パルスサーベイとは?意味や質問項目の例、メリット・実施方法を解説
パルスサーベイとは、従業員の仕事への満足度やエンゲージメント、業務負荷などを短い間隔で確認し、組織や従業員の変化を把握するための調査です。業務負荷や職場環境の変化を継続的に確認することで、離職リスクや心身の不調につながりかねない課題に早めに気づく手がかりになります。
一方で、質問項目や実施頻度の設計を誤ると、回答する従業員の負担が増えたり、調査そのものが形骸化したりする可能性もあるため、注意が必要です。
本記事では、パルスサーベイの意味や従業員満足度調査、エンゲージメントサーベイ、ストレスチェックとの違いから、質問項目・質問例、設計のポイント、結果を人事施策や組織改善につなげる方法までをわかりやすく解説します。
パルスサーベイとは?
パルスサーベイとは、従業員の仕事への満足度や業務負荷、人間関係などを短い間隔で継続的に確認する意識調査です。
「パルス(pulse)」には脈拍や鼓動という意味があります。脈拍を定期的に測って体の変化を確認するように、組織や従業員の状態を短い周期で確認することから、パルスサーベイと呼ばれるようになりました。
一般的には週次・隔週・月次などの頻度で、短時間で回答できるよう質問数を絞って実施します。質問数に一律の基準はありません。調査の目的や従業員の負担、人事部門の対応体制に合わせて、短時間で回答できる数に調整しましょう。
大規模な従業員調査と比べて質問数を絞りやすいため、従業員の回答負担を抑えながら、職場で起きている変化を継続的に把握しやすい点が特徴です。
ただし、結果を確認するだけでは十分とはいえません。必要に応じて1on1ミーティング(個別面談)や業務量の調整、職場環境の改善につなげることが重要になります。
| サーベイの種類 | 主な目的 | 実施頻度 |
質問数 |
|---|---|---|---|
| パルスサーベイ | 従業員や組織の状態の変化を継続的に把握する | 週次・隔週・月次など |
少数の質問に絞るケースが多い |
| 従業員満足度調査 | 従業員の満足度や組織全体の課題を幅広く把握する | 年1回など比較的低い頻度で行うケースが多い | 幅広い項目を調査するため比較的多い傾向 |
| エンゲージメントサーベイ |
仕事や組織に対する意欲・貢献意識などを把握する | 目的によって年次・半期・月次などさまざま |
調査目的やサービスによって異なる |
| ストレスチェック | ストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防止する | 1年以内ごとに1回 | 厚生労働省の職業性ストレス簡易調査票は57項目 |
※パルスサーベイ、従業員満足度調査、エンゲージメントサーベイには、法律などで一律に定められた質問数や実施頻度はありません。目的や調査方法によって異なります。
エンゲージメントサーベイとの違い
エンゲージメントサーベイとの主な違いは、調査の目的や実施方法にあります。
従業員エンゲージメントとは、仕事や組織に対する意欲、貢献意識、心理的なつながりなどを表す概念です。エンゲージメントサーベイでは、こうした状態を複数の観点から確認します。
一方、パルスサーベイは質問数を絞って短い間隔で繰り返し、前回からの変化を確認することに向いているのが特徴です。
ただし、両者は明確に切り分けられるものではなく、エンゲージメントに関する質問をパルスサーベイとして定期的に実施するケースも見られます。調査名称ではなく、「何を把握したいのか」「どのくらいの頻度で確認するのか」を基準に使い分けることが大切です。
従業員満足度調査との違い
従業員満足度調査との違いは、幅広い項目から組織全体の状態を把握するのか、特定の項目について直近の変化を継続的に追うのかという点にあります。
従業員満足度調査では、仕事内容や評価制度、職場環境、福利厚生など複数のテーマについて幅広く質問し、組織全体の課題を把握する方法が一般的です。
一方、パルスサーベイでは質問項目を絞り込み、比較的短い間隔で実施するのが特徴です。そのため、「最近になって業務負荷が高まっている」「チーム内で相談しにくくなっている」といった変化を継続的に確認しやすくなります。
組織全体の課題を広く把握する調査と、日々の変化を追う調査とでは役割が異なるため、両方を組み合わせて活用する方法もあります。
ストレスチェックとの違い
