扶養控除申告書とは?書き方や必要な人・提出時期を解説

扶養控除申告書は、給与計算や年末調整を適切に行うために欠かせない書類です。しかし、「誰が提出対象なのか」「扶養親族がいない場合も提出が必要なのか」「16歳未満の子どもや学生アルバイトはどう扱えばよいのか」といった疑問を抱える人事・労務担当者も少なくありません。

本記事では、扶養控除申告書の役割や必要な人、提出時期、書き方、運用時のポイントに加え、令和8年分の変更点や実務上の注意点についてもわかりやすく解説します。

扶養控除申告書とは?

扶養控除申告書とは、給与所得者が本人や扶養親族などの情報を勤務先に申告し、毎月の源泉徴収税額や年末調整における控除を正しく計算してもらうための書類です。正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といいます。

扶養控除申告書には、大きく分けて2つの役割があります。

1つ目は、勤務先が源泉徴収税額を計算するための基礎資料としての役割です。勤務先はこの申告書に記載された扶養親族等の情報をもとに、源泉徴収税額表を用いて毎月の給与から徴収する源泉所得税を計算します。

2つ目は、年末調整の基礎資料としての役割です。年末調整とは、1年間で納めた所得税と本来の税額との差額を年末にまとめて精算する手続きのことです。申告書に記載された扶養親族や配偶者の情報をもとに税額を算出するため、記入漏れや誤りがあると年末調整の結果に影響しかねません。

そのため企業は、従業員から提出された扶養控除申告書の記載内容を適切に確認し、管理・保存することが重要です。

 参考:No.2511 税額表の種類と使い方(国税庁のサイトに遷移します)

給与計算・年末調整でどのように活用されるのか

扶養控除申告書を提出しているかどうかで、毎月の給与から源泉徴収される所得税額が変わります。提出した人に原則として適用されるのは、源泉徴収税額表の「甲欄」です。一方、提出していない人には原則として「乙欄」が適用され、甲欄より高い税率で源泉徴収されます。

さらに、年末調整は、扶養控除申告書を提出している人のうち、一定の要件を満たす人が対象となります。年末調整とは、1年間で払いすぎた税金や足りなかった税金を、最後にまとめて計算し直す手続きのことです。つまり、扶養控除申告書は、毎月の手取り額と年末の税金の精算という、両方に関わる重要な書類だといえます。

扶養控除申告書が必要な人

扶養控除申告書は、一部の例外を除き、主たる勤務先から給与の支払いを受ける給与所得者が、雇用形態を問わず提出する書類です。提出が必要な人を正しく把握することで、源泉徴収や年末調整を適切に行えます。

提出対象となるケースや例外について確認しましょう。

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告(国税庁のサイトに遷移します)
参考:扶養控除等(異動)申告書 (PDF形式)(1.12MB)(国税庁のサイトに遷移します)

原則として給与所得者が提出対象

扶養控除申告書は、正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態にかかわらず、給与の支払いを受ける給与所得者が原則として提出する書類です。新たに入社した人は、最初の給与が支払われる日の前日までに勤務先へ提出する必要があります。

企業はこの申告書を受け取ることで、源泉徴収税額表の「甲欄」を適用して毎月の所得税を計算します。逆に、月額表を使用する場合で提出がないと、原則として「乙欄」が適用され、毎月の源泉徴収税額が高くなるため、注意が必要です。

なお、扶養控除申告書は同じ年に複数の勤務先へ提出することはできず、提出できるのは主たる給与を受ける勤務先1か所のみです。企業側は入社時に提出状況を確認し、対象となる従業員から漏れなく回収しましょう。

給与所得については、以下の記事で詳しく解説しています。
No.3「給与所得」

扶養親族がいない人も提出が必要

扶養親族がいない従業員であっても、主たる勤務先から給与を受けている場合は、原則として扶養控除申告書の提出が必要です。「扶養親族がいないから自分には関係ない」と誤解されがちですが、扶養親族の有無と提出義務は別の話です。

