エイブリック株式会社 様、株式会社レスター 様、株式会社プリバテック 様、一般社団法人ifLinkオープンコミュニティ

ifLinkオープンコミュニティが生み出した4社共創の力
巡回型漏水検知ソリューションの提供体制を確立

 日本で数少ないアナログ半導体メーカーであるエイブリック株式会社は、独自の省電力技術を活かした画期的なバッテリレス漏水センサの開発に成功した。しかし、センサ単体ではなく、ソリューションとして拡販するためには、システム構築や販売体制など自社だけでは解決できない課題があった。
 そこで出会ったのが、東芝のifLink®プラットフォームだ。さまざまなIoTサービスを手軽に実現できるifLinkプラットフォームを活用して、センサをスマートフォンアプリで簡単に使える仕組みを作り上げることができたが、その先の販売網、サービスの壁に直面。そこで企業や団体の枠を超えたオープンイノベーションの場である一般社団法人ifLinkオープンコミュニティに参画する中でパートナーを見いだし、株式会社レスターと株式会社プリバテックとの4社の強みを活かした共創により、「巡回型漏水検知ソリューション」の提供体制を確立した。


課題

  • 導入から保守まで一貫したトータルソリューションとしての提供を模索していた
  • 外部プラットフォームとの柔軟な連携により、ユーザー利便性を高めるアプリ化を訴求したかった
  • 施設管理などの新領域における最適な顧客接点を求めていた

共創効果

  • 4社の共創により、デバイスの社会実装と安定的な提供体制を確立した
  • ifLinkプラットフォームを活用し、既存機能の組み合わせで簡単に使えるソリューションを構築できた
  • ifLinkオープンコミュニティのネットワークにより、未参入市場へのアプローチが可能となった

画期的なセンサ技術が直面したソリューション化の壁


 ミネベアミツミグループの一員として、アナログ半導体ソリューション事業を展開するエイブリック。同社のバッテリレス漏水センサは、新規事業として開発された製品だ。「このセンサは水に濡れると水から発電し、Bluetooth信号を発信することで、電源工事も電池も不要で、設置の自由度が圧倒的に高いという利点があります」と語るのは、当時、センサ事業の推進を統括していたエイブリックの和気宏樹氏だ。

 電源不要という画期的な技術であったが、既存市場では設備管理システムなどに組み込まれた有線タイプの漏水センサが主流であり、無線のIoTセンサという概念は浸透していなかった。「そのため、センサ単体を販売したくても、お客様はどう扱えばよいのか戸惑われることが多かった」と和気氏。同社はセンサに受信機をセットにしたパッケージ商品など、さまざまなアプローチを模索したが、導入コストが高くなる傾向があり、スモールスタートを望む顧客に対し、より手軽な選択肢を提供したいと模索していた。

 「当社のセンサをスマホのアプリで手軽に使える方法がないか、ずっと模索していました。しかし半導体メーカーである私たちにはアプリ開発のノウハウがなく、外部に依頼するにしても開発費用や維持コストの問題がありました。技術はあっても形にできない、そんな状況が続いていました」と和気氏は当時を振り返る。

エイブリック株式会社
事業企画ユニット
アシスタントゼネラルマネージャー
和気 宏樹氏

オープンコミュニティだからこそ実現した4社の共創


・一般社団法人ifLinkオープンコミュニティ
 コミュニティ・マネージャー
・東芝デジタルソリューションズ株式会社
 ICTソリューション事業部 ifLink推進室
  村上 瑛氏

 転機となったのは、東芝のifLinkプラットフォームとの出会いだった。ifLinkプラットフォームは、さまざまなIoT機器やWebサービスをモジュール化し、「IF(もし〜したら)THEN(〜する)」の組み合わせで、誰でも簡単にIoTの仕組み(IF-THENレシピ)をつくることができるオープンなIoTプラットフォームだ。

 和気氏は「ifLinkプラットフォームならアプリ開発が不要で、センサとスマホをそのままつなげられる」と判断し、まずエイブリックと東芝の2社で技術検証を開始した。その結果、センサが水に濡れたらスマホから通知が届くという動作確認をわずか1ヵ月で作り上げた。

