鉛電池を使っていた時の問題

  1. 電池交換のたび、生産ラインを停止。
    毎日の充電作業が重労働かつ危険。
  2. 水素ガス対策の充電スペースが必要
  3. 電池買換えコストやメンテ等、負担大。
  4. 年間1t超の電池を廃棄、環境負荷大

SIPシリーズ採用後の効果

  1. 非接触充電器との組み合せで、
    充電作業の廃止・生産性向上を実現。
  2. 充電スペースの全廃を達成。
  3. 年間のトータルコスト約500万円削減
  4. 電池廃棄10年(10t)ゼロ化達成見込。

生産性向上とトータルコスト削減を同時に実現されていることはもちろん、現場で働く人や環境にやさしい取り組みになっているところもすごい!

産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ採用のきっかけ

Q.AGVの駆動用電源を、鉛電池から「産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ+非接触充電器」に切り替えようと思われたきっかけを教えてください。

A.「充電作業の負担増」と、「電池交換にともなうライン停止」についての問題意識が高まったことですね。

当社工場においても、生産性向上や業務負担軽減のため、AGVや牽引車が続々と導入されています。これにより確かに搬送業務は効率化されたのですが、一方で充電にともなう電池の載せ替え作業が増加しました。

当社のAGVは、1台につき32kgの鉛電池を2個積んでいましたので、合計重量は64kg。この重量物の載せ替えを、1直勤務あたり28回、手作業で行っていましたので、現場負担は相当なものでした。

しかも、電池交換の間、AGVは約1分間の停止を余儀なくされ、1直勤務換算で約28分の非生産的な時間が発生していました。充放電能力が下がる冬場はさらに、電池の交換頻度は1.5倍に増加し、1直勤務あたりのライン停止時間は約42分と看過できない数値になっていたのです。

これらの問題に共通している電池や充電方法について、ベストといえる代替選択肢はないかと検討をはじめたのが、「産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ+非接触充電器」採用のきっかけとなりました。

有吉 賢辞 様

マツダ株式会社 本社工場
車体製造部 車体工務技術グループ
アシスタントマネージャー

新充電システムの検討プロセス

Q. 新たな電池や充電システムは、どのように選定されたのですか。

A. ライン成立条件を再整備し、電池や充電システムなどそれぞれ事前に検証を重ねながら選定・導入を進めました。

電池や充電方法については、「ライン1周走行するのに必要な消費電力37.3Whを、AGVの走行ルート上でその都度充電する」という考えのもと、各種シミュレーションを重ねました。

1.ライン成立条件の検証

走行ルート1周分の消費電力=37.3Wh

タクト : 1.1分

AGV数 : 16台

ライン長 : 190m

⇒24Vの鉛電池を30Aで充電すると、160秒かかるとのシミュレーション結果に。

⇒実測すると、鉛電池の充電で30A出ているのは10秒程度で、その後、段階的に電流値が低下。平均20A程度に。

⇒既存の鉛電池では急速充電が不可能。37.3Wh充電するのに最低240秒かかると判明。

⇒成立する充電時間は120秒以下で、バッテリへの充電条件は平均40A以上。

これに対応する電池と充電システムの検討をスタートしました。

2.電池採用候補についての検討

<検討項目> 使用電圧 公称容量 重量 充電電流 寿命 評価
東芝 リチウムイオン電池 DC16.5~
29.7V
22Ah 8kg 120A 約10年
X社 ニッケル水素電池 DC19.8~
28.5V
19.5Ah 18kg
100A 約6年 ×
Y社 スーパーキャパシタ DC21.6~
26.4V
1.14Ah 40kg 60A 数百万
サイクル
×
<検討項目> 使用電圧 公称容量 重量 充電電流 寿命 評価
東芝 リチウムイオン電池 DC16.5~
29.7V
22Ah 8kg 120A 約10年
X社 ニッケル水素電池 DC19.8~
28.5V
19.5Ah 18kg
100A 約6年 ×
Y社 スーパーキャパシタ DC21.6~
26.4V
1.14Ah 40kg 60A 数百万
サイクル
×


「SIPシリーズ」採用理由は、①充電電流上限100A(平均40A)をクリアできる、②BMU搭載で自己診断機能がある、③長寿命(10年/20,000サイクル以上)。⇒主な検討ポイントは、①充電実測、②電圧における自己診断、③劣化シミュレーション。

