経営方針・事業説明会

証券コード:6502

経営方針説明会 - 第173期 (2012年3月期)

QA

経営方針・中計関連QA

Q1. 注力事業の一つに、NAND型フラッシュメモリを掲げていますが、今後について、どう考えていますか。
グローバルトップクラスのシェアを持つNAND型フラッシュメモリは、2010年度に過去最高となる1,087億円の営業利益を達成しました。今後の成長に向けて、他社に先駆け、19nmプロセスを用いた64ギガビットの大容量品を、2011年4月にサンプル出荷し、7月に量産を開始します。今後もさらなる微細化を進める一方、BiCS、次々世代3Dメモリなどの開発も進行中です。新設の四日市工場第5製造棟では、当初計画とおり、7月から生産を開始し、8月には出荷が始まる予定です。さらには、ハードディスクとの一体開発を進め、SSDなど企業サーバー向けのラインナップを強化するなど付加価値の高い応用製品へ展開することで、事業拡大を図ります。これらの施策により、2015年度の売上は、1.1兆円をめざします。
  • 注)BiCS:Bit-Cost Scalable
  • 注)SSD:ソリッドステートドライブ NAND型フラッシュメモリを使用した記憶装置

Q2. スマートコミュニティ関連事業を、新たな収益基盤とする方針を掲げていますが、具体的な今後の展開について教えてください。
スマートコミュニティ関連事業は、当社が既に多くの実績を有している発電、送変電、スマートグリッドを垂直統合することにより、新たな収益基盤としていきます。都市環境や社会インフラのインテリジェント化に向けたトータルソリューションを提供するスマートコミュニティの構築には、スマートグリッドのキーデバイスであるスマートメーター技術やデータを収集・管理する通信技術などが必要です。このため、これらの技術・サービスに強みを持つランディス・ギア社を買収しました。同社は、スマートグリッドに不可欠なAMI事業を、世界30カ国以上で展開し、スマートメーターで世界シェアNo.1を誇るグローバル企業です。同社が世界各地域に展開する営業網を活用することで、グローバル展開を加速させます。また、当社が持つ豊富な社会インフラ事業のアプリケーションを活用し、新たな応用分野への展開も推進します。さらに、スマートコミュニティが有機的に機能するためには、クラウドサービスの提供が不可欠だと考えており、有力パートナーとのアライアンスも進めていきます。
総合的なエネルギーマネジメント体制を構築し、グローバル企業との相乗効果により、スマートコミュニティ関連事業のグローバル展開をさらに加速させ、世界をリードしていきます。これらの戦略を確実に推進することにより、スマートコミュニティ関連事業の2015年度の売上は、9,000億円をめざします。
  • 注)AMI:Advanced Metering Infrastructure

Q3. 収益基盤の一つであるエネルギー関連事業については、再生可能エネルギーを強化するとの方針を掲げていますが、今後のエネルギー関連事業についてどう考えていますか。
再生可能エネルギーについては、国内電力向けメガソーラーでトップシェアを持つ太陽光、世界最高揚程の揚水発電を持つ水力、世界トップシェアの地熱といった既に当社が多くの実績を保有する分野に加えて、新たに太陽熱、風力などの分野も拡大していきます。今後、グローバルな事業展開やアライアンスを通じてさらなる市場の拡大、深耕を図っていきます。例えば、風力では、韓国の風力発電機器メーカーのユニソン社に資本参加し、事業を拡大する体制を整えました。
一方、火力など基幹エネルギーについてもその重要性は変わらないと考えており、継続して取り組んでいきます。火力では、北米での蒸気タービン・発電機の受注シェアが8年連続No.1を達成したことを始め、国内外において多くの実績を有しています。さらに事業を拡大するため、ボイラー分野で北米トップシェアを誇るB&W社と協業し、インドなどにおいてBTG一括供給による受注拡大を図っていきます。コンバインドサイクル発電でも、米国GE社と共同で世界最高レベルの高効率プラントをグローバル市場に展開していきます。
また、原子力では、世界的な電力需要の拡大が見込まれる中、2015年度までに39基受注し、売上高を1兆円にする目標を掲げておりますが、顧客や各国のエネルギー政策の動向により、数年シフトする可能性があります。なお、既設プラントにおいても、各関係機関の安全基準見直しにもとづく緊急および恒久的な安全対策を実施していきます。
  • 注)B&W:米国バブコック&ウィルコックス社(Babcock & Wilcox Company)
  • 注)BTG:ボイラー、蒸気タービン、発電機

Q4. デジタルプロダクツ部門や家庭電器部門については、どのようにして今後の成長と収益性の向上を実現していきますか。
デジタルプロダクツ部門は、国内シェア連続1位であるノートパソコンと国内およびアセアン地域を中心に大幅に販売台数を伸ばした液晶テレビがともに好調であったことに加え、固定費削減など継続的な収益構造の強化が進み、黒字が定着しています。テレビ、パソコン、携帯機器などの製品は、その境界がなくなりつつあり、それぞれのカテゴリーを越えた技術・部品・製品・サービスの共通化が求められています。こうした事業環境の変化に対応するため、2011年4月に、テレビとパソコンの組織を統合するとともに、商品別の事業体制から、日本、欧米、新興国、中国を単位とする地域別の事業体制に再編しました。各地域の市場ニーズにフィットした商品開発やマーケティングによりスピーディかつタイムリーな事業戦略を実行し、今後のさらなる収益性の向上を図っていきます。
家庭電器部門においても、液晶テレビやノートパソコンといったデジタルプロダクツ部門との販売面での連携を強化するとともに、新興国でのローカルフィット商品の展開を加速させていきます。

Q5. 財務体質は改善されてきているようですが、今後の成長戦略との関係においてどのように考えていますか。
2010年度末のフリー・キャッシュ・フローは、1,594億円と引き続き高水準で、デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)は125%と、財務基盤の強化が進みました。今後もさらに財務基盤を強化しつつ、一方で将来の成長に向けた資源投入も積極的に進めていきます。D/Eレシオを、2013年度末までに50%にすべく改善していく中で生じる余力については、機会を見て、成長事業への設備投資やM&Aに活用していく考えです。今後3年間での設備投資・投融資は、1兆4,500億円、研究開発は、1兆1,000億円を計画しました。このうち、当初から計画に織り込んでいる機動枠と新たに生じる余力分を合わせた7,000億円を戦略的に活用し、さらに成長を加速させます。また、2013年度のROIは20%を目標としています。
なお、株主還元については、連結配当性向30%程度を目標に、配当の継続的な増加をめざします。
  • 注)D/Eレシオ=有利子負債/株主資本
  • 注)ROI=営業利益/(自己資本+有利子負債)

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