 「商品としては成立しましたが、それだけでは事業化できません。誰がキッティングするのか、誰が営業するのか、お客様サポートは誰が担うのかなど、販売するための体制が準備できていなかったのです」と東芝デジタルソリューションズ ifLink推進室 事業共創担当 主任の村上瑛氏は語る。

 この課題を解決したのが、150を超える企業や団体が、ifLinkというプラットフォーム技術を利用して枠を超えたオープンイノベーションの場を提供するifLinkオープンコミュニティだ。エイブリックと東芝は、このコミュニティのネットワークの中から事業化のために必要なパートナーを探すことにしたのである。

株式会社プリバテック 営業本部 営業部 主任
関 宜紀氏

 エイブリックは、もともとセンサを使ったIoTソリューションの取引実績があったプリバテックにアプローチ。同時にifLinkオープンコミュニティの会員でもあったレスターとつながった。レスターは、エレクトロニクス商社として幅広い販売網を持ち、同社の新規ビジネス開拓室ではまさに新たなソリューション商材を模索していた。プリバテックとレスターがグループ会社の関係にあったこともあり、点と点がつながり、こうして東芝、エイブリック、レスター、プリバテックという4社による共創がスタートした。

 プリバテック 営業本部 営業部 主任 関宜紀氏は、参画の経緯をこう語る。「レスターとの関係でお声がけいただいたのがきっかけです。ただ、もともと当社はエイブリックのセンサを使ってIoTソリューションを展開していた実績もありました。きっかけは偶然でしたが、土台はすでにあったのです」

 また、レスターのデバイスBU 第2営業本部 新規BIZ開拓室 マネージャー 大脇哲二氏も「もともとプリバテックのソリューションを当社で拡販していこうという動きを取っていたので、ちょうどタイミングもよかった」と振り返る。

 転機となったのは、東芝のifLinkプラットフォームとの出会いだった。ifLinkプラットフォームは、さまざまなIoT機器やWebサービスをモジュール化し、「IF(もし〜したら)THEN(〜する)」の組み合わせで、誰でも簡単にIoTの仕組み(IF-THENレシピ)をつくることができるオープンなIoTプラットフォームだ。

 和気氏は「ifLinkプラットフォームならアプリ開発が不要で、センサとスマホをそのままつなげられる」と判断し、まずエイブリックと東芝の2社で技術検証を開始した。その結果、センサが水に濡れたらスマホから通知が届くという動作確認をわずか1ヵ月で作り上げた。

 「商品としては成立しましたが、それだけでは事業化できません。誰がキッティングするのか、誰が営業するのか、お客様サポートは誰が担うのかなど、販売するための体制が準備できていなかったのです」と東芝デジタルソリューションズ ifLink推進室 事業共創担当 主任の村上瑛氏は語る。

 この課題を解決したのが、150を超える企業や団体が、ifLinkというプラットフォーム技術を利用して枠を超えたオープンイノベーションの場を提供するifLinkオープンコミュニティだ。エイブリックと東芝は、このコミュニティのネットワークの中から事業化のために必要なパートナーを探すことにしたのである。

・一般社団法人ifLinkオープンコミュニティ
 コミュニティ・マネージャー
・東芝デジタルソリューションズ株式会社
 ICTソリューション事業部 ifLink推進室
  村上 瑛氏

 エイブリックは、もともとセンサを使ったIoTソリューションの取引実績があったプリバテックにアプローチ。同時にifLinkオープンコミュニティの会員でもあったレスターとつながった。レスターは、エレクトロニクス商社として幅広い販売網を持ち、同社の新規ビジネス開拓室ではまさに新たなソリューション商材を模索していた。プリバテックとレスターがグループ会社の関係にあったこともあり、点と点がつながり、こうして東芝、エイブリック、レスター、プリバテックという4社による共創がスタートした。

 プリバテック 営業本部 営業部 主任 関宜紀氏は、参画の経緯をこう語る。「レスターとの関係でお声がけいただいたのがきっかけです。ただ、もともと当社はエイブリックのセンサを使ってIoTソリューションを展開していた実績もありました。きっかけは偶然でしたが、土台はすでにあったのです」