ストレスチェックとの大きな違いは、法律に基づいて実施する制度か、企業が目的に応じて任意に実施する調査かという点です。
ストレスチェックは労働安全衛生法に基づく制度で、労働者自身にストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防止することなどを目的としています。1年以内ごとに1回実施することが義務付けられています。
2026年9月時点では、常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施が義務付けられており、2028年4月1日からは、これまで努力義務だった50人未満の事業場にも実施義務が拡大される予定です。
一方、パルスサーベイは法令で定められた調査ではありません。仕事への満足度、業務負荷、人間関係、上司からの支援など、企業が把握したいテーマに合わせて自由に質問を設計できます。
パルスサーベイは法定のストレスチェックを代替するものではなく、目的や制度上の位置づけも異なります。日常的な職場の変化を確認する補助的な手段として活用するとよいでしょう。
参考:ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策(厚生労働省サイトに遷移します。)
パルスサーベイを実施するメリット
パルスサーベイのメリットは、従業員や組織の小さな変化を比較的早く捉え、人事施策の見直しや職場改善につなげやすいことです。
短い間隔で継続して実施するため、一度きりの調査では見えにくい変化も追いやすくなります。また、質問数を絞れば回答する従業員の負担を抑えることも可能です。
従業員や組織の変化を素早く把握できる
パルスサーベイの大きなメリットは、従業員や職場の変化を比較的早い段階で把握しやすいことです。
週次や月次など、一定の間隔で同じ項目を確認すれば、仕事への満足度や業務負荷、人間関係などが前回からどのように変化したかを追うことができます。
たとえば、ある部署で業務量や相談のしやすさに関する評価が継続的に下がっている場合、人事部門や管理職が職場の状況を確認するきっかけになるでしょう。
そのうえで必要に応じて個別面談や業務の再分配などを行えば、負担が大きくなる前に職場環境の改善に取り組みやすくなります。
ただし、サーベイの回答だけで従業員の状態や原因を断定することは避けましょう。回答結果は、あくまで状況を確認するための一つの手がかりとして活用することが重要です。
人事施策の効果を継続的に確認できる
パルスサーベイは、人事制度や働き方を変更した後に従業員がどのように受け止めているかを確認するためにも活用できます。
たとえば、評価制度の改定やテレワーク制度の導入、組織再編などの前後で同じ質問を行えば、仕事への意欲や制度への納得度といった回答がどう変化したかを確認できます。
回答のスコアが望ましくない方向に変化した場合は、追加の説明会を実施したり、制度の運用を見直したりする際の判断材料になります。
ただし、施策の前後でスコアが変化したからといって、その変化が施策だけによって生じたとは限りません。繁忙期や人事異動など別の要因が影響することもあるため、ほかの情報と合わせて分析することが重要です。
少ない質問で従業員の回答負担を抑えやすい
パルスサーベイは質問数を絞りやすいため、従業員の負担を抑えながら継続的に実施しやすい調査です。
具体的な質問数に決まりはありませんが、短時間で回答できるボリュームにすると継続しやすくなります。
長いアンケートを高い頻度で繰り返すと、回答そのものが負担になり、回答率や回答の質が低下する可能性が出てきます。
確認したいテーマを絞り込み、短時間で答えられる質問に仕上げることが重要です。
パルスサーベイを実施する際の注意点
パルスサーベイを継続して活用するには、従業員が無理なく安心して回答できる運用が欠かせません。
実施頻度や質問数が多すぎると回答が形骸化しやすく、回答内容の利用目的や匿名性が不明確であれば本音も集まりにくくなります。
集めた結果を職場改善につなげる仕組みも、導入前に決めておきましょう。
実施頻度が高すぎるとサーベイ疲れにつながる
パルスサーベイは短い間隔で実施できる一方、回数を増やしすぎると従業員が回答そのものを負担に感じる可能性があります。
毎週実施しても、人事部門や管理職が結果を確認して改善につなげられなければ、回答だけが積み重なり、調査が形骸化しかねません。
実施頻度に一律の基準はありません。従業員の回答負担や人事部門の対応状況を見ながら調整しましょう。
