男性も育児の主役に!
ソフトウェア開発者の育休取得体験を職場メンバーも含めて聞いてみました
東芝デジタルソリューションズ(株)では、仕事と育児の両立は、性別に関係なく子どもをもつ全ての従業員に関わる課題であると認識して両立支援の取り組みを進めてきました。しかし、育児休業取得率は依然として男女で大きな差があるのが現状です。今後のキャリア形成の不安や繁忙業務などから育休取得にはためらいがある、という声も聞こえます。
男性育休をどのように考えるのか、実際に育休を取得し、今も仕事と育児を両立させながら活躍している2名の男性従業員と、お二人の上長、職場メンバーの方の生の声をお届けします。
産後の妻の負担を減らしたい、そうだ、育休をとろう!
橋本 和也(はしもと かずや)
2003年度入社
CCoE*プロジェクトリーダー クラウド技術の先行的な調査を担当
2020年8~9月に育休取得
弥永 浩輝(やなが ひろき)
2016年度入社
CCoE*プロジェクトリーダー 実践技術開発を担当
2020年11~12月に育休取得
育休取得はいつ頃から計画されたのでしょうか?
橋本
妻の妊娠がわかった時ですね。妻も私も実家が遠くて親に頼ることが難しかったことや、妻が里帰り出産から戻ってきた時に生活面のサポートもしたかったので、まとまった期間の休みが欲しいと考えました。
弥永
私は出産予定日がわかった段階です。初めての子どもなので育児の大変さがわからない不安がありましたし、新型コロナウイルスの流行で親の手を借りることができない状況もあって、妻と相談して育休取得を決めました。
育休はどのくらいの期間とりましたか?
橋本
子どもが生まれた6月の2か月後、8月から9月までの2ヶ月間です。
弥永
我が家は9月に子どもが生まれて、11月から12月まで育休をとりました。
お二人とも育休期間は2か月間とのことですが、理由はありますか?
橋本
私の所属する部門のプロジェクトは4月から9月を前期、10月から3月を後期として、半期ごとに計画を立てています。前期の終わる9月まで休職して、10月からは心機一転、新しく始まるプロジェクトに臨もうと思ったからです。その期間が2か月間でした。
弥永
最初は橋本さんと同じようにプロジェクトの区切りまでの育休取得を考えていました。11月から休職することは決めていたので、3月までだと5か月間休職することになります。長期間プロジェクトから抜けることによる業務への影響も考慮して上長とよく話し合った結果、この期間にしました。初めは少し短いかなと不安もありましたが、2か月間で生活リズムを作ることができたので、今思えば十分な期間だったと思います。
上長にはいつ伝えましたか?言い出しにくくはありませんでしたか?
橋本
妻が安定期に入ってからです。特に言い出しにくいとは感じなかったですし、反対されることもありませんでした。
弥永
私も妻が安定期に入ったころですね。普段から上長とは1on1ミーティングなどでコミュニケーションはしっかり取っていたので相談はしやすかったです。
橋本
ただ、自分がプロジェクトから抜ければ他のメンバーの負担が増えますから「申し訳ない」という気持ちはありましたね。だからこそプロジェクトの計画を前倒して進めるなどを意識しました。
職場の理解を得るには、早めの情報共有と相談しやすい風土づくりが鍵
ここからは、お二人の上長である斉藤さんと、職場メンバーの向山さんと木村さんも交えて話を聞いてみましょう。
斉藤 稔(さいとう みのる)
弥永さんと橋本さんの上長
木村 元(きむら げん)
職場のメンバー
向山 弘樹(むかいやま ひろき)
職場のメンバー
二人から育休についてどのように相談されましたか?
斉藤
二人からはそれぞれ1on1ミーティングで相談を受けました。普段から1on1ではプライベートな話もしているので、本人たちにとっても言い出しやすい場だったのかなと。そういう意味では1on1が導入されたことはとても大きかったですね。
育休をとると聞いて率直にどのように感じましたか? 業務への影響はありましたか?
斉藤
二人ともプロジェクトリーダーという責任のある役割を任せていたので、育休の話を聞いたときは少し悩みましたね。特に橋本さんのときは既にプロジェクトが始まっていたので軌道修正が大変でした。一方、弥永さんのときはプロジェクトの立ち上げという時期だったので特に慌てることはなかったです。こればかりはタイミングですから仕方ないですよね。
向山
橋本さんが育休をとるとは聞いたときはプロジェクトがすでに半分くらい進行していたので、残り半分の仕事をどう乗り切るのか、正直、不安を感じました。斉藤さんとも相談しながら担当やプロセスの見直しをして、最終的には納得のいく成果を出せました。橋本さんが、前倒しで業務を進めてくれていたので助かりました。
木村
弥永さんから育休の話を聞いたときは、次のプロジェクトでもリーダーをやってもらおうと考えていたので少し慌てましたが、ちょうど工数計画を立てている段階で"2か月間休職する"と聞けたので、彼がいない、そして彼が戻ってくるという前提で計画を作成して予定通りプロジェクトを進めることができました。
斉藤
具体的な対応として、要求レベルを影響がない程度まで下げたり、他のメンバーをアサインしたりと、特別なことはしませんでしたが、実際にプロジェクトの細かいところを任せている各チームリーダーと相談しながら進めました。休職は育児に限った話ではないですし、メンバーが欠けても目標達成に導くのが私の役割だと思っています。
さて、橋本さんと弥永さんに再びお聞きします。育休をとってみていかがでしたか?
