直流鉄道用電力システム向け
SCiB™搭載回生電力貯蔵装置
東芝独自の高品質な蓄電池技術による新しい省エネソリューション、SCiB™を用いた回生電力貯蔵装置(TESS)
車両制動時には隣接する加速中の列車で利用可能な回生電力が発生します。しかし、この回生電力は近くに消費する列車が存在しなければ、車載の抵抗器あるいは機械ブレーキにより熱として浪費されてしまいます。これでは電力の浪費を招くだけではなく、回生制動から機械制動への急激な転換を引き起こすおそれがあります。このような急激な転換は乗客の乗り心地を損ね、また摩擦によりブレーキシューの劣化を加速します。
東芝の回生電力貯蔵装置(TESS)は、余剰回生電力を効率的にSCiB™に貯蔵し、これを加速中の別の列車に放電します。東芝のTESSは、蓄電池の充電状態(State-of-Charge, SOC)に応じた充放電サイクルの柔軟な制御を可能にする弊社特許取得済みの高度な制御技術を搭載しています。これにより、蓄電池のさらなる長寿命化を可能としております。
パンフレット
主な利点
高性能SCiB™
SCiB™は、高い安全性を確保しながら、20,000回*を超えるサイクル寿命、急速充電性能、高入出力性能、低温性能、広い実効SOCレンジ等の優れた特性を有する二次電池です
詳細:https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/battery/scib.html(株式会社東芝)
東芝独自のV-SOC制御
東芝はTESSを効率的に制御するため、高度な充放電アルゴリズムを実装
従来型の回生電力貯蔵装置では、所定のSOC(充電率)を維持するように蓄電池の充放電が行われます。
定格架線電圧にあっても無駄に蓄電池の充放電が行われる場合があります(充電開始電圧と放電開始電圧の間の部分)。これによって充放電回数が増え,電池寿命が低下します。
東芝のV-SOC制御法では、充放電特性はSOCに応じて自動的にシフトします。SOCが高い場合、充放電特性は高電圧側にシフトするため蓄電池は放電しやすくなります。一方SOCが低い場合には、充放電特性は低電圧側にシフトし、蓄電池はさらに充電を行います。
蓄電池の寿命は充放電の回数および電流に大きく依存します。この制御アルゴリズムを使うことで無駄な充放電を大幅に削減することができます。
東芝のシステムでは所定のSOCを設定していないため、充放電はSOCの幅広い範囲内で動的に行われます。
[特許取得済み]
- * SOC:充電状態 *V-SOC:電圧・充電状態
約5年経過後の各電池モジュールの劣化度合いの調査結果
温度環境によって劣化度合いに若干の差はあるものの、各電池モジュールとも、
出荷時からの大きな性能低下は見られなかった。
定格および仕様
項目 | 定格/機能 | |
---|---|---|
定格電圧(架線側) | DC750V/600V | DC 1500V |
定格出力 | 500kW-2000kW(DC750V) 400kW-1600kW(DC600V) |
500kW - 4000kW |
負荷パターン | Class I - IX (IEC 62924) 0.75(p.u.) 連続 |
Class I , Ⅳ, Ⅵ - Ⅸ (IEC62924) |
定格容量 | 146kWh - 777kWh | 146kWh - 1554kWh |
定格電圧(蓄電池側) | DC 600V (530V - 713V) | |
制御モード | 1.系統連系モード 2. 非常走行モード |
|
監視制御機能 | 1.V-SOC制御設定 2.状態・故障・計測・履歴表示 3.スケジュール制御設定 4.データロガー 5.遠隔監視(オプション) |
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準拠規格 | IEC / JEC |
※HMI画面はiF賞2021を受賞:https://ifworlddesignguide.com/entry/310682-energy-storage-system-for-railway-with-scib(iF Design)