重要なのは「頻繁に聞くこと」ではなく、「結果を確認し、必要な対応ができること」だといえるでしょう。
質問を増やしすぎると回答の負担が大きくなる
質問項目は、把握したい情報をすべて盛り込むのではなく、導入目的に合わせて絞り込むことが重要です。
仕事への満足度や業務負荷、人間関係など、自社が優先して把握したいテーマに絞り込む方法があります。
継続的な変化を追いたい質問は固定しつつ、その時点の組織課題に合わせて一部の質問を入れ替えると、比較のしやすさと回答負担の軽減を両立させやすくなるでしょう。
従業員が安心して回答できる環境を整える
従業員の率直な回答を得るには、誰が回答を見るのか、何のために利用するのかを事前に明確にしておく必要があります。
特に少人数の部署では、匿名調査であっても所属部署や自由記述の内容などから回答者を推測できてしまう場合があります。
一定人数を下回る部署については、回答者が特定されにくいよう、単独で集計結果を表示せず上位組織とまとめて集計するなどの対策を検討しましょう。
自由記述についても、閲覧できる担当者を限定したり、個人が特定される情報を除いたうえで共有したりする配慮が求められます。
また、回答を人事評価や処遇の判断材料として使用せず、職場改善に活用するのであれば、その目的を従業員に明確に伝えることも重要です。
結果を収集するだけで終わらせない
パルスサーベイは、回答を集めてスコアを確認するだけでは十分に活用できません。
業務負荷や人間関係に関する回答から課題がうかがえる場合は、その背景を確認し、必要に応じて個別面談や業務の再分配などにつなげていきます。
会社から対応や説明がない状態が続けば、「回答しても職場は変わらない」と感じる従業員が増え、回答意欲や回答の質が低下しかねません。
結果から見えた課題、実施する改善策、その後の対応状況を従業員へ共有する流れを、あらかじめ決めておきましょう。
パルスサーベイで使える質問項目・質問例
パルスサーベイでは、仕事への満足度や業務負荷、人間関係、上司からの支援、成長実感など、自社の目的に合った質問項目を選ぶことが重要です。
毎回すべてを質問するのではなく、継続的に確認する質問と、その時点の課題に合わせて入れ替える質問を組み合わせると、従業員の負担を抑えながら変化を追いやすくなります。
また、1つの質問では原則として1つのテーマだけを聞くようにしましょう。複数の内容を1問にまとめてしまうと、回答結果を正確に解釈しにくくなります。
| 質問カテゴリ | 質問例 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 仕事・業務 |
現在の仕事にやりがいを感じていますか |
仕事へのやりがい |
| エンゲージメント | 自分の日々の業務が、会社の目標達成に貢献していると感じますか |
会社目標への貢献実感 |
| 上司・チーム | 職場内に、悩みや不安を気軽に相談できる人がいますか |
人間関係や相談のしやすさ |
| 成長・キャリア | この1か月間で、仕事を通じて成長を実感する機会はありましたか |
成長実感 |
| 働き方・コンディション | この1週間の業務量は、無理のない範囲でしたか間で、仕事を通じて成長を実感する機会はありましたか | 業務負荷 |
| 自由記述 | 職場や仕事について、改善してほしいことがあれば記入してください | 選択式だけでは把握しにくい課題や背景 |
仕事・業務に関する質問
仕事や業務に関する質問では、現在の仕事にやりがいを感じているか、自分の力を発揮できているかなどを確認します。
たとえば、次のような質問が考えられます。
- 現在の仕事にやりがいを感じていますか
- 現在の仕事で達成感を得られていますか
- 自分の知識やスキルを現在の業務で発揮できていますか
スコアが継続的に低下している場合は、仕事内容と本人の強みが合っているか、役割や業務配分に問題がないかなどを確認しましょう。
そのうえで、面談や担当業務の見直しなどにつなげることが重要です。
エンゲージメント・モチベーションに関する質問
エンゲージメントに関する質問では、会社や仕事とのつながり、組織への貢献実感などを確認します。
具体的には、次のような質問が挙げられます。
- 会社の経営理念やビジョンを理解していますか
- 会社の経営理念やビジョンに共感していますか
- 自分の日々の業務が、会社の目標達成に貢献していると感じますか