この申告書は扶養控除の計算だけでなく、毎月の源泉徴収税額を決める基準にもなります。提出していれば一般に源泉徴収税額が乙欄より少なくなる「甲欄」が適用されます。未提出だと「乙欄」が適用され、税額が高くなる点は扶養親族の有無にかかわらず変わりません。

状況 記入する範囲
扶養親族等がいる人
基本情報に加えて、配偶者や子どもなど該当する欄
扶養親族等がいない人
名前や住所などを書く基本情報の欄のみ

 
扶養親族がいない場合、配偶者や扶養親族に関する欄への記入は原則不要です。ただし、本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生などに該当する場合は、該当欄への記入が必要になります。

企業側は「扶養家族がいないから提出不要」と誤って案内しないよう、提出対象を正しく周知しておきましょう。

掛け持ち勤務の場合は主たる勤務先へ提出する

複数の勤務先で働いている場合、扶養控除申告書を提出できるのは、主たる給与を受ける勤務先1か所に限られます。同じ年分の申告書を、複数の勤務先へ重ねて提出することはできません。

税務上の「主たる給与」とは、扶養控除等申告書を提出した勤務先から受ける給与を指します。主たる勤務先では申告書をもとに源泉徴収税額表の「甲欄」を適用しますが、それ以外の勤務先では原則として「乙欄」を適用して所得税を計算します。

なお、一定の要件を満たす場合は、従たる勤務先へ「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」を提出することが可能です。この場合は「乙欄」を基準に、扶養親族等の人数に応じた金額を差し引いて税額を計算します。

ただし、従たる給与は原則として年末調整の対象外となるため、給与額やその他の所得の状況によっては、従業員自身で確定申告が必要になる場合があります。

企業は入社時に他社での勤務状況を確認し、自社が主たる勤務先に当たるかを把握したうえで、扶養控除申告書を受け付けることが大切です。

参考:給与所得者(従業員)の方へ(令和7年分)(国税庁のサイトに遷移します)

扶養控除申告書の提出タイミング

扶養控除申告書の提出タイミングは、大きく分けて以下3つです。

  • 入社時
  • 年末調整時
  • 家族構成や住所に変更があった時

適切なタイミングで回収・更新することで、源泉徴収や年末調整を正しく行えます。それぞれの提出時期を確認しておきましょう。

入社時

新たに入社した従業員は、初めて給与が支払われる日の前日までに扶養控除申告書を提出する必要があります。提出があれば「甲欄」という税負担の軽い方法が適用され、提出がなければ原則として「乙欄」が適用されるため、従業員の所得税負担が一時的に重くなる点に注意が必要です。

入社直後は従業員も手続きに不慣れなことが多いため、入社書類の一つとして案内し、初回給与の計算までに回収を完了させておくと、その後の源泉徴収や年末調整をスムーズに進めやすくなります。

年末調整時

年末調整の際は、当年分の扶養控除申告書の提出状況や記載内容を確認する必要があります。年末調整では、申告書に記載された扶養親族や障害者、ひとり親などの情報をもとに扶養控除などの各種所得控除を判定するため、申告書が未提出であったり、記載内容が実際の状況と異なったりすると、正しい年末調整を行えないおそれがあります。

また実務上は、年末調整の時期にあわせて翌年分の扶養控除申告書も同時に配布・回収するケースが一般的です。企業は当年分の提出状況を確認するとともに、扶養状況に変更がないか従業員へ確認しておきましょう。

家族構成や住所が変わった時

扶養控除申告書を提出した後でも、扶養状況や住所など記載内容に変更があった場合は、勤務先への再申告が必要です。国税庁は、異動があった場合、その異動の日後、最初に給与の支払いを受ける日の前日までに申告することとしています。

結婚や離婚、子どもの出生、扶養親族の就職や所得の増減など、申告内容に変更が生じる場面はさまざまです。変更内容が反映されないまま給与計算や年末調整を行うと、源泉徴収税額や年末調整の結果に影響する可能性があります。

