コンピテンシーとは?
評価項目・具体例や導入方法をわかりやすく解説

「コンピテンシーとは何か」「スキルや能力とは何が違うのか」「人事評価にどう取り入れればよいのか」と疑問を持つ人事担当者もいるのではないでしょうか。

コンピテンシーとは、仕事で高い成果を生み出す人材に見られる行動特性のことです。知識やスキルを持っているかだけでなく、それらを実際の業務でどのように発揮し、成果につながる行動を取っているかに着目します。

コンピテンシーを人事評価に取り入れると、社員に期待する行動を明確にでき、評価基準の具体化や人材育成に役立ちます。ただし、評価項目が抽象的だったり、評価者によって解釈が異なったりすると、適切な評価につながらない可能性もあるため、制度設計と継続的な運用が欠かせません。

本記事では、コンピテンシーの意味やスキル・能力との違いをはじめ、評価項目と具体的な行動例、人事施策への活用方法、導入する4つの手順、メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。

コンピテンシーとは?

コンピテンシーとは、人事領域において、一般に高い成果を生み出す人材に見られる行動特性を指します。単に知識やスキルを保有しているかではなく、それらを業務のなかでどのように活用し、成果につながる行動として発揮しているかに注目する考え方です。

たとえば、営業担当者が豊富な商品知識を持っていても、それだけで高い成果を上げられるとは限りません。顧客の話を丁寧に聞いて課題を把握し、状況に応じた解決策を提案するなど、知識を生かした具体的な行動が重要になります。

コンピテンシーには、研究上、動機や価値観などの内面的な特性まで含める考え方もあります。一方、人事評価では、評価の根拠を明確にするため、実際に観察・確認できる行動に落とし込んで活用することが重要です。

本記事では、人事担当者が評価制度に活用しやすいよう、コンピテンシーを「成果につながる行動特性」として解説します。

コンピテンシーとスキル・能力の違い

コンピテンシーとスキル・能力の違いは、着目する対象にあります。スキル・能力は「何ができるか」を重視するのに対し、コンピテンシーは「成果につながる行動をどのように取っているか」を重視します。

スキルや能力を保有しているだけでなく、それらを実際の業務でどのように発揮しているかを捉えるのが、コンピテンシーの考え方です。

それぞれの違いを整理すると、次のとおりです。

項目 主に着目するポイント 具体例
コンピテンシー 知識やスキル・能力を活用し、成果につながる行動を取っているか 顧客の課題を把握する、関係者と連携する、自ら改善策を実行する
スキル 業務に必要な技能・技術を身につけているか PC操作、語学力、プログラミング
能力 業務を遂行するために必要な力を備えているか 分析力、論理的思考力、問題解決能力

 

たとえば、営業担当者が豊富な商品知識や高いプレゼンテーションスキルを持っていても、それだけで高い成果を上げられるとは限りません。顧客の課題を丁寧にヒアリングし、相手の状況に合わせて提案内容を工夫するなど、知識やスキルを具体的な行動として発揮することが重要です。

ただし、コンピテンシーとスキル・能力は対立する概念ではなく、相互に関連しています。人事評価では、社員が保有する知識やスキル・能力に加えて、それらを業務でどのように活用しているかを確認することで、強みや育成課題をより具体的に把握できるでしょう。

コンピテンシー評価とは

コンピテンシー評価とは、社員が実際の業務で発揮した行動特性を、あらかじめ設定した行動基準に基づいて評価する方法です。売上や目標達成率などの成果だけでなく、成果に至る過程でどのような行動を取ったのかも確認します。

たとえば、営業担当者を評価する場合、売上目標の達成率に加えて、次のような行動を評価対象にすることが考えられます。

  • 顧客へのヒアリングを通じて、潜在的な課題まで把握したか
  • 顧客の状況に応じて、提案内容や説明方法を工夫したか
  • 関係部署と連携し、顧客の課題解決に向けて行動したか
  • 商談結果を振り返り、次の提案に向けて改善を行ったか

