FAQ
原理
- 電磁流量計は何故流量が測れるのですか?
- 他の流量計と比較して何が良いのですか。
- 起電力はどの位の大きさですか?
- 流体中の起電力はどうやって取り出すのですか?
- 非接液電極形電磁流量計の測定原理は?
- 非接液電極形電磁流量計の特徴は何ですか?
- 非満水用電磁流量計の測定原理は?
- 非満水用電磁流量計は電極が1個ですが、起電力をどのように測定しているのですか?
ファラデーの電磁誘導の法則「磁界中を導体が移動すると、導体中に速度に比例した起電力が発生する」の応用により、流量を計測しています。起電力を計測することにより流速を演算し、配管断面積との積により、体積流量を算出しています。原理上、温度・圧力・密度・粘度・導電率の影響なく測定できます。
原理・特長
電磁流量計は、可動部が無い、管路内に障害物が無い、圧力損失が無い、偏流の影響を受けにくい、高精度、レンジアビリティが広いなど他方式の流量計と比べ多くの特長を持つ流量計です。また固形物を含む流体(土砂、コンクリートミルクなど)の測定をすることができる点も大きな特徴です。
mVオーダーです。
起電力は流体中に発生するので、流体に接した一対の電極により、この起電力を取り出します。
基本的に一般の電磁流量計と同じくファラデーの電磁誘導の法則を応用して計測しています。従来の接液する電極構造ではなく、セラミックス測定管の外側に面電極を配置し起電力を計測しています。
原理・特長
従来の電磁流量計では測定が難しかった
・純水、エチレングリコールといった低導電率流体
・パルプスラリーなどの高濃度スラリー流体
・糖液などの付着性流体
・混酸など材質選定が難しい腐食性流体
といった測定可能なアプリケーションが広がりました。
一般の電磁流量計でも非満水状態で流量を計測することが可能ですが、誤差が大きく実用的ではありません。また、電極が流体に接しなくなれば測定不可能となります。非満水用電磁流量計は、電極を下部に設けることにより、低液位まで流体が電極に接することが出来るようにし測定範囲を広げました。さらに、東芝独自の技術である関数磁界分布の技術を応用し測定管内の磁界の分布を工夫にすることにより、低水位から満水までの変化に対しても精度良く流量測定できるようにしました。
原理・特長
起電力を取り出すには、最低2個の電極が必要です。非満水電磁流量計は下部の1個の電極と検出器両側のアースリングが電極となり起電力を取り出しています。
構造
- ライニングの役割はですか?
- アースリングの役割は何ですか?
- 電極シール面から液は漏れませんか?
- シール部分の経年劣化は生じませんか?
- 保護等級IP67とは何ですか?
- 分離形と一体形で精度差はないのですか?
流体中に発生した起電力を有効に取り出すために、電極以外の測定管内面を絶縁しておく必要があり、ライニングが必要となります。ライニング材質には、セラミック、フッ素樹脂、ゴムなどを採用しています。
流体をアースすることにより、発生した起電力を安定的に計測することが可能となります。アースリングは接液していますので、測定流体にあった材質を選ぶ必要があります。
パッキン等によりシールしています。製造時に気密試験を実施しています。
シール材はライニング材料と同じゴムやテフロンを採用しており、ライニングと同等の寿命が有ります。
日本工業規格で規定された、防水や防塵の程度を表す等級です。
IP67の「6」は防塵の程度を表しています。(「6」は、粉塵が中に入らない耐塵形)
「7」は防水の程度を表しています。(「7」は、一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない防浸形、「8」は継続的に水没しても内部に浸水することがない水中形)
当社製品はIP67が標準仕様です。一部機種でIP68での対応が可能です。
精度の差は有りません。分離形の方がより高温の流体測定が出来ます。また、高所や狭所で流量を測定する場合は、変換器を離れた場所に設置できる分離形の採用を推奨しております。
被測定流体
- 流体は何でも測れるのですか?
- ガスや蒸気は測れませんか?
- 気泡が入っても問題無いですか?
- 固形物が入っても問題無いですか?
- 油分を含んでいても測定できますか?
- 混合液は問題無いですか?
- 高温または低温流体は測定できますか?
