技術」を新たに開発しました。この技術のベースは、2010年1月に発表したユーザー状況推定技術です。これに加え、新たに開発した利用路線推定技術(※)と、Twitter上に投稿される膨大な"つぶやき"の中から特定の運行情報に関する投稿をしているユーザの"つぶやき"を抽出する新たなテキスト処理技術とを組み合わせて、本技術を実現しました。

路線実況アプリ画面イメージ

背景および従来技術

日本で月間利用者数約2,100万人に上るTwitter及びスマートフォンの普及により、路線情報に関するユーザの投稿が増えています。特に、電力供給状況や自然災害等の影響によりダイヤに乱れが発生した際の投稿は多く、運行情報をいち早く知りたいというニーズがあります。そこで、Twitter上の"つぶやき"から路線情報と運行情報(路線の遅延や運転見合わせなどの情報)を抽出し、ユーザに情報提供し、最適な経路選択をサポートする本技術の開発に着手しました。Twitterに投稿される"つぶやき"には様々な言い回しが含まれるため、従来は路線情報に対応する"つぶやき"のみを抽出することは困難でした。また、GPSを用いた位置情報からユーザの近隣路線情報を提示するサービスもありますが、ユーザの利用路線を判定することは困難でした。

本技術の特長

当社は、Twitter上に投稿されるくだけた言い回しの文章から、特定状況で発信された"つぶやき"を抽出する技術を開発しました。運行遅延などの状況に遭遇したユーザの"つぶやき"のみを抽出し、利用者の実際の声に基づいた路線情報の提供が可能になります。また、加速度センサーとGPSを組み合わせてユーザの利用路線を推定する技術を用い、ユーザ周辺の路線情報を簡単な操作で入手できます。この技術を活かし、当社と乗換案内サービス事業を展開する株式会社駅探は、同じ路線利用者のTwitter上の"つぶやき"から路線情報・運行情報を提供するAndroid向けアプリ「路線実況」を共同で開発しています。本アプリを2012年3月から2か月間の予定で無料公開し、実証実験を行います。

今後の展望

"つぶやき"やセンサから得られる多数のユーザ状況を集約し、遅延や事故など実社会で起こる様々な事象を素早く検知するシステムの確立に向けて、引き続き研究開発を進めていきます。


(※)利用路線推定技術とは、モバイル端末に内蔵されている加速度センサ、GPSと駅位置データを組み合わせて、ユーザが利用している路線を推定する技術です。