「理解しているか」と「共感しているか」は異なるため、できるだけ別の質問として設計すると結果を解釈しやすくなるでしょう。
スコアが低下している場合は、会社が目指す方向性が十分に伝わっているか、日々の仕事と組織目標とのつながりを感じられているかを確認します。
結果を会社への忠誠心の評価に使うのではなく、説明や対話を見直すための材料として活用することが大切です。
上司・チームに関する質問
上司やチームに関する質問では、意見を伝えやすいか、必要な支援を受けられるか、職場で孤立していないかなどを確認します。
質問例としては、以下が挙げられるでしょう。
- 上司はあなたの意見や提案に耳を傾けていますか
- 上司から必要なフィードバックを得られていますか
- 仕事で困ったときに上司から支援を得られますか
- 職場内に、悩みや不安を気軽に相談できる人がいますか
スコアが低下している場合は、上司との関係だけに原因を決めつけず、チーム内の連携や相談相手の有無なども含めて確認していきます。
必要に応じて個別面談やチーム内の対話につなげましょう。
成長・キャリアに関する質問
成長やキャリアに関する質問では、仕事を通じて成長できていると感じるか、現在の業務が将来のキャリアにつながっていると感じるかを確認します。
以下のような質問が代表的です。
- この1か月間で、仕事を通じて成長を実感する機会はありましたか
- 現在の業務は、自分の将来のキャリアに役立つと感じますか
- 新しい知識やスキルを身につける機会がありますか
スコアが低下している場合は、上司との関係だけに原因を決めつけず、チーム内の連携や相談相手の有無なども含めて確認していきます。
必要に応じて個別面談やチーム内の対話につなげましょう。
働き方・コンディションに関する質問
働き方やコンディションに関する質問では、業務量や仕事による負担が無理のない範囲にあるかなどを確認するのが目的です。
具体的には、次のような質問を用意します。
- この1週間の業務量は、無理のない範囲でしたか
- 現在の仕事の難易度は、自分にとって適切だと感じますか
- 必要な休息を取ることができていますか
1回の回答だけで問題があると判断するのではなく、前回から急激にスコアが下がっていないか、低い状態が継続していないかを見ることが重要です。
負担が高まっている可能性がある場合は、業務の再分配や職場の状況確認などにつなげましょう。
なお、パルスサーベイの結果だけで従業員の健康状態やメンタルヘルス不調を診断することはできません。
自由記述
自由記述は、選択式の質問だけでは把握しにくい具体的な悩みや要望を知るために役立ちます。
一方で、文章を考えて入力する必要があるため、毎回多くの記述を求めると回答負担が大きくなりかねません。
また、書き方の癖や具体的な業務内容から回答者を推測できてしまう場合もあります。誰が内容を閲覧するのかを事前に決め、現場の管理職へ共有する際も、必要に応じて個人が特定されにくい形に整理しましょう。
安心して意見を書ける環境を整えることで、自由記述を有効に活用しやすくなります。
パルスサーベイの質問を設計するポイント
パルスサーベイは、質問文だけを考えても十分には機能しません。
導入目的、質問数、実施頻度、回答方法、匿名性などを一体で設計し、集めた結果を改善につなげられる状態を整えることが重要です。
特に、従業員の負担を抑えながら継続的な変化を捉えられる設計を意識しましょう。
目的と確認したい組織課題を明確にする
最初に決めるべきなのは、パルスサーベイによって何を把握し、どのような改善につなげたいのかという点です。
離職リスクにつながる変化を早く捉えたい、新入社員の定着を支援したい、人事施策への反応を確認したいなど、目的によって必要な質問は変わってきます。
たとえば、新入社員の定着支援が目的であれば、業務への適応状況や上司からの支援、相談相手の有無などを確認するとよいでしょう。
目的が曖昧なまま質問を並べると、調査結果を得ても何を改善すべきか判断しにくくなります。
まず解決したい人事・組織課題を明確にし、そこから必要な質問を選んでいきましょう。
質問数を絞り、毎回聞く質問とテーマ質問を分ける
質問は、従業員が負担を感じずに回答を続けられる数に絞ることが重要です。
質問数に一律の基準はありません。従業員が無理なく継続して回答できる数に絞りましょう。