- 酸やアルカリ溶液は測定できますか?
- カーボンの様な導電物が混入しても測定できますか?
- 磁性体が混入しても問題無いですか?
導電率が5μS/cm以上の液体であれば測定が可能です。固形物を含むスラリー流体も測定することが可能です。
また、非接液電極形電磁流量計LF511/LF541シリーズであれば、導電率の低い流体(純水など)も計測することが可能です。
<測定できる流体>
純水(LF511/LF541)、上水、下水、工業用水、農業用水、海水、排水、浚渫土砂液、パルプ液、セメントミルク、酸・アルカリ溶液、薬品、ビール、ジュース、消火液、医薬品など
<測定できない主な流体>
油・油脂類、気体(ガス)、蒸気などです。
測れません。導電率が5μS/cm以上(LF511/LF541シリーズは0.01μS/cm以上)の液体の流量計測が可能です。
気泡が流体中に分散している場合は、気泡も流体として測定してしまうため、その分が誤差となります。また気泡が大量の場合はエンプティーアラームが発生する場合があります。気泡の無い場所を選んで取り付けるか、上流側に気泡抜きを設けてください。
固形物を含んでいても問題無く測定ができます。
<測定できる流体例>
パルプ液、セメントミルク、土砂スラリー、ジャムなど
油分が流体中に分散し、導電率が5μS/cm以上(LF511/LF541シリーズは0.01μS/cm)あれば測定できます。油分が分離し2層流となっているときは正しい流量は測れません。また油が電極表面に付着すると絶縁膜を形成し測定ができなくなります。定期的な清掃を実施してください。LF511/LF541シリーズは、電極が接液しない構造となっているため、このようなアプリケーションには最適です。
良く混ざり合っていれば問題ありません。薬品注入等は、電磁流量計の下流側で行うか、上流側の場合は混ざり合うだけの距離を設けてください。
ライニングの種類により対応可能な流体温度が異なります。
セラミック:-10~180℃(120℃以上の場合は分離形)
テフロンPFA:-10~120℃
FEP:-20~100℃
PTFE:-20~120℃
ポリウレタンゴム:-20~60℃
EPDMゴム:-10~80℃
接液部(電極、アースリング及びライニング)材質を選択することにより測定できます。
カーボンがライニングに付着し、電極間が繋がってしまわない限り測定可能です。しかし、カーボンの付着が進むと正確な流量測定ができなくなってしまいます。
少量であれば問題はありませんが、大量の磁性体により測定管内の磁束が乱されると正確な流量が測定できなくなります。
特徴
- ラインナップは?
- 何が特長なのか?
- 関数磁界分布方式とはなんですか?
- セラミックスは割れないのか?
- アレスタは付けることが出来るか?
- 校正はどのようにすればいいのか?
- 2線式のラインナップはありますか?
- どのような出力がでますか?
・低導電率流体や高濃度スラリー流体に対応した非接液電極形
・食品、医薬品製造ラインでの使用に対応したサニタリ形
・独自の測定方式により、非満水状態の流量測定を可能とした非満水用
といった製品をラインナップしています。
高信頼性、高耐久性、高精度が特徴です。
また、独自技術により下記の特徴を有しています。
(1)関数磁界分布方式により、偏流の影響を受けにくい
(2)ノイズサプレッサー回路を標準搭載し、スラリーノイズに強い
(3)セラミック測定管を採用し、摩耗流体に強い(LF410シリーズ)
電磁流量計内部の流体中の磁界分布(磁界の強度分布)を不均一にし、流体中の各部で発生した起電力の電極への影響度合いを出来るだけ均一になるようにした独自の磁界方式です。この技術により、偏流があっても精度良く測定をすることが可能になりました。
セラミックは、一般のせとものに比べ強度が格段に高く、通常の測定なら土砂等を含む流体でも割れることは有りません。ただし、規定以上に早い(急激な)温度変化が生じた場合や、内部流体が凍結した場合に割れることが有ります。凍結はセラミック以外の測定管の場合でも破損に至る事が有ります。凍結の恐れがある場合は、水抜きまたは保温等の対策をしてください。
電源回路、及び電流出力回路に標準搭載しています。
変換器LF620シリーズは、標準で基準入力信号発生回路を内蔵しており、キャリブレーター不要で変換器単体の校正が可能です。また、お引き取りの上、実流試験および再校正を実施することも可能です。(有償)
当社製品はすべて4線式です。
変換器LF620シリーズは、標準で電流出力1点(アナログ信号DC4~20mA)、デジタル出力2点(パルス出力や警報出力など任意に設定可能)を搭載しています。また、デジタル入力1点も標準搭載しているため、外部信号によるゼロ点調整や固定出力モードへの切り替えなどの制御が可能です。
設置
- 屋外に設置してもよいのですか?
