「裸眼3D映像表示の研究」が文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞

2011年4月20日

我が国の科学技術分野において顕著な功績をあげた者について文部科学大臣が表彰する平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、当社の従業員が「滑らかな運動視差を有する広視域裸眼3D映像表示の研究」で科学技術賞(研究部門)を受賞しました。今回の受賞は、従来の専用メガネを用いる3D映像システムとは異なり、映像の自然さと見やすさを両立させた新しい裸眼3D映像表示システムを世界で初めて実現した研究が、我が国の科学技術の振興発展に顕著な貢献をしたと評価されたものです。

業績名

滑らかな運動視差を有する広視域裸眼3D映像表示の研究

受賞者

  • 平山 雄三
  • 研究開発センター   マルチメディアラボラトリー   研究主幹
  • 福島 理恵子
  • 研究開発センター   マルチメディアラボラトリー   主任研究員
  • 最首 達夫
  • 研究開発センター   マルチメディアラボラトリー   主任研究員
  • (現 コアテクノロジーセンター   AV技術開発部   参事)

文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)盾

業績概要

従来、立体視には特殊なメガネを着用する煩わしさがありました。一方、従来の裸眼方式では、映像の自然さ(滑らかな運動視差)と見やすさ(広視域)を同時に実現することが困難でした。

本研究では、実物体からの光線をサンプリングし、その光線を再生する原理をもとに新しい裸眼3D映像表示システムを探究しました。第1に、最小駆動画素単位に視差情報を割り当てる発明により従来比3倍の高精細化を達成しました。第2に、1つのレンズに対応する画素数をn(自然数)と(n+1)の2値にすることによって視域を拡大するアルゴリズムの発明により自然さと見やすさの二律背反を解決しました。第3に3D映像データの蓄積や配信を効果的に行える3D画像フォーマットを発明しました。

本研究により、自然で見やすい裸眼3D映像表示システムを構築でき、世界で初めて、裸眼3Dデジタルテレビ実現の鍵となる、ハイビジョン画質での裸眼3D映像リアルタイム表示に成功しました。

本成果は、長時間かつ幅広い年齢層で使える新しい映像表示メディアとしてテレビのほか、教育、医療、遠隔コミュニケーションなどへの利用が可能であり、社会および経済の発展に寄与することが期待されます。

なお、科学技術分野の文部科学大臣表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として定められています。本表彰の中の科学技術賞(研究部門)は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明を行った者を対象としています。