仕事への満足度や業務負荷など継続的な変化を確認したい項目は固定質問とし、人事制度の変更や組織再編への反応など、その時点で確認したい内容はテーマ質問として入れ替えるとよいでしょう。
すべてを毎回聞くのではなく固定質問とテーマ質問を分けることで、継続比較のしやすさと回答負担の軽減を両立できます。
目的に応じて実施頻度を決める
実施頻度は、単に多くすればよいというものではありません。把握したい変化の速さと、企業側が結果を確認・分析し、必要な対応を行える頻度に合わせて決めましょう。
パルスサーベイでは、週次・隔週・月次などさまざまな頻度が考えられます。
導入時は、人事部門が結果を確認し、必要な対応を行える頻度から始めましょう。対象者や目的に応じて、実施間隔を調整する運用も考えられます。
結果を確認しても対応できないほど頻繁に実施すると、従業員の回答負担だけが増えてしまう可能性があります。
回答尺度をそろえて変化を比較できるようにする
従業員や組織の変化を確認するには、同じ質問について回答方法をそろえておくことが重要です。
たとえば「まったくそう思わない」から「非常にそう思う」までの5段階評価など、一定の尺度を継続して使用します。
同じ尺度で回答してもらうことで、現在のスコアだけでなく、前回から下がったのか、低い状態が続いているのかといった推移を確認しやすくなるでしょう。
パルスサーベイでは単発の平均値だけで良し悪しを判断せず、過去からの変化や複数回の推移を見ることが大切です。
匿名・記名は目的や組織状況に応じて選ぶ
匿名か記名かは、従業員が安心して回答できることと、調査後にどのような対応をしたいかの両面から決めます。
匿名調査は、記名式に比べて率直な回答を得やすい場合がある一方、回答した本人を特定できないため特定の従業員への個別支援には向きません。部署や組織単位の傾向を把握し、職場改善につなげる目的に適しています。
記名調査では、利用目的を明確にし個人情報を適切に取り扱ったうえで、個別のフォローにつなげやすくなります。一方、人事評価への影響を懸念して本音を回答しにくくなる可能性もあるでしょう。
また、匿名であっても、少人数部署や自由記述の内容から回答者を推測できてしまうケースがあります。
一定人数を下回る部署は単独で結果を表示しない、自由記述の閲覧者を限定するなど、組織の状況に合わせて集計・閲覧・共有のルールを定めましょう。
パルスサーベイを実施して組織改善につなげる方法
パルスサーベイは、回答を集めるだけでは組織改善につながりません。
実施目的を従業員へ伝え、結果を継続的に分析し、見つかった課題に対応したうえで、その内容を従業員へフィードバックすることが重要です。
調査から改善までの流れを事前に決めておくことで、従業員の声を実際の職場づくりに生かしやすくなります。
実施目的を従業員へ伝えてサーベイを行う
パルスサーベイを始める前に、何のために回答してもらうのかを従業員へ明確に伝えます。
目的がわからないまま繰り返し回答を求められると、監視や人事評価のための調査ではないかと警戒し、率直な回答をしにくくなる可能性があるでしょう。
導入時には、従業員の声を職場改善に生かすこと、回答をどのように扱うのか、誰が閲覧できるのかなどを説明します。
回答を人事評価や処遇の判断材料として使用しないのであれば、その点も明確に伝えることが重要です。
結果の推移や部署ごとの傾向を分析する
結果を分析するときは、全社の平均点だけで組織の状態を判断しないことが重要です。
仕事への満足度や業務負荷などについて、前回から大きく変化した項目がないか、低い状態が継続していないかを確認しましょう。
部署ごとの傾向を比較すれば、特定のチームで業務負荷や相談のしやすさに課題が生じている可能性にも気づきやすくなります。
ただし、回答者が少ない部署を細かく分析・公開すると、個人が特定されるおそれがあります。一定人数を下回る場合は上位組織とまとめて分析するなど、プライバシーへの配慮が欠かせません。
また、繁忙期など一時的な要因でスコアが変化することもあります。複数回の推移に加え、残業時間や人事異動などの情報も確認し、背景を慎重に分析することが大切です。
課題に応じた改善施策を実施する
課題が見つかったら、その内容に応じて誰が対応するのかを決め、具体的な改善につなげます。
記名式の調査などで本人への個別フォローが可能な場合は、回答者のプライバシーや利用目的に配慮しながら、必要に応じて面談や業務内容の確認を行いましょう。
匿名調査の場合は、特定の従業員を探すのではなく、部署やチーム全体の業務配分やコミュニケーション、仕事の進め方などを見直します。