 また、レスターのデバイスBU 第2営業本部 新規BIZ開拓室 マネージャー 大脇哲二氏も「もともとプリバテックのソリューションを当社で拡販していこうという動きを取っていたので、ちょうどタイミングもよかった」と振り返る。

株式会社プリバテック 営業本部 営業部 主任
関 宜紀氏

既存技術×役割分担で実現した短期間での商品化


 4社が正式に座組みを確認し合ったのは2024年12月末、そして巡回型漏水検知ソリューションとして販売開始のリリースを発表したのが2025年3月初旬。なぜ、わずか3ヵ月でリリース発表をすることができたのか。

 「大規模な新規開発がほぼ不要だったことが大きなポイントですね」と関氏。エイブリックのセンサはすでに商品として存在し、ifLinkのプラットフォームも商用版がある。プリバテックは既存のエンジニアリングリソースを活かして顧客の使用環境に対応した設定作業とifLinkの動作を定義するレシピ(IF-THENレシピ)の作成を担い、レスターが営業・販売のフロントに立つことになった。「もともと揃っているものを組み合わせてパッケージにする。それが3ヵ月というスピードでリリースできた理由です」と関氏。

 ifLinkの「IF-THENレシピ」作成を担当したプリバテック ソリューション開発本部 技術マネージャー 春元英明氏は、「どれほど優れた機能を搭載してもお客様が使わなければ意味がありません。お客様が本当に欲しいデータや機能を想像しながら、何度もトライ&エラーを重ねました」と語る。実装した機能の見直しを幾度も重ねて、実際に利用する現場担当者にとって本当に使いやすい形へと進化させていったのだ。

株式会社プリバテック ソリューション開発本部
技術マネージャー
春元 英明氏

対等なパートナーシップが生んだ新しいビジネスモデル


株式会社レスター デバイスBU 第2営業本部 新規BIZ開拓室
マネージャー
大脇 哲二氏

 今回の共創で特筆すべきは4社の関係性だ。それぞれがifLinkオープンコミュニティを通じた対等なパートナーとして主体的にプロジェクトに参画できたという。「端末の価格が高すぎるから変更してほしいなど、お互いに率直な意見を言い合える関係性でした」と関氏。対等なパートナーシップだからこそ、この新しいビジネスモデルが構築できたのだ。

 営業・販売の最前線に立つレスターの大脇氏は「バッテリレス漏水センサは技術的に特徴が明確なため価値も伝わりやすく、お客様にもすぐに興味を持っていただけます」と手応えを語る。特に工場の施設管理部門からの関心が高く、後付けで設置できる手軽さやコスト面での優位性が評価され今後の拡販に期待している。

 さらに、ifLinkオープンコミュニティを通じた新たなつながりも期待されている。「普段、我々が接点を持たない業界である保険会社や大手製造業などのお客様をご紹介いただきました。また、東芝グループの全国の工場においても、この漏水検知商材を起点に我々の工場向けソリューションと組合せた形でビジネス拡大を進めています」と大脇氏。

 今回の共創で特筆すべきは4社の関係性だ。それぞれがifLinkオープンコミュニティを通じた対等なパートナーとして主体的にプロジェクトに参画できたという。「端末の価格が高すぎるから変更してほしいなど、お互いに率直な意見を言い合える関係性でした」と関氏。対等なパートナーシップだからこそ、この新しいビジネスモデルが構築できたのだ。

 営業・販売の最前線に立つレスターの大脇氏は「バッテリレス漏水センサは技術的に特徴が明確なため価値も伝わりやすく、お客様にもすぐに興味を持っていただけます」と手応えを語る。特に工場の施設管理部門からの関心が高く、後付けで設置できる手軽さやコスト面での優位性が評価され今後の拡販に期待している。

 さらに、ifLinkオープンコミュニティを通じた新たなつながりも期待されている。「普段、我々が接点を持たない業界である保険会社や大手製造業などのお客様をご紹介いただきました。また、東芝グループの全国の工場においても、この漏水商材を起点に我々の工場向けソリューションと組合せた形でビジネス拡大を進めています」と大脇氏。