コンピテンシー評価では、「顧客志向が高い」といった印象だけで判断するのではなく、実際にどのような行動があったのかを確認することが重要です。成果だけでは把握しにくい行動プロセスを評価対象にすることで、社員に求める行動を具体的に示し、今後の育成や業務改善につなげやすくなります。

ただし、行動だけで業績評価のすべてを代替できるわけではありません。成果に関する評価と役割に応じたコンピテンシー評価をどのように組み合わせるか、導入目的に合わせて設計する必要があります。

コンピテンシー評価の項目・行動例

コンピテンシーを評価制度に取り入れる際に重要なのは、どのような行動を評価項目として設定するかという点です。

全社員に共通して設定しやすい項目もあれば、職種や役職、役割ごとに内容を変えたほうが適切な項目もあります。また、「主体性がある」「協調性がある」といった抽象的な言葉だけでは、評価者によって判断が分かれかねません。

こうした認識のずれを抑えるには、評価項目ごとに具体的な行動例と達成基準を設定することが重要です。

全社員に共通する項目に加え、職種・役職別の項目や評価レベルを組み合わせると、自社の業務実態に合った評価制度を設計しやすくなります。

全社員に設定しやすいコンピテンシーの例

全社員に共通するコンピテンシーには、主体性や課題解決力、協調性などが挙げられます。

これらは職種を問わず求められることがある行動特性ですが、実際に評価する際は、具体的な業務上の行動に置き換える必要があります。

以下は、全社員向けの評価項目と行動例です。

評価項目 行動例
主体性 指示を待たずに担当業務の課題を発見し、必要な対応を自ら判断して実行
課題解決力 業務上の問題について原因を分析し、解決策を立案・実行する
協調性 関係者と必要な情報を共有し、役割を調整しながら業務を進める
顧客志向 顧客の要望や背景を確認し、課題に応じた対応を行う
改善意識 業務上の非効率やミスの発生原因を見つけ、改善策を実行する

 

たとえば「協調性」を評価する際には、単に周囲と仲がよいかどうかではなく、必要な情報共有や役割調整など、業務上の具体的な行動を確認します。

また、すべての項目を一律に採用する必要はありません。自社の経営方針や組織文化、社員に期待する役割に合わせて、重視すべきコンピテンシーを選定しましょう。

職種・役職別のコンピテンシー例

成果につながる行動は、社員が担当する業務や役割によって異なります。

営業職では顧客の課題を把握する行動、管理職では組織目標の達成に向けてメンバーを支援する行動など、職種・役職に応じた基準が必要です。

代表的な職種・役職別のコンピテンシー例を紹介します。

対象 重視する行動特性 具体的な行動例
営業・顧客対応職 顧客志向 顧客の要望だけでなく背景にある課題を把握し、状況に応じた提案を行う
管理職 リーダーシップ チームの目標を共有し、メンバーの役割を調整しながら業務を推進する
部下・後輩を育成する立場の社員 人材育成 相手の強みや課題を把握し、成長段階に応じた指導やフィードバックを行う
企画職 課題設定 データや現場の意見を分析し、優先的に取り組むべき課題を明確にする
管理・間接部門 業務改善 定型業務の問題点を分析し、効率化やミス削減につながる改善策を実行する

 

これらの項目を設定する際は、自社で継続的に成果を上げている社員の行動を分析する方法が考えられます。

ただし、特定の社員の成功体験をそのまま全員の評価基準にするのは適切とは限りません。本人の行動だけでなく、担当顧客や業務環境、利用できるリソースなどが成果に影響している可能性もあるためです。