評価制度など全社に関わる課題であれば、経営層や人事部門が主体となって改善を進めていきます。
サーベイ結果を管理職や個人を一方的に評価する材料にするのではなく、対話や職場改善を始めるための情報として扱うことが大切です。
結果と対応方針を従業員へ共有する
改善を継続するには、集めた回答がどのように使われたのかを従業員へ伝えることが欠かせません。
結果を人事部門や経営層だけで抱えていると、従業員からは回答が職場改善に生かされているのか見えなくなってしまいます。
集計後は、良かった点だけでなく、業務負荷や上司からの支援など見つかった課題についても可能な範囲で共有しましょう。
そのうえで、会社が何を見直すのか、どのような対応を進めるのかを具体的に示します。
回答が実際の改善につながっていることが伝われば、次回以降も調査への協力を得やすくなるでしょう。
パルスサーベイの結果を人事施策に生かすには、人材データとの連携も重要
パルスサーベイの結果は、人事異動や残業時間、育成状況などの人材データと組み合わせることで、課題の背景をより具体的に分析できます。
ただし、個人情報を含むデータを扱う際は、利用目的や閲覧範囲を明確にし、適切に管理することが重要です。
サーベイ結果と人事・評価・育成データを組み合わせる
パルスサーベイのスコアだけでは、従業員や部署の状態が変化した背景まで判断できない場合があります。
たとえば、業務負荷に関するスコアが望ましくない方向に変化した部署では、人事異動の履歴や残業時間なども確認することで、人員配置の変更や欠員、繁忙期などが影響していないかを検討できるでしょう。
評価への納得度や成長実感についても、評価制度や育成施策の実施状況などと照らし合わせることで、改善の手がかりを得られる可能性があります。
こうした分析では、必要に応じて部署や属性など一定の集計単位でデータを確認し、個人が不必要に特定されないよう配慮することも重要です。
また、複数のデータに関連が見られたとしても、直ちに因果関係があると判断しないようにしましょう。サーベイ結果は、現場へのヒアリングなどと合わせて背景を確認することが大切です。
人材情報を一元管理して組織課題を多角的に分析する
組織課題を継続的に分析するには、必要な人材情報を適切に管理し、必要に応じて確認できる状態を整えておくことが重要です。
部署ごとのスコアに差がある場合、組織図や人事異動の履歴、残業時間などを合わせて見ることで、特定の部署に業務負荷や人員配置の課題が集中していないか検討できます。
情報が複数のシステムや資料に分散していると、原因を探るたびにデータを集める必要があり、分析にも時間がかかってしまいます。
一方、人材情報を一元的に管理する場合は、利用目的を明確にしたうえで、閲覧権限やアクセス管理などの安全管理措置を適切に講じることが欠かせません
人材データを継続的な人事施策に活用する
人材データは、課題の発見だけでなく、実施した人事施策の前後でどのような変化が見られたかを確認するためにも活用できます。
たとえば評価制度の変更や組織再編の前後で仕事への満足度や評価への納得度の推移を確認すれば、施策実施後の従業員の反応を把握できるでしょう
課題が続いている場合は追加の説明や制度の見直しを検討し、改善傾向が見られる場合は現在の施策を継続する際の判断材料にできます。
パルスサーベイと人材データを定期的に確認し、「課題の把握→改善→変化の確認」という流れを繰り返すことで、実際の組織状況に応じて人事施策を見直しやすくなります。
パルスサーベイの結果を人事施策につなげるために
パルスサーベイは、従業員の満足度や業務負荷、人間関係などを短い間隔で継続的に確認する調査です。質問数を絞って定期的に実施すれば、組織や従業員の変化を早期に把握し、人事施策や職場改善の手がかりを得られます。
ただし頻度や質問数が多すぎると回答負担が増え、匿名性や利用目的が不明確だと本音も集まりにくくなるため、目的を明確にしたうえで結果を分析・共有する運用が欠かせません。
さらに、人事異動や勤怠などの人材データと組み合わせることで、課題の背景を検討する材料を増やせます。
人財管理ソリューション「Generalist」は、人事・給与・人材育成などの情報を管理し、人財データの可視化や活用を支援します。なお、パルスサーベイ自体の実施・集計機能については、利用する製品や連携サービスの仕様をご確認ください。