そのため企業は、申告内容に変更が生じた際の手続きをあらかじめ周知し、従業員から速やかに申告を受けられる体制を整えておくことが大切です。

扶養控除申告書の書き方

引用:扶養控除等(異動)申告書 (PDF形式)(1.12MB)(国税庁のサイトに遷移します)

扶養控除申告書には、本人情報から配偶者や扶養親族に関する欄まで、複数のブロックがあります。家族構成によって記入する欄が異なるため、各欄を正しく記載することで源泉徴収や年末調整を適切に行えます。

書き方のポイントを順番に確認しておきましょう。

基本情報(氏名・住所・生年月日など)

扶養控除申告書では、まず給与の支払者の情報や、本人情報を正しく記入することが重要です。

具体的には、様式で求められている以下の項目を漏れなく記載しましょう。

  • 所轄税務署長
  • 給与の支払者の情報
  • 本人の氏名・生年月日
  • 本人の住所
  • 本人の個人番号(マイナンバー)
  • 世帯主の氏名・本人との続柄

なお、個人番号については、一定の要件を満たす場合は記載を省略できることがあるため、勤務先へ確認するとよいでしょう。

これらの情報は、提出者本人を正しく特定し、源泉徴収や年末調整を適切に行うための基礎となります。記入漏れや誤記があると、企業が内容を確認するために差し戻しが必要となり、給与計算や年末調整の事務負担が増える可能性があるため注意しましょう。

企業は記入例を配布し、提出時に記載漏れがないか確認する体制を整えることが大切です。

源泉控除対象配偶者

源泉控除対象配偶者の欄に記入するかどうかは、本人と配偶者それぞれの合計所得金額の見積額などをもとに判断します。

状況 記入する範囲
本人の所得見積額 900万円以下(給与収入のみなら年収1,095万円以下)
配偶者の所得見積額 95万円以下(給与収入のみなら年収160万円以下)


記入する内容は、配偶者の氏名や個人番号、生年月日、所得の見積額などです。

なお、令和8年度税制改正により給与収入換算の基準が変わりますが、変更が適用されるのは令和8年12月1日以後に支払う給与等の源泉徴収事務や、令和8年12月の年末調整からです。それまでの源泉徴収事務には変更がないため、記入時期に応じて要件を確認するようにしましょう。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について(国税庁のサイトに遷移します)

源泉控除対象親族

令和8年分の扶養控除等申告書では、一定の要件を満たす16歳以上の親族がいる場合、「源泉控除対象親族」の欄に記入します。

令和8年11月までの源泉徴収事務では、扶養する親族の合計所得金額の見積額が58万円以下で、給与収入のみの場合は年収123万円以下が目安です。

また、19歳以上23歳未満の親族については特例が設けられており、合計所得金額の見積額が58万円を超え100万円以下の「特定親族」も、この欄への記載対象となります。

なお、特定親族特別控除そのものの対象範囲は所得58万円超123万円以下とより広く設定されていますが、扶養控除等申告書の「源泉控除対象親族」欄に記載できるのは、そのうち所得100万円以下の人に限られる点に注意が必要です。一方、16歳未満の扶養親族はこの欄の対象外で、住民税に関する事項の欄に記載します。

こうした所得要件も、令和8年12月1日以後に支払う給与等の源泉徴収事務や年末調整からは改正後の内容に置き換わるため、時期に応じて確認しておきましょう。

参考:所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係) (PDF形式)(824KB)(国税庁のサイトに遷移します)

障害者

障害者の欄は、本人や同一生計配偶者、扶養親族など、障害者控除の対象となる人がいる場合に記入します。所得税の扶養控除とは異なり、16歳未満の扶養親族であっても、一定の要件を満たして障害者控除の対象となる場合があります。

該当する区分(一般の障害者・特別障害者・同居特別障害者)にチェックを入れたうえで、該当する人数を記入しましょう。あわせて、障害の状態や交付を受けている手帳の種類、交付年月日、障害の程度(等級)など、該当する事実を記載する欄も設けられています。