複数の社員の行動を比較し、共通する特徴を整理するとともに、経営戦略や今後の事業環境も踏まえて評価項目を設定することが大切になります。

評価レベル別の行動基準例

コンピテンシー評価では、評価項目ごとに行動の発揮レベルを段階的に設定する方法があります。

たとえば、「主体性」という項目を5段階で評価する場合、以下のような行動基準が考えられます。

レベル 行動基準の例
レベル1 担当業務について、指示された内容や手順を確認しながら取り組んでいる
レベル2 担当業務の目的を理解し、必要な作業を自ら判断して遂行している
レベル3 担当業務の課題を自ら発見し、改善に向けて工夫し、行動している
レベル4 担当業務に関する課題について、関係者と連携しながら改善策を実行している
レベル5 担当する業務や役割の範囲で、継続して発生する課題を捉え、新たな仕組みの提案・実行・定着に取り組んでいる

※上記は評価基準の設計例です。職種・等級・担当業務に応じて、各レベルに期待する行動を調整する必要があります。

評価レベルを設定するときは、「積極的に行動している」「十分に能力を発揮している」など、解釈が分かれやすい表現を避けましょう。

「課題を発見し、改善策を提案した」「関係者と連携して改善策を実行した」といった確認可能な行動にすると、評価の根拠を明確にできます。

また、職位や担当範囲の広さだけで評価レベルが決まらないように注意が必要です。管理職と一般社員では担当する権限や業務範囲が異なるため、それぞれの役割のなかで期待される行動を定義しましょう。

コンピテンシーを人事施策に活用する方法

コンピテンシーは、人事評価だけでなく、採用・配置や人材育成、キャリア形成など、さまざまな人事施策に活用できます。社員に求める行動を明確にすることで、評価基準の具体化や採用時の判断材料の充実、個人に応じた育成計画の策定に役立ちます。

ここでは、コンピテンシーを人事施策に活用する具体的な方法を解説します。

人事評価に活用する

コンピテンシーを人事評価に取り入れることで、成果だけでなく、成果に至る過程で見られた行動も評価対象にできます。たとえば、売上という結果だけを見るのではなく、「顧客ニーズを適切に把握したか」「周囲と連携して提案を進めたか」といった行動を確認します。

どのような行動が評価されるのかを明確にしておくと、社員自身も日常業務で意識すべき行動を理解しやすくなるでしょう。ただし、コンピテンシーを設定しただけで評価が自動的に公平になるわけではありません。評価基準の具体化や評価者研修などもあわせて行うことが重要です。

採用・配置に活用する

採用活動では、コンピテンシーを自社が求める人物像の具体化や面接時の評価基準として活用できます。

たとえば、「主体性」を重視する場合、応募者に「あなたは主体性がありますか」と尋ねるだけでは、具体的な行動を把握しにくいでしょう。

そこで、以下のような質問を通じて、過去の経験を確認する方法が考えられます。

  • 自ら課題を発見し、改善に取り組んだ経験を教えてください。
  • その課題に対して、具体的にどのような行動を取りましたか。
  • 行動した結果、何が変わりましたか。
  • その経験から何を学び、その後どのように生かしましたか。

面接での印象だけでなく、応募者が実際にどのように行動してきたのかを確認することで、自社が求める人材像との適合性を判断する材料を増やせるでしょう。また、社員の行動特性を把握できれば、本人の強みを発揮しやすい部署や役割を検討する際の参考情報として活用できます。

