イベントレポート|Sustainable Futures Meet up Vol.03~「食品ロス・廃棄」解決のためにテクノ ロジーができること~


2022.10.13

8月1日(水)日本電気株式会社の松葉明日華氏、渡辺周氏、株式会社東芝の大幸秀成氏、駒木亮伯の4名で、Sustainable Futures Meet up Vol.03~「食品ロス・廃棄」解決のためにテクノロジーができること~と題したオンラインウェビナーを行いました。


Vol.03では、食品ロス・廃棄に取り組む実務者と共に、食品ロス・廃棄解決のためにテクノロジーができること、できないことについて対話しました。

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Sustainable Futures Meet upは、人類の主要な「生存チャレンジ」を一世代 (2020-2050) の内に解決に導く4Revs活動※1を起点に、サステナビリティに関する様々なデータや事例と多様な分野の有識者との知見を組み合わせることで、現状の課題感を俯瞰し、持続可能な未来社会への切り口を見つけていきます。

※1 4Revs(= 4つの革命)とは、人類が直面する「4つの生存課題」に対し、世界各地における若手の社会起業家・社会イノベーター・サステナビリティの実践者と企業や公的組織等を結び付け、4つのそれぞれの分野で、課題解決の活動やビジネスを支援していく特定非営利活動法人Nelisが運営する活動組織です

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まずは渡辺氏より、生産領域を起点とした食品ロス・廃棄をどう防いでいくかということを説明いただきました。

渡辺氏は、東日本大震災でイチゴハウスの95%が飲み込まれたことを機に、ボランティア活動でイチゴハウスの竣工から、生産、イチゴのブランド化※2、専門スイーツカフェも立ち上げられています。その当時から画像解析による収穫予測を精緻化することで、食品ロスはもちろん輸送コストなどバリューチェーン上のあらゆる無駄をなくすことに取り組んでこられたそうです。

現在では、露地栽培向けの農業ITとして衛星やドローン、センサーを使って作物の生育を見て肥料や水を最適化し、収穫予測することを国や作物を徐々に広げていっているとのことです。収穫予測はハードルが高いところではありますが、地域や工場、農家の方々と組みながらサプライチェーン全体に最適化していくことにチャレンジされていると語ってくださいました。

※2 ミガキイチゴの詳細はこちら

 

続いて大幸氏からは、食ロスの最大の原因は、ロスが出た後に考えることだというお話がありました。食糧・食品を生み出す段階から、最後の消費(漏れなく利用する)まで考えたモノづくり、サプライチェーン/バリューチェーンを形成しなければならず、需給マッチングは、完全消費型の食文化バリューチェーンによって解決し、ロスも出難い流れが生まれると考えられているそうです。テクノロジー産業は食品ロスと関係が薄いと思われがちだが、導入してはじめて食ロスへの課題に取り組める。日本産業、経済成長の原動力となり得る「食文化」に磨きを掛けて、国内外の人に対する「幸せ」を届けたいと想いを語ってくださいました。

食品ロス・廃棄に関する文献や実務者が感じる課題を見渡し、食品ロス・廃棄に関わるサプライチェーン全体像を実務者・セミナー参加者と共に理解して行きたいという想いで因果ループ図を作成しました。更に、因果ループ図には、生鮮食品の鮮度を伸ばす技術や、食品残渣を捨てずにアップサイクルする技術又は、必要な人とのマッチングサービスなど、現在の先駆的なテクノロジーを利用した事例も記載し、食品ロス・廃棄削減についての影響や効果について、考察しました。これらを基に、セミナー登壇者と共に食品ロス・廃棄に対する介入策の視点を以下の3点にまとめました。

 

①作る人と食べる人の(心理的な)繋がりを創出

 生産と消費を繋ぎ、今あるものを食す文化を醸成する。厳格な品質基準や欠品の許されない文化から脱却する

 

②生産現場でブラックボックス化されている廃棄を可視化し、活用を検討

現在、過剰生産ともカウントされていない廃棄を見える化し、アップサイクルなど新たな付加価値をつける方法を考える

 

③食べ残しの再利用知識を習得

必要以上に食べ物を購入してしまう食習慣を変える行動変容を促し、発生を避けられない食べ残しから出る廃棄物をアップサイクルする方法を学ぶ

 

現状、日本の食品ロス・廃棄に関するデータはまだ断片的であり、これら断片的なデータを組み合わせ、サプライチェーン全体での食品ロス・廃棄に関するデータを作り上げていくことが求められています。

今後、食品ロス・廃棄を取り巻く複雑な問題に関して、今回作成した因果ループ図も起点に、企業や組織を横断した様々なステークホルダーと共に社会課題の分析を進め、社会実装につなげたいと考えています。

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