当てはまる人がいない場合は、この欄への記入は不要です。

寡婦

寡婦の欄は、本人が女性で、かつ「ひとり親」には該当しないものの、一定の要件を満たす場合に記入します。

寡婦に該当するのは、次のいずれかに当てはまる人です。

  • 夫と離婚した後に婚姻をしておらず、扶養親族がいる人
  • 夫と死別した後に婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない人

いずれの場合も、本人の合計所得金額が500万円以下(給与収入のみの場合は6,777,778円以下)であることが要件です。また、住民票の続柄に「夫(未届)」などの記載があるなど、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいる場合は、寡婦には該当しません。

該当する場合は、「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄にある「寡婦」の区分にチェックを付けて記入します。当てはまらない人は、この欄をそのまま空欄にしておいて問題ありません。

参考:No.1170 寡婦控除(国税庁のサイトに遷移します)

ひとり親

ひとり親の欄は、離婚や死別だけでなく、婚姻をしていない場合も含め、本人がひとり親に該当するときに記入します。

対象となるのは、生計を一にする子の総所得金額等の見積額が58万円以下であることなどの要件を満たす人です。この所得要件も令和8年度税制改正の対象となっており、令和8年12月以後は引き上げられた金額が適用されます。

該当する場合は、「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄にある該当区分にチェックを付けて記入します。当てはまらない人は、この欄をそのまま空欄にしておいて問題ありません。

参考:No.1171 ひとり親控除(国税庁のサイトに遷移します)
参考:所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係) (PDF形式)(824KB)(国税庁のサイトに遷移します)

勤労学生

勤労学生の欄は、本人が学校に通いながら働いている学生で、一定の要件を満たす場合に記入します。

令和8年11月までの源泉徴収事務では、自己の勤労による所得があり、合計所得金額が85万円以下(給与収入のみの場合は年収150万円以下が目安)、かつ勤労による所得以外の所得が10万円以下であることなどが要件です。

なお、令和8年度税制改正により、令和8年12月1日以後は合計所得金額の要件が89万円以下(給与収入のみの場合は年収163万円以下)に引き上げられます。勤労による所得以外の所得が10万円以下であることなど、その他の要件は変わりません。

勤労学生に該当する場合は、27万円の勤労学生控除を受けられます。扶養控除等申告書では、該当区分にチェックを入れたうえで、学校名や入学年月日、所得の種類と見積額など、必要事項を記入します。

参考:No.1175 勤労学生控除(国税庁のサイトに遷移します)

他の所得者が控除を受ける扶養親族等

他の所得者が控除を受ける扶養親族等の欄は、同一生計内に所得者が2人以上いる場合に記入します。共働きの夫婦などでは、同じ扶養親族について、夫婦双方が重複して扶養控除を受けることはできません。どちらが控除を受けるかをあらかじめ話し合って決めておくことが大切です。

自分ではなく、他の所得者が扶養控除等の対象として申告する親族については、氏名や続柄、生年月日、住所などをこの欄に記載します。他の所得者が控除を受ける扶養親族等がいる場合、自分の申告書にもその旨を記載することで、勤務先が扶養状況を正しく確認できるようになります。

住民税に関する事項

住民税に関する事項の欄は、16歳未満の扶養親族がいる場合や、退職手当等を受け取る一定の配偶者・扶養親族がいる場合に記入します。16歳未満の扶養親族は所得税の扶養控除の対象にはなりませんが、住民税の非課税限度額等の判定に関係するため、この欄への記載が必要です。

16歳未満の扶養親族については、氏名や個人番号、続柄、生年月日、住所などを記入します。一方、退職手当等を受け取る配偶者や扶養親族については、氏名や個人番号に加えて所得の見積額なども記入する点が異なります。

該当する子どもや親族がいない場合は、この欄は空欄のままで差し支えありません。

扶養控除申告書を提出しないとどうなる?

