経営方針・事業説明会

証券コード:6502

2012年度

2012年度 経営方針説明会

(2012年5月17日)

QA

経営方針・中計関連QA

Q1. 東芝が進めている「事業構造転換」、「事業構造改革」について聞かせて下さい。
東芝グループを筋肉質な企業体へと進化させるために、「事業構造改革」に取り組んできましたが、2008年度を基準に、2009年度から累計3年間で、固定費を約1兆5,000億円圧縮し、変動費についても調達および物流のコストを削減しました。この結果、営業損益、継続事業税引前損益、当期純損益ともに、金融危機以前の業績まで回復させました。現在は、「事業構造改革」を継続するとともに、成長事業への集中、事業領域の拡大、新規領域への展開といった「事業構造転換」を加速させ、企業向け事業(BtoB)へポートフォリオを組み替えることにより、収益体質を強化しています。2011年度では、液晶ディスプレイ事業をジャパンディスプレイに売却する一方、将来の成長事業のためにスマート・メーターの世界大手であるランディス・ギア社を買収し、スマートコミュニティ事業におけるグローバル体制の強化を図りました。
今後も、事業の"集中と選択"を推進し、グローバルに利益ある持続的な成長を図っていきます。2014年度は売上高7兆8,000億円、営業利益4,500億円の達成をめざします。
Q2. 「事業構造転換」の方向性について教えてください。
グローバルトップ企業をめざし、さらに企業向け事業(BtoB)へシフトしていくことを考えています。具体的には、高効率で安定的な電力の確保、高齢者・新興国における医療の拡充、情報のビッグデータ化とセキュリティの確保といった現在の社会が直面する課題を、トータル・エネルギー・イノベーション、トータル・ストレージ・イノベーションによって解決することで、事業の拡大を図っていきます。これらを実現するなかで、従来から注力事業として掲げてきた「統合ストレージ」、「スマートコミュニティ」、「再生可能エネルギー」、「パワーエレクトロニクス・EV」、「ヘルスケア」、「デジタルプロダクツ融合商品・サービス」に加え、「ホーム・ソリューション」、「リテール・ソリューション」についても強化していきます。このような幅広いソリューションを提供していくためには、技術開発に加えて、タイムリーなM&Aやアライアンスが重要です。 このため、2012年度からの3年間で総額3兆円規模を見込んでいる研究開発、設備投資・投融資計画のなかに、機動枠を設け、急激な環境変化に即応できる柔軟性を持たせました。また、継続的な収益の改善によって蓄積させた資本の一部をさらなる成長に向けた原資として活用することも考えています。これらを合わせて機動的に活用できる資金枠は、3年間で7,000億円の規模となります。
また、さらに次の世代のビジネスを創出するために、「世界初・No.1商品・サービス」をめざしたプロジェクトを展開し、グローバルな競争に打ち勝つトップレベルの複合電機メーカーをめざします。
Q3. 「トータル・エネルギー・イノベーション」について、どのように考えていますか。
エネルギー安定供給へのニーズやCO2排出量抑制による地球温暖化防止への必要性が高まるなか、再生可能エネルギーを含めたエネルギーのベストミックスが必要となっています。
再生可能エネルギーのなかでも、水力発電や地熱発電は、基幹電源としての役割も果たし得るもので、エネルギーセキュリティ確保の観点からも重要です。当社は、揚水発電システム分野で、世界トップクラスの技術を持っており、世界40か国以上において、これまでに台数で2,000台、総発電容量にして54GWの水力発電機器を納入した実績があります。また、地熱発電は、2011年度に7基受注し、リーディングカンパニーとして世界No.1シェアを堅持し、世界の地熱発電容量の約25%相当の設備を供給しています。太陽光発電では、メガソーラ国内No.1シェアを確保するとともに、世界最高効率(22.6%)住宅用240W モジュールを発売し、国内におけるシェアを着実に伸ばしています。風力発電も、ユニソン社との連携による韓国ウィンドファーム参入を足掛かりに強化していきます。
一方、火力発電と原子力発電については、基幹電源としてその重要性は変わらないと考えています。当社では電力需要が増加しているアジアを中心に、発電効率が高く、CO2排出量が少ない超臨界圧方式の蒸気タービン発電設備の受注活動を強化しており、韓国の三陟超々臨界石炭火力発電所向け蒸気タービン発電設備(2011年5月)、インドのクドゥギ超臨界石炭火力発電所向け蒸気タービン発電設備(2012年2月)を相次いで受注しました。また、コンバインドサイクル発電システムでは、GEと連携して事業の拡大を進めており、発電効率は62%と世界最高レベルを達成しています。
原子力発電は、エネルギーセキュリティの観点と同時に、CO2削減の側面から必要不可欠なエネルギーとして、継続した需要があります。現在、中国では最新型加圧水型原子炉(AP1000®)4基の建設工事が順調に進んでおり、米国で既に受注しているAP1000R6基のうち4基の建設を本格的に開始しています。
国内においては、福島第一原子力発電所の安定化・グリーンフィールド化へ向け、技術提供・技術開発に積極的に取り組むとともに、さらなる安全性の向上に向けた不断の取り組みを行っていきます。
Q4. 「トータル・ストレージ・イノベーション」について、NAND型フラッシュメモリとの関係も含めて聞かせてください。
NAND型フラッシュメモリは、市場動向に合わせたタイムリーな微細化、設備投資、ポストNANDの開発などを積極的に展開していきます。スマートフォンやSSDなどの新しいアプリケーションを中心に需要が増加傾向にあり、中長期的にも市場拡大が見込まれます。
ビッグデータの時代を迎えて、それに対応するシステムとアプリケーションの提供の重要性が高まり、ストレージデバイス全体の需要が拡大しています。最適なストレージシステムを構築したいというニーズが高まっており、ストレージデバイスを用途に合わせて選択するだけでなく、HDD、SSD、NAND型フラッシュメモリのそれぞれの特長を活かしたストレージシステムの提供ができる当社の強みを最大限に発揮していきます。
これらストレージシステムは、データセンターを中心としたクラウド基盤を支える基幹技術となるものですが、クラウドについては、IBMやヒューレット・パッカード社とのアライアンスも進め、これによりトータル・ストレージ・イノベーションを実現していきます。今後、クラウド環境を使用した「ヘルスケア・ソリューション」、「リテール・ソリューション」、「デジタルプロダクツ・ソリューション」といったアプリケーションの展開を強化していきます。例えば、「ヘルスケア・ソリューション」では、アマゾンのウェブサービスを利用して、医療データの外部保管・サービスを提供したり、「リテール・ソリューション」では、グローバルNo.1のPOSを起点としたソリューションを強化するために、IBMのリテール・ストア・ソリューション事業を買収しました。
  • 注)HDD:ハードディスクドライブ
  • 注)SSD:ソリッドステートドライブ(NAND型フラッシュメモリを使用した記憶装置)
  • 注)POS:販売時点情報管理(Point of Sale system)
Q5. 財政基盤は改善が進んでいますが、今後の成長戦略との関係をどう考えますか。
株主資本比率は、2011年度末15%でしたが、2014年度末の目標は22%です。デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)については、2011年度末142%になりましたが、これはランディス・ギア社買収など将来の成長に向けた積極的な投資を行ったことによる一時的なものであり、2012年度末は108%を下回る水準をめざします。2014年度末までには53%を計画しています。蓄積した資本増強分については、財務基盤とのバランスをみながら、成長事業への設備投資やM&A投資に活用していきます。
  • 注)D/Eレシオ=有利子負債/株主資本

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