株式会社レスター デバイスBU 第2営業本部 新規BIZ開拓室 マネージャー
大脇 哲二氏

共創が拓く次のステージとエコシステムの進化


 巡回型漏水検知ソリューションの拡販を進める中で、顧客からはすでに新たなニーズが寄せられている。「温湿度も管理したい、異常音も検知したいといったご要望をいただいています。それを受け、新しいバージョンでは温湿度センサも追加する予定です。そして、そのセンサについてもifLinkオープンコミュニティの会員企業のものを活用しています」と関氏。顧客ニーズの広がりに対し、コミュニティのネットワークで応えていく——。まさにエコシステムとしての循環が始まっているのだ。

 一方、東芝ではこの共創モデルそのものをさらに発展させようとしている。「本件ではifLinkプラットフォームのシステムが商品に含まれていますが、最近ではifLinkプラットフォームを使っていない案件でもコミュニティを活かしてパートナー探しや座組みづくりをお手伝いする伴走支援サービスをトライアルで始めています」と村上氏は言う。技術は確立しているのに売るためのパートナーが足りない、顧客をどう探していいか分からない——、そうした課題を抱える企業をコミュニティの中でつなぎ、商品化まで伴走する。このオープンIoTのビジネスエコシステム拡大は、ifLinkオープンコミュニティの新たな柱として期待されている。

 エイブリックの和気氏は、コミュニティの価値を次のように表現する。「ifLinkオープンコミュニティは、実務レベルの人が中心で、ビジネスをつくろうとする熱量があります。そこがifLinkオープンコミュニティならではの強みだと思います」

 4社の共創は、単なるIoT製品の共創開発にとどまらない。新規事業推進における「座組みのつくり方」と「事業化」——、その実践的なモデルケースとして後に続く企業の道を照らしていく。

ifLink®プラットフォーム
「ifLinkプラットフォーム」は、様々なIoT機器やWebサービスをモジュール化して、その組み合わせで便利な仕組みをつくれる、オープンなIoTプラットフォームです。
製造、小売・店舗、介護、エンタメ、教育、農業など、様々な現場のユースケースに適用可能です。スマートフォン、設置型ゲートウェイ、業務用タブレット、対話型ロボットなど、様々な情報端末に搭載可能で、商用サービスのスピーディな立ち上げやユーザーの利便性向上に貢献します。


ifLinkオープンコミュニティ
150を超える企業・団体が業界の垣根を越えて共創するifLinkオープンコミュニティ。
「誰もが簡単にIoTが使える世界」の実現のために、企業・学校・団体が集まって、共創活動、普及活動を進めています。
ifLinkオープンコミュニティは、株式会社東芝とは独立した一般社団法人です。

  • ifLinkは株式会社東芝の登録商標です。その他、本サイトに記載されている社名及び商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
  • この記事の内容は2026年2月に取材した内容を元に構成しています。
  • 記事内における数値データ、所属、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
エイブリック株式会社

本社所在地
東京都港区東新橋1-9-3

事業内容
アナログ半導体製品の設計、開発、製造および販売

URL
https://www.ablic.com/jp/ 


会社名
株式会社レスター

本社所在地
東京都港区港南二丁目10番9号 レスタービルディング

事業内容
・半導体・電子部品の販売及び技術サポート、LSI設計開発、信頼性試験受託サービス
・映像・音響・通信・計測のソリューション、設計・施工、保守エンジニアリング
・太陽光発電による再生可能エネルギーの導入・普及に向けた運営管理

URL
https://www.restargp.com/


会社名
株式会社プリバテック

本社所在地
東京都港区港南二丁目10番9号 レスタービルディング

事業内容
開発受託サービス(ソフトウェア開発、LSI設計、LSIテスト開発、FPGA開発、アナログ・デジタル基板開発)、テストハウス事業、製品・モジュール開発(通信、センサ、画像処理系製品・モジュール開発)、技術サポート(カメラセンサ技術サポート、各種半導体技術サポート)

URL
https://privatech.jp