デジタルと人の力で、次世代を切り拓く
急速に進化するデジタル技術の現場において、開発をベースにキャリアを積み重ねてきた岩渕 雄太。現在は、プロジェクトマネージャーとして、「対話」を何よりも大切にしながらチームを導いている。仲間との対話の中で最良の解を探り、お客さまの期待を超える価値を生み出している、柔和な中にも意志の強さを感じさせる人物だ。そんな岩渕にとっての「デジタル」について語ってもらった。
対話から生まれる、最良のソリューション
いま私は、薬品卸会社向けの在庫管理システムや基幹システムの開発プロジェクトで、プロジェクトマネージャーを担当しています。研究開発担当としてキャリアをスタートして以来、数理最適化の取り組みや、海外協力会社との協業など、幅広い視野でグローバルに技術と向き合う経験を積んできました。そこでの知見やノウハウは、現在のプロジェクト運営での意思決定や取り組み方に生かされています。
プロジェクトマネージャーとして業務を進めるうえで、私が何よりも大切にしていることは、「一人で抱え込まないこと」です。例えば、システムの仕様を決めるときは、従来のやり方や自分の考えに固執せず、幅広くさまざまな発想や技術を取り入れることを重視しています。これは自分一人の力だけでは困難なため、プロジェクトメンバーと意見を交わしながらメンバーそれぞれの考えに丁寧に耳を傾け、アイデアをブラッシュアップしていくように努めています。メンバーから闊達(かったつ)な発想を引き出すためには、役職や立場に関係なく誰でも自由に意見を出し合える、そんな雰囲気をつくることも欠かせません。対話の積み重ねと、共に考え抜いた経験が、チームの実力を高め、お客さまにより良いものを提供することにつながると考えています。
こうした姿勢を大事にしているのは、過去の苦い経験がきっかけです。
かつて開発担当として参画したプロジェクトで、お客さまの業務に対する理解が不足していたことから、求められていたレベルに届かず悔しい思いをしました。何が分かっていないのかすら分からなかった当時の感覚は、今でも忘れられません。それ以来、私は自分自身が、お客さまの業務や想いを深く理解することに徹するようになりました。まずは率先してお客さまと対話し、そこから得た情報と業務の観察や分析により得られた情報を基に理解を深め、お客さまがシステムを導入する背景や意図を、より高い精度でくみ取ります。その上で、理解した業務やシステム導入の意図をメンバーに共有し、全員が同じ認識を持てるようにするとともに、メンバーとの議論からよりよい提案を導くことに力を入れています。
実際に、最近完了したプロジェクトでは、この進め方が大きな成果につながりました。お客さまと合意した要件をベースに、「本当に求められている価値は何か」をチーム内で繰り返し議論し、限られた条件の中で実現できる追加機能をいくつも提案しました。これらの提案に対して、お客さまから高く評価をいただけたことは、メンバー全員の大きな喜びとなり、プロジェクトマネージャーとしてはチーム力が高まるよい経験になったと感じています。
私にとってプロジェクトとは、単なる「開発の仕事」ではありません。メンバー全員が主役となり、お客さまと一緒に価値をつくりあげる場です。その中心にあるのは、私がずっと大切にしてきた「言葉のキャッチボール」。対話を通じて自分では思いつかない発想に出会えた瞬間こそが、私にとってこの仕事の最大の醍醐味です。全員が主役であり、全員の力を合わせて形にする。その過程が大きなやりがいにつながっています。
こうした「人と向き合う姿勢」は、実務以外の活動でも変わりません。私は実務とは別に、社員が母校の後輩のためにリクルーターとして就職活動を支援する活動にも参加しています。当社の魅力や仕事の面白さを伝えることがこの活動の主な目的ではありますが、私がこの活動で目指すところはそれだけではありません。後輩の悩みや迷いを聞き、納得ある未来へと進めるように少しでも力になりたいという思いがあります。出身の大学や研究室の後輩から就職に関する悩みや相談を受ければ、自然と親身になって話を聞いてしまいます。人と人、組織と組織をつなぐ「橋渡し」的な役割を担うことで、後進が挑戦しやすい環境づくりに協力していきたいです。
デジタルとともに成長し、次の世代を導く
私は、デジタルの進化とともに育ってきた、いわゆる「デジタルネイティブ世代」です。幼少期に夢中になったゲーム機も、学生時代を共にしたパソコンも進化を続け、今では当時とは比べものにならないほど高性能になりました。AIも同じです。ここ数年で、AIは歴史的にも類を見ないスピードで進化と拡大を続けています。すでに日常の業務で十分に活用できるフェーズに入っていると、実感しています。
いまやデジタルは、ビジネスの成長や業務の効率化、競争力の向上に不可欠な存在です。一方で現場では、アナログでの作業が中心となっていたり、人材の確保や投資に課題があったりして、デジタル化が十分に進んでいない業界や業務もあります。しかし、それらの領域もこれから確実にデジタル化が広がっていくはずです。最近、海外出張の際に訪れた都市では、モバイル決済が広く普及し、現金を使う場面がほとんどありませんでした。デジタル技術が人々の行動や街の仕組みを大きく変えていく様子を、現地で強く実感しました。
こうした急速に進化する時代において、私は、デジタルの恩恵を「受ける側」にとどまらず、「与える側」としてデジタル革新の波に乗り、時には先頭を走る存在でありたいと思っています。ただし、新しい技術がすべて適切であるとは限りません。従来のシステムの中にも、自分がまだ知らない価値や知見が数多く眠っています。それらが、今後の選択肢のひとつになる可能性がある。だからこそ、新旧を問わずに幅広い視野で、システム開発に向き合っていきたいと考えています。
この先10年で、デジタルはAIを中心にこれまでとは比べものにならないスピードで進化していくでしょう。10年後も、デジタル革新の波に取り残されず、むしろそれを乗りこなせる存在でいたい。さらに、その頃に入社する若い世代にとって、進むべき方向を背中で示せる「お手本」のような存在になりたいと思っています。そのためにも、現在取り組んでいるリクルーターの活動には、より一層力を入れていくつもりです。私自身の将来の目標は、AIに代わる、あるいはAIが進化して生まれる新しい技術によって、これまでにないソリューションを生み出し、社会に貢献することです。もちろん、その道のりの途中でも誰かの声に耳を傾ける姿勢は変えずに、これからも歩んでいきたいと思います。
大切なことば
「会話とは、言葉のキャッチボールである」
「相手の話を聞くこと」を強く意識しています。仕事において、人とコミュニケーションを取ることはとても重要です。一方的に話をするのではなく、相手の意見を尊重しながら話を聞き、自分の意見を伝える。お互いに考えや思いを伝えあうこと、言葉のキャッチボールをすることがコミュニケーションの基本です。楽しい話題や思いが強い話題だと、ついつい自分ばかりが話をしてしまいそうになります。そういうときは特に意識して、「一息ついて相手の話を聞くこと」を、ずっと大切にしてきました。
岩渕 雄太(IWABUCHI Yuta)
東芝デジタルソリューションズ株式会社
デジタルエンジニアリングセンター
流通・メディアサービスソリューション部
流通ソリューション第二担当
学生時代は理学部で化学を専攻。コンピューターによる化学反応のシミュレーションなどを研究していた。現在は、流通系の在庫管理や基幹システムの開発、および改修に携わり、チーム全体を統括するプロジェクトマネージャーを担当している。
執筆:井上 猛雄
- この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2026年2月現在のものです。
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