人材育成・キャリア形成に活用する

コンピテンシーを人材育成に活用すると、社員に期待する行動と実際に発揮している行動の差を整理できます。

たとえば、管理職候補の社員に対し、「他者育成」をコンピテンシーとして設定している場合を考えてみましょう。

業務遂行能力は十分でも、後輩への指導やフィードバックに関する行動が不足しているなら、次のような育成施策が考えられます。

  • OJTを通じて後輩指導を経験してもらう
  • フィードバックや面談に関する研修を実施する
  • 上司が指導場面を観察し、具体的な改善点を伝える

このように、評価結果と育成施策を結びつけると、一人ひとりの課題に応じた育成計画を立てやすくなります。

また、職種や等級ごとに求めるコンピテンシーを明確にしておけば、社員自身も次のキャリアに向けて必要な行動を理解しやすくなるでしょう。

ただし、評価結果だけで育成方針を決めるのではなく、本人のキャリア希望や業務経験、今後求められるスキルなども考慮することが大切です。

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コンピテンシー評価のメリット・デメリット

コンピテンシー評価には、社員に求める行動を明確にし、評価基準の具体化や人材育成に役立てられるメリットがあります。一方で、評価項目の設計や行動の把握に手間がかかり、評価者によって判断がばらつく可能性もあるため、注意が必要です。

主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

項目 内容
コンピテンシー評価のメリット
  • 社員に求める行動を明確にできる
  • 成果だけでなく、行動プロセスも評価できる
  • 社員の強みや育成課題を把握しやすくなる
コンピテンシー評価のデメリット
  • 評価項目や行動基準の設計に手間がかかる
  • 評価者によって判断がばらつく可能性がある
  • 評価者研修や評価基準の定期的な見直しが必要になる

 

ここでは、コンピテンシー評価を検討するうえで押さえておきたい良い点と注意点の両方を解説します。

コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価の主なメリットは、社員に求める行動を明確にし、評価基準の具体化や人材育成につなげられることです。成果だけでは見えにくい行動プロセスを把握することで、社員の強みや改善すべき点も整理しやすくなります。

具体的には、以下の4つのメリットが挙げられます。

メリット 内容
評価基準を明確にできる
抽象的な評価項目を具体的な行動に置き換えることで、評価者と社員の認識を合わせやすくなる
成果に至るプロセスも評価できる
売上や目標達成率などの結果だけでなく、成果につながる行動や工夫も評価対象にできる
人材育成に活用できる 社員の強みや改善すべき行動を把握し、研修やOJTなどの育成施策につなげやすくなる
求める人材像を共有できる 自社が重視する行動特性を明確にすることで、採用や配置、昇格などの人事施策に一貫性を持たせやすくなる

 

たとえば、「リーダーシップがある」という抽象的な基準を「チームの目標を共有し、メンバーの役割を調整する」といった具体的な行動に置き換えることで、何を評価するのかが明確になります。

また、評価結果から改善すべき行動を特定できれば、次の評価期間の目標設定や育成計画にも反映できるでしょう。

ただし、コンピテンシー評価を導入するだけで、評価の公平性や人材育成の効果が自動的に高まるわけではありません。行動基準を具体化し、評価結果をフィードバックや育成施策に活用することが重要です。

コンピテンシー評価のデメリット

コンピテンシー評価のデメリットは、評価項目や行動基準の設計に手間がかかることです。また、評価者によって基準の解釈や判断の厳しさが異なる場合もあり、適切な運用体制を整える必要があります。

主なデメリットと対策は、以下のとおりです。

デメリット 対策
評価項目の設計に手間がかかる 自社の経営方針や職務内容を踏まえ、必要な項目に絞って設定する
評価者によって判断がばらつく 具体的な行動基準を設け、評価者研修や評価者会議で認識をすり合わせる
社員の行動を把握する負担が生じる 評価対象期間中の行動事実を記録し、具体的な根拠に基づいて評価する
評価基準の見直しが必要になる 経営戦略や業務内容の変化に合わせて、評価項目や行動基準を定期的に更新する

 

たとえば、「主体性を発揮している」という抽象的な基準だけでは、評価者によって判断が異なる可能性があります。「自ら課題を発見し、改善策を提案・実行している」など、確認可能な行動に落とし込むことが大切です。

さらに、事業戦略や仕事内容が変化すると、成果につながる行動も変わる場合があります。一度設定した評価基準を固定せず、現場の意見や運用状況を確認しながら、継続的に見直しましょう。