- 挟み込み形(ウエハー形)とフランジ形はどう使い分けるのか?
- 直管長はどれだけ必要ですか?
- 検出器の取り付け姿勢は決まっていますか?
- 振動が大きいがそういう所でも問題ないか?
- ピットの中に設置するので湿度が高いし、水没の可能性もあるのですが、設置できますか?
- 流体が満水にならない可能性があるのですが?
- 放流のラインに流量計の設置を検討しているのですが?
- 近くに大きなインバータを使ったポンプがあるが影響はないのですか?
- 検出器と変換器はどの位離して設置できますか?
- 分離形の場合、専用ケーブル以外は使えないのですか?
- 分離形の専用ケーブルの途中にコネクタを設けたいのですが?
- 分離形でケーブルを長くした場合ノイズの影響は受けないのか?
問題ありません。但し、変換器は60℃以上にならないよう設置してください。(例えば直射日光にさらされないよう日陰を選ぶ、屋根を付ける等)
例えば、保守点検で検出器の片側の配管のみ取り外す等、「取り付け、取り外し工事」の都合でフランジ形を選択されることが有ります。また、ウエハー形はフランジ形に比べコストメリットが高い点、面間が狭いという点でメリットがあります。
上流側:5D,下流側:不要です(ただし、弁等がスイングして検出器側に入り込まないこと)
上流側に流量調整弁がある場合は、直管長10Dが必要となります。
※一部該当しない機種があります。
取り付け姿勢に制限は有りません。水平配管に電極が水平になるよう取り付けるのが最も標準的な取り付け姿勢です。垂直配管や斜め配管にも取り付けが可能です。ただし一体形の場合は変換器の向きに制限がありますので、変換器の向きを考慮して取り付け場所を選択して下さい。
(測定管内が常時満液となるように設置してください)
振動対策として、変換器の基板にスティッキング処理を行い、振動による故障対策を実施しています。車載、土木機械組み込みなどでご評価をいただいております。さらなる対策として、分離形を選択し、変換器は振動の少ない場所に設置するという方法もございます。
分離形を選択し変換器は水没の恐れの無い場所に設置下さい。長期間水没する可能性があれば、水中形検出器を選択してください。
一般の電磁流量計をご使用の場合は、検出器の下流側が高くなるような配管構成にし、測定管部が必ず満水になるようにしてください。
傾斜により放流する場合は、配管内が非満水の状態となります。非満水用電磁流量計LF502/LF232シリーズを推奨いたします。
ノイズ除去回路を搭載していますが、強力なノイズの場合は影響がでる可能性があります。電磁流量計の電源やアースは、これらの強電機器との共用をさけ、出来るだけ離して設置下さい。
流体の導電率によりますが、最大で300mまで離すことが可能です。
(分離形が対応可能な機種に限ります)
使用できません。必ず専用ケーブルをご使用ください。
絶縁劣化やノイズの原因になりますので不可です。
ケーブルからのノイズを受けやすくなります。このため、ケーブルは個別の厚鋼電線管に入れ、高電力機器等から出来るだけ離して設置して下さい。
パラメータ設定
- レンジ等の設定変更はどのようにやるのですか?
- 初期設定はどのようになっていますか?
- 一体形で変換器の表示の向きを変えられないのですか?
- 表示の向きの変更は設置後でもできますか?
- 流れが反対になった場合はどうなりますか?