扶養控除申告書を提出しない場合、従業員と企業の双方に影響が生じます。源泉徴収や年末調整の取扱いが変わるため、未提出時の影響や実務上の対応方法を理解し、適切に運用することが大切です。

従業員は毎月の税負担が一時的に増える可能性がある

扶養控除申告書を提出していない場合、従業員は毎月の給与から差し引かれる所得税が一時的に多くなる可能性があります。これは、申告書が未提出の場合、原則として源泉徴収税額表の「乙欄」を適用して所得税を計算するためです。

乙欄では、申告書を提出した場合に適用される「甲欄」と比べて、一般的に源泉徴収税額が高くなります。また、扶養控除等申告書を提出していない場合、その勤務先から受ける給与は原則として年末調整の対象外です。そのため、源泉徴収された所得税を精算するには、従業員自身で確定申告が必要になる場合があります。

提出状況 適用される税額表 年末調整の対象
提出している場合 原則として甲欄 一定の要件を満たせば対象
提出していない場合
乙欄 対象から外れる


企業は入社時に扶養控除申告書を回収し、提出漏れを防ぐことで、従業員の一時的な税負担を軽減しやすくなります。

企業側は事務負担が増える

扶養控除申告書が提出されていない従業員については、月額表を使用する給与に原則として「乙欄」を適用して源泉徴収を行う必要があります。

また、年末調整では申告書の内容をもとに各種所得控除を確認するため、未提出者には個別に提出を促す作業や、提出後の内容確認、不備があった場合の差し戻し・再提出依頼といった対応も必要です。未提出者が多いほど、これらの事務負担は増えやすくなります。

企業は提出期限を明確に案内し、提出状況を管理することで、源泉徴収や年末調整を円滑に進めやすくなります。

従業員が扶養控除申告書を提出しなかった場合の対処法

扶養控除申告書が未提出だった場合は、できるだけ早く従業員へ提出を依頼し、回収することが大切です。未提出の間は原則として源泉徴収税額表の「乙欄」が適用されるため、早めに連絡し、税務上の取扱いを説明したうえで提出を促しましょう。

年の途中で扶養控除申告書が提出された場合は、提出後、最初に支払う給与等から申告内容を反映して源泉徴収を行います。提出前の給与に対する取扱いについては、申告書の提出時期や給与計算の状況などを確認したうえで、適切に対応することが重要です。

また、年末調整の対象となる従業員については、扶養控除申告書などの必要書類を確認したうえで、1年間の所得税額を精算します。年末調整後に扶養親族等の異動や申告内容の変更が判明した場合は、その内容や時期に応じて年末調整のやり直しなどが必要になることもあるため、国税庁の案内に沿って対応しましょう。

扶養控除申告書を作成する際の注意点

扶養控除申告書は、提出を受けるだけでなく、記載内容の確認や法改正への対応、保存まで適切に管理することが重要です。

実務上の以下の運用ポイントを押さえることで、給与計算や年末調整のミスを防ぎ、業務を円滑に進められます。

  • 記入漏れ・誤記入を防ぐチェック体制を整える
  • 制度の変更があった際には、運用ルールを見直す
  • 保存期間を守り適切に保存する

記入漏れ・誤記入を防ぐチェック体制を整える

扶養控除申告書では、記載内容を確認する体制を整えることが重要です。特によくあるのが、年収(収入金額)をそのまま所得の見積額として記入してしまうミスや、16歳未満の子どもを控除対象扶養親族の欄に記入してしまうミス、共働き夫婦が同じ子どもを双方の勤務先で重複して申告してしまうミスです。

よくあるミス 正しい対応
年収をそのまま所得の見積額として記入する
給与収入のみの場合は、給与収入から給与所得控除額を差し引いて給与所得の金額を算出する
16歳未満の子どもを控除対象扶養親族の欄に記入する
16歳未満の子どもは控除対象扶養親族の欄ではなく、住民税に関する事項の欄に記入する共働き夫婦が同じ子どもを双方の勤務先で重複して申告する
共働き夫婦が同じ子どもを双方の勤務先で重複して申告する 夫婦のどちらが扶養にするか事前に決めておく