コンピテンシー評価を導入する4つの手順

コンピテンシー評価を導入する際は、評価項目を作成するだけでなく、導入目的の明確化から評価基準の設計、評価者への共有、試行運用まで計画的に進めることが重要です。

導入の基本的な流れは、次の4つの手順に整理できます。

  1. 導入目的と対象を決める
  2. 求める行動を分析し、評価項目・基準を作る
  3. 評価者間で評価基準を共有する
  4. 試行運用し、評価項目・基準を見直す

手順1:導入目的と対象を決める

まずは、なぜコンピテンシー評価を導入するのかを明確にします。

たとえば、企業によって次のような目的が考えられます。

  • 評価者による判断のばらつきを抑えたい
  • 管理職に求める行動を明確にしたい
  • 社員一人ひとりの育成課題を把握したい
  • 採用・育成・評価に共通する人材要件を設けたい

目的が曖昧なまま導入を進めると、評価項目が必要以上に増えたり、既存の人事制度との関係が不明確になったりするおそれがあります。

そのため、まずは自社の人事制度にどのような課題があるのかを整理し、コンピテンシー評価によって何を実現したいのかを定めましょう。

あわせて、導入対象となる職種や等級、部門も決定します。

必ずしも最初から全社員に導入する必要はありません。管理職層や特定の部門など、優先度の高い対象から導入し、運用状況を確認しながら対象範囲を広げる方法も考えられます。

また、評価結果を人材育成のみに活用するのか、昇格や処遇の判断にも用いるのかによって、求められる制度設計は異なります。評価結果の用途についても、この段階で整理しておくことが大切です。

手順2:成果を出している人材の行動から評価項目・基準を作る

次に、自社で継続的に成果を上げている人材の行動を分析し、評価項目と行動基準を作成します。

具体的には、高い成果を上げている社員やその上司へのヒアリング、業務プロセスの確認などを通じて、成果につながる行動を抽出する方法があります。

たとえば、営業職であれば、以下のような点を確認するとよいでしょう。

  • 顧客の課題を把握するために、どのような質問をしているか
  • 提案内容を検討する際、何を判断材料にしているか
  • 商談が難航した場合、どのような対応を取っているか
  • 受注後の振り返りや改善に、どのように取り組んでいるか

「成果を出すために何を意識していますか」といった抽象的な質問だけでなく、実際の場面や行動を掘り下げることが重要です。

ただし、高い成果を上げている社員の行動をそのまま評価基準にするのではなく、経営方針や事業戦略、職務・役割において今後求められる行動との整合性も確認しましょう。そのうえで、複数の社員に共通して見られる行動や、自社として重視すべき行動を抽出し、コンピテンシーとして定義します。

さらに、「できている・できていない」だけでなく、行動の発揮レベルを判断できる段階的な評価基準まで設定すると、評価しやすくなるでしょう。

手順3:評価者へ基準を共有する

評価項目と行動基準を作成したら、評価者間で共有します。同じ評価項目を使用していても、評価者によって解釈や判断の厳しさが異なれば、評価結果にばらつきが生じる可能性があるためです。

まずは、管理職向けの評価者研修などを通じて、コンピテンシー評価の目的や評価項目の定義、行動基準、評価方法を説明しましょう。実際のケースを使って評価する練習を行うことも有効です。

また、評価者会議などを設け、同じ事例に対する評価結果を比較しながら基準の認識をすり合わせる方法もあります。

評価シートには、評価点だけでなく、判断の根拠となった具体的な行動を記録する欄を設けるとよいでしょう。

評価者間で基準を共有するとともに、評価される社員に対しても、どのような行動が求められているのかを事前に説明することが重要です。

手順4:試行運用して評価項目・基準を見直す

コンピテンシー評価の制度設計と評価者への共有が完了したら、試行運用を実施します。

最初は特定の部門や職群に対象を限定し、実際の評価サイクルを通じて制度が機能するかを確認する方法があります。

試行運用では、次のような点をチェックしましょう。

  • 評価項目が多すぎず、現場で運用できるか
  • 行動基準の意味が評価者と社員に正しく伝わっているか
  • 評価に必要な行動事実を確認できるか
  • 同じような行動に対し、評価者間で大きな判断の違いが生じていないか
  • 評価結果をフィードバックや育成施策に活用できるか