変換器の赤外線スイッチ操作により、設置後でも変更することが可能です。特別な機材は必要ありません。コンフィギュレータBF100を使用すると、HART通信によりパラメータ設定を変更することができます。
取扱説明書に工場出荷時の初期設定一覧(標準設定)を記載しています。レンジ設定やパルス設定は、製品に同梱されている試験成績書にも記載してあります。また、本体操作により現状の全パラメータを確認することが可能です。
液晶の表示向きは、パラメータ設定により90度ずつ回転させることが可能です。また、流れ向きもパラメータ設定により逆転させることが可能です。
ご注文時にご指定をいただければ、表示の向きや流れ向きを設定の上、出荷させていただきます。また、設置後でも、パラメータ設定変更により表示向き、流れ方向を変更することが可能です。
標準の設定では、アナログ出力、パルス出力とも、逆流時は出力しません。ただし、表示器はマイナス表示します。正逆レンジ設定でご使用の場合は、逆流時にも出力します。また接点出力により、現状の正逆方向を判別することが可能です。正逆レンジへの変更は、設置後でも可能です。
保守
一般的にはほとんど不要ですが、長期安定稼動のために以下の点検をお願いします。
ゼロ点チェック:流体を静止させ、ゼロ点を確認、調整します。
ヒューズ確認:定期的に交換して下さい(推奨交換周期:約3年)。
LCDチェック:表示が薄くなったりにじみが出ていないかを確認してください。
検出器測定管内部清掃:特にスラリー流体では、測定管内面に固形物の付着が生じる事が有ります。柔らかいブラシ等でライニング面を清掃して下さい。油分がある場合は家庭用の中性洗剤等で洗浄してください。
標準的な使用条件において、出荷後10年です。寿命は、設置環境(周囲温度など)や使用方法によって異なります。製品を長期間安定してご使用いただくためにも定期的な点検や清掃、部品の交換を推奨いたします。
固形物が付着しているときは、電極表面に傷が付かないよう、柔らかいブラシで清掃して下さい。油分が付着している場合は家庭用の中性洗剤等で洗浄してください。
トラブル
下記の原因が考えられます。
(1)測定管内に汚れが付着している⇒測定管内の清掃を実施してください。
(2)比較対象の指示が高めに出ている⇒比較対象を確認してください。
(3)流量計の故障⇒修理、更新が必要です。ご購入窓口へご依頼ください。
下記の原因が考えられます。
(1)測定管内が満液になっていない⇒測定管内が満液になるようにしてください。
(2)比較対象の指示が低めに出ている⇒比較対象を確認してください。
(3)流量計の故障⇒修理、更新が必要です。ご購入窓口へご依頼ください。
下記の原因が考えられます。
(1)流量計の積算カウンターがストップしている⇒積算カウンターをスタートにしてください。
(2)設定が間違っている⇒出力設定を確認してください。DO1からパルス出力する場合は「PLUS OUT」に設定する必要があります。
(3)結線が間違っている⇒結線のプラスマイナスを確認してください。プラスがDO1、マイナスがCOMに接続されているかを確認してください。
(4)信号ラインに電圧がかかっていない⇒受信器側(カウンターなど)から電圧をかけていただく必要があります。
(5)流量計の故障⇒修理、更新が必要です。ご購入窓口へご依頼ください。
下記の原因が考えられます。
(1)測定管内が満液になっていない⇒測定管内が満液になるようにしてください。
(2)流体の導電率が低すぎる⇒流体の導電率を確認してください。5μS/cm以下の場合は、汎用電磁流量計では測定ができません。非接液電極形電磁流量計LF511/LF541シリーズへの置き換えをご検討ください。
(3)測定管内(特に電極表面)に汚れが付着している⇒測定管内の清掃を実施してください。
(4)流量計の故障⇒修理、更新が必要です。ご購入窓口へご依頼ください。
下記の原因が考えられます。
(1)電源が供給されていない⇒流量計端子台で電圧の測定を実施してください。
(2)ヒューズが切れている⇒ヒューズの交換を実施してください。
(3)流量計の故障⇒修理、更新が必要です。ご購入窓口へご依頼ください。
付属品
オプション付属品として、検出器配管用ボルト・ナット・パッキン、専用ケーブル(分離形の場合)、変換器取り付け金具等が有ります。
1台に各1部標準で付属しています。