⇒ニッケル水素電池は、メモリー効果(継ぎ足し充電により、放電中に一時的な電圧降下を起こす現象)があるためNG。

⇒スーパーキャパシタは、公称容量、価格が見合わずNG。

3.新充電システムの必須事項

① 充電にかかる時間120秒は4分割し、30秒×4カ所で対応すること。
② 充電ポイントは5カ所準備すること。
③ 充電電圧28V、充電電流50A以上が出力可能であること。
④ 非接触充電方式を採用すること。
⑤ 「産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ(24V)」を、AGV1台あたり1個使用すること。
⑥ AGV停止制度±25mmで、安定した充電が可能であること。
⑦ 120秒の充電で、少しずつ電圧の上昇がみられること。

AGVへの実装ステップ

Q.AGVや現場への実装は、どのようなステップを踏まれたのですか?

A. シミュレーションの「確からしさ」を確認しながら、設備導入を進めました。

新充電システムはメーカーラボで組み上げ、開発品の充電状況だけでなく、メンテナンス性、ノイズの評価、電圧、耐久試験などを実施しました。

① 「産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ」の急速充電性能を確認。
② 現行ラインでの実働トライ。AGV制御盤に充電用回路を追加し、
シミュレーションで得た設定値をもとにラインで実働させ影響度を確認。
③ シミュレーション通りの結果を確認。
④ 設備導入。

以上のステップを経て現場実装を果たし、導入効果の確認へと進みました。

導入効果と今後の展望

Q. 今回は、AGV16台を対象に新充電システムを導入されました。実際の効果と、今後の展望について教えてください。

A.生産性や安全性、コストや環境面において当初目標を達成しました。
今後はさらに、現場現物で改善を進め技術技能を極めて行きます。

トータルコストを大幅に削減しながら生産性の向上を実現できました。重たい電池交換の作業負担やその安全リスク、環境負荷も改善できたことにとても満足しています。

産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ+非接触充電器の効果

電池買換えコストやメンテ等の工数ミニマム化により、年間約500万円のTCOを削減。

電池交換にともなう1直勤務あたりのライン停止時間28分(冬場は42分)のゼロ化を達成。

電池交換作業の廃止によるリスクレベルⅡ(挟まれ・転倒・腰痛懸念)の本質的改善を達成。

年間の鉛電池廃棄量・約1t (32kg ×32個=1,024kg)の削減、充電スペース(水素ガス対策)全廃を達成。

※「SIPシリーズ」は10年を超える長寿命のため、鉛電池約10t分の廃棄物/費用を削減見込。

今後の展望

このAGVは今後のプロジェクトで台数増加、コース延長が計画されています。現在クリア出来ているバッテリ交換ゼロを継続し、人に優しい、環境性能の高い、生産効率の良い設備をキープしつつ、同様設備への水平展開を計画しています。
また、今回生産運用中の既存設備の改造を行い上記のような効果を達成できましたが、世の中にはほかにもいろいろと良い改善事例があります。今後も失敗を恐れず挑戦し、諦めずやり切る粘り強い志を持って活動を進めていきます。今回はこのような紹介の場を頂き誠にありがとうございました。

「産業用リチウムイオン電池 SCiB™ SIPシリーズ」採用企業様のプロフィール

マツダ株式会社

会社設立
1920年1月30日

本社所在地
広島県安芸郡府中町新地3番1号

代表者
代表取締役社長兼CEO 丸本 明

資本金
2,840億円

主な事業内容
乗用車・トラックの製造、販売など

従業員数
単体 合計 22,617名
連結 合計 49,755名

研究開発拠点
本社、マツダR&Dセンター横浜、マツダノースアメリカンオペレーションズ(米国)、マツダモーターヨーロッパ(ドイツ)、中国技術支援センター(中国)

生産拠点国内 
本社工場(本社、宇品)、防府工場(西浦、中関)、三次事業所海外 中国、タイ、メキシコ、ベトナム、マレーシア、ロシア

販売会社
国内 220社
海外 140社

主要製品
四輪自動車、ガソリンレシプロエンジン、ディーゼルエンジン、自動車用手動/自動変速機

オフィシャルウェブサイト
https://www.mazda.com/ja/

(2018年3月31日時点)