実際に運用すると、設計段階では気づかなかった問題が見つかることもあります。

たとえば、「評価項目が多く、すべての行動を確認できない」「評価レベルの違いがわかりにくい」といった課題が発生するかもしれません。

その場合は、評価者や社員から意見を集め、項目数や行動基準、評価方法を見直しましょう。

一度の試行で制度を完成させようとせず、運用上の課題を改善しながら、必要に応じて対象範囲を広げていくことが大切です。

コンピテンシーを評価だけで終わらせず人材戦略に生かすポイント

コンピテンシーを導入する目的は、社員を評価することだけではありません。評価結果を人材育成や配置、昇格などの人事施策につなげ、継続的に運用することで、コンピテンシーをより有効に活用できます。

ここでは、コンピテンシーを人材戦略に活かすために押さえておきたい2つのポイントを解説します。

評価・スキル・経験などの人材情報を一元化する

コンピテンシーを人材戦略に活用するには、評価結果に加えて、社員のスキルや業務経験、資格、所属、等級などの人材情報を一元的に管理することが重要です。これらの情報がExcelや複数のシステムに分散していると、必要な情報の収集や確認に時間がかかり、人材育成や配置の検討に十分活用できない可能性があります。

たとえば、管理職候補を検討する場合、コンピテンシー評価の結果だけでなく、マネジメント経験や専門スキル、本人のキャリア希望なども確認する必要があるでしょう。

人材情報をまとめて把握できれば、社員の強みや経験を多面的に確認し、育成方針や配置を検討する際の材料を整理しやすくなります。

また、評価基準と等級要件、昇格基準などに一貫性を持たせることも大切です。

管理職に求めるコンピテンシーとして「他者育成」を設定する場合、管理職への昇格要件にも、後輩の育成や適切なフィードバックに関する行動基準を組み込む方法があります。

採用、評価、育成、昇格で求める人物像や行動要件が整合していれば、社員も自身に期待される役割を理解しやすくなるでしょう。

なお、人材情報を一元化する際は、情報の利用目的や閲覧権限を明確にし、評価情報を適切に管理する必要があります。

評価結果を人材育成・配置へつなげる

コンピテンシー評価は、結果を示すだけでなく、社員の育成や配置などの具体的な施策につなげることが重要です。評価によって明らかになった強みや改善すべき行動を、次の評価期間の目標や育成計画に反映しましょう。

たとえば、「周囲を巻き込む行動」に改善の余地がある社員には、小規模なプロジェクトのリーダーを任せるなど、実務を通じて成長できる機会を設ける方法があります。また、本人の強みを生かせる部署や役割を検討する際にも、評価結果を参考にできます。

ただし、評価結果だけで育成方針や配置を決めるのではなく、本人の希望やスキル、経験なども考慮することが大切です。

「評価→フィードバック→育成・実践→再評価」のサイクルを継続し、社員の成長につなげましょう。

人材情報を効率的に管理するならGeneralistがおすすめ

コンピテンシーとは、高い成果を生み出す人材に見られる行動特性のことです。人事評価に取り入れることで、社員に求める行動を明確にし、評価基準の具体化や人材育成に役立てられます。

導入する際は、自社の経営方針や職務内容に合った評価項目・基準を設定し、評価者間で認識を統一することが重要です。また、評価結果を人材育成や配置、昇格などの施策につなげるには、社員のスキルや経験、評価情報を適切に管理する必要があります。

こうした人材情報の管理・活用を支援するのが、東芝の人財管理ソリューション「Generalist」です。

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