年の途中で扶養状況に変更があった場合は、異動申告書が提出されているかもあわせて確認するとよいでしょう。企業は記入例やチェックリストを活用し、提出時の確認手順を標準化することで、差し戻しや修正対応を減らし、業務を効率化できます。

制度の変更があった際には、運用ルールを見直す

令和8年度税制改正では、基礎控除の引上げに伴い、扶養親族等の所得要件が見直されます。あわせて給与所得控除の最低保障額も引き上げられるため、給与収入のみの場合の判定基準も変更となります。

改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されるため、注意しましょう。

区分 改善前 令和8年度改正後
扶養親族・同一生計配偶者
58万円以下(給与収入123万円以下) 62万円以下(給与収入136万円以下)
勤労学生 85万円以下(給与収入150万円以下) 89万円以下(給与収入163万円以下)


これらの改正が適用されるのは令和8年12月以後の源泉徴収事務や年末調整からで、令和8年11月までの源泉徴収事務には影響しません。改正によって新たに要件を満たす扶養親族等がいる場合は、必要に応じて扶養控除等(異動)申告書の提出について従業員へ案内しましょう。

企業は、こうした適用時期の違いを踏まえ、社内の記入例やマニュアルを更新するとともに、従業員へ変更内容を周知することが大切です。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について(国税庁のサイトに遷移します)
参考:源泉所得税の改正のあらまし 令和8年4月 (PDF形式)(1.56MB)(国税庁のサイトに遷移します)

保存期間を守り適切に保存する

扶養控除申告書は、提出を受けた後も適切に保管・管理する必要があります。国税庁は、この申告書などの源泉徴収関係書類について、原則として提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存することとしています。保存期間中は、所轄税務署から提出を求められるまで、給与の支払者が自ら保存しておく仕組みです。

保存中は、紛失や情報漏えいを防ぐため、保管場所やアクセス権限をあらかじめ決めておくことが望ましいでしょう。紙だけでなく電子データで保存する場合も、法令に沿った方法で管理することが求められます。

参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間(国税庁のサイトに遷移します)

扶養控除等申告書は電子データで提出・保存できる

扶養控除申告書は、一定の要件を満たす場合、書面に代えて電子データで提出・保存することが認められています。電子化すれば、回収や確認、保管などの業務を効率化でき、紙運用の負担を軽減できるでしょう。

ここでは、電子化のメリットや活用方法を解説します。

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参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁

電子化で書類回収や管理の負担を軽減できる

扶養控除申告書を電子化すると、紙の配布や回収、保管にかかる手間を削減できます。パソコンやスマートフォンなどから申告できるシステムを導入すれば、場所を問わず手続きを進めやすくなるでしょう。

また、電子データで管理すれば、紙の書類を保管するスペースを削減できるほか、申告書の検索や確認もしやすくなります。従業員数や処理件数が多い企業では、書類の回収・管理にかかる業務負担の軽減につながるでしょう。

ただし、電子化によって利用できる機能や申告方法は、導入するシステムによって異なります。

年末調整システムの導入で人事業務を効率化できる

電子化すれば、紙の配布や回収、保管にかかる手間を削減でき、人事・労務担当者の業務効率化につながります。システムによっては、従業員が画面上の質問に回答しながら必要事項を入力できるため、申告書の作成を進めやすくなるでしょう。

ただし、電子データで提出する場合でも、扶養親族等の要件や所得の見積額の考え方といった税務上のルールは変わりません。電子化を進める際は、法令に沿った運用ルールを整備し、提出状況やデータの保存方法もあわせて管理することが大切です。

扶養控除申告書の運用を効率化するならGeneralistがおすすめ

扶養控除申告書は、毎年の給与計算や年末調整に関わる重要な書類です。従業員数や処理件数が多い企業では、書類の回収や確認、管理が人事・労務担当者の負担になることがあります。

こうした業務を効率化する方法の一つが、人財管理ソリューション「Generalist」の活用です。

Generalistは、人事・給与・就業などの人事業務を支援する人財管理ソリューションです。扶養控除申告書をはじめとした人事・労務業務の効率化を検討している企業は、Generalistの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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