橋本
おむつ交換や寝かしつけなどがとても大変で、仕事とは違った難しさを感じました。育休の最大のメリットは、子どもと接する機会が格段に増えることだと思います。一生に一度しかない貴重な時間を家族とゆっくり過ごすことができて、とても有意義な時間でした。
弥永
初めて育児をしてみて実感できましたが、一人で家事と育児を抱えることはかなり負担が大きいです。家族が増えて新しい生活に慣れるためにも育児に集中できる時間がとれてよかったです。
育休から復職後、戸惑いや不安などありましたか?
橋本
特にないですね。復職後もすぐに新しいプロジェクトリーダーを任せてもらったので息つく暇なんてないです(笑)。業務負荷については少し心配していましたが、最近は特に時間外勤務を減らすことも意識しているので育児に支障がでるようなことはありません。
弥永
橋本さんと同じで、私も特に変わらなかったです。休職の間に会社の申請作業などのルールが細かく変わっていたのでキャッチアップが少し大変でしたが…。今はなるべく定時にあがるよう工夫をして夕食の離乳食の準備をすることもあります。
斉藤
二人とも普段から何かあれば相談してくれるので、特別心配はしていませんでした。
男女ともに仕事と家庭や育児を両立できる職場環境の実現にむけて
今後育休をとりたい人とその職場の方へメッセージをお願いします
橋本
どんどん前例を作っていくことで育休がとりやすくなるので、少しでも考えている人は積極的に制度を利用して、より多くの人が後に続けるような土台作りをしてほしいです。
弥永
今は在宅勤務で昼休みにミルクをあげるなど、隙間時間で育児をすることもある程度はできますが、育休期間に育児に集中した成果とも思います。子どもが小さな頃に一緒に過ごす時間をしっかりつくったことで育児の大変さを実感するにはよい時間でしたね。
斉藤
周りのサポートは必要になりますがなんとかなるもので、今後育休を考える方に対しても応援したいと思います。キャリアについては復職してからいくらでも挽回できますし、長期的に見れば影響を受けるようなことはありません。
気を付ける点として、組織も計画を立てて動いているので、組織のスケジュール、個人のスケジュールをうまく融合させること。そのためにも日頃のコミュニケーションが大切だと思います。
向山
育休から戻ってきて新しいプロジェクトリーダーとして頑張っている橋本さんの姿もみていますし、今後同じように育休を取ろうという人が出てきても応援します。とにかく早め早めの情報共有が大切。部のミーティングやTeams等のツールをうまく活用して、すぐに相談しやすい風土を作っていきたいですね。
木村
欠員が出ると他のメンバーの負担が増えるのは当然ですが、あらかじめわかっていれば対策できます。これからも長く一緒に働いていく仲間が気持ちよく休職できて、復職後も育児をしながら働き続けられるよう、職場の一員として今後も協力していきたい。皆さんの周りに育休を取ろうとしている人がいたら、是非おめでとうと送り出してほしいです。
斉藤
女性の育休には誰も疑問を抱きませんが、男性の育休も当たり前というような雰囲気にもっていきたいです。それには職場メンバーの理解が必要で、そのための意識づけが大切です。特効薬はないので、日ごろのコミュニケーションやミーティングなどでも発信頻度をあげ、徐々に浸透させたいと思います。
今回のお二人も、復職してからも部に欠かせない存在として活躍してもらっています。オンライン会議中に後ろのほうで子どもの声が聞こえると、育児と両立できていることがダイレクトに伝わってきますし、何より会議が和むのですよね。そんな組織はすごく強いと思います。ご自身のため、家族のため、組織のため、育休を検討してみてはいかがでしょうか。
皆様、ありがとうございました!
当社では、従業員が育児へ積極的に参画することによる、本人と職場双方へのメリットを社内に周知している他、「すてきなパパ宣言/さんきゅうパパ計画」として、男性従業員が自身の理想的な育児参画の仕方(育児休職の取得を含む)などについて、配偶者や上長と話し合う機会を持つことを推奨しており、出産日前後に取得できる休暇や育児休職の取得を促進しています。
*CCoE : Cloud Center of Excellence