「より良いデジタル社会を」
― 要介護認定支援やブロックチェーン活用 ―
「ガバメントクラウド」への移行とそれに伴う「自治体システム標準化」をはじめ、AIの導入やマイナンバーカードの普及・活用など、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性は加速度的に増している。政府は2025年6月、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定。行政のデジタル化を一層推進する方針を打ち出した。
こうした中、「東芝デジタルソリューションズ株式会社(以下、東芝)」は、要介護認定支援システムや、デジタルデータを透明性高く、安全に記録できる技術であるブロックチェーンを使った公共事業の電子契約システムなどで自治体DXの実現に貢献している。中央省庁との30年を超えるビジネスで培った知見と高い技術力を生かし、「人と、地球の、明日のために。」を経営理念に掲げ、より良いデジタル社会の実現を目指す。
自治体の課題解決に貢献
同社のICTソリューション事業部官公ビジネスユニットの統括責任者を務める大場豊秋氏は、「2040年問題」に象徴される労働力不足、財政的な制約などが自治体の喫緊の課題となっており、その解決策として自治体DXの推進が不可欠と指摘する。
その上で、「自治体DXに貢献することにより、社会的責任を果たし新たな公共価値を創出したいと考えています」と語る。
同社はこれまで、中央省庁との間で、業務システムに特化したビジネスを展開しており、近年ではクラウド環境を最大限に活用したアプリケーション構築やデジタルインフラ基盤の導入などで実績を重ねている。そうした中で培ってきたデジタル人材やノウハウ、全国的な保守網が自治体DXを推進する上でも「強み」になっているという。
大場氏は「自治体業務の効率化を進めることによって、住民サービスを維持すると同時に、職員の方が付加価値の高い業務に集中できるようになるメリットが生まれます。自治体のさまざまな課題解決に貢献していきたい」との考えを示す。
ICTソリューション事業部 官公ビジネスユニット
統括責任者
大場 豊秋 氏
要介護認定業務を効率化
東芝は、自治体システム標準化において、福祉・保健行政ソリューション「ALWAYS®」を提供している。同シリーズは2000年にスタート。要介護認定業務を効率化させる「ALWAYS J」や、訪問調査をサポートする「ALWAYS V」などから成る。
「ALWAYS J」は、①介護認定審査会の資料ペーパーレス化②認定の進捗状況をステータスごとに管理することができる。「ALWAYS V」は訪問調査をタブレット化。訪問時に調査結果を登録できるようにすることで、調査員の負担を大幅に軽減すると同時に、調査内容の質を均一化する。入力時には手書き部分も反映できる。
2025年末時点で、「ALWAYS」シリーズの導入自治体数は100を超える。
電子契約の信頼性と透明性を実現
東芝では、自治体と事業者双方が使いやすい公共事業システムとして「CISSART®(シスアート)」を展開する。電子調達・電子契約システム、公共工事積算システム、設計図書整合性チェックシステムなどで自治体DXを支援する狙いだ。
その中で、電子契約システムには、独自開発によるブロックチェーン「DNCWARE Blockchain+™」を投入している。「データの改ざんが難しく、高い信頼性と透明性を持つ電子契約システムを実現するため」(大場氏)この技術を組み込んだ。
ブロックチェーン(分散型台帳)は、「ブロック」単位で取引履歴をまとめ、それらを暗号化して鎖のようにつなげて管理する手法。同社は暗号化技術を駆使することで、新たなコスト負担なく利用できる電子契約システムを構築した。データの改ざんが防げ、署名捺印が不要となる点が特長だ。
同社と長崎市は21年9月から1年間、検証作業を実施。事務処理時間や収入印紙額の削減といった効果が確認されたことから、同市が23年5月に本格導入した。長崎市以外の導入自治体も徐々に増加、「今後もますます増える」見通しだ。
ブロックチェーンに関しては、24年度に自治体や民間企業と新たな協議を始めた。共同で「ブロックチェーンの公共利用研究会」を立ち上げ、電子契約以外にも、さまざまな分野で公共的にブロックチェーンを活用・提供するための取り組みを検討しており、26年度から各自治体業務における実証を始めたい意向だ。大場氏は「自分たちだけで考えるよりもいろいろなアイデアが出てくるはず」と期待する。
秘匿性の高い情報を扱う業務に生成AI
東芝では、近年爆発的に普及し、社会やビジネスに大きな影響を与えている生成AIに関しても積極的に取り組んでいる。秘匿性の高い情報を扱うマイナンバー利用事務系の各種システムにおいて、生成AIに専門知識を学習させて、特定業務の効率化を実現する新たな構想を検討中だ。自治体ごとに各種申請・手続き、過去の事例などを生成AIに繰り返し学習させ、職員の負担を軽減する。
特定個人情報、要配慮個人情報を取り扱うさまざまな業務(例えば障がい者総合支援や生活保護)などの分野での活用を想定しており、26年度から取り組みを加速させる方針。自治体側のニーズも高く、構想の実現に向けて意見を聞きながら検討を進める考えだ。
「人と、地球の、明日のために。」
東芝は、官公庁・自治体ビジネスを通して社会に貢献し、「人と、地球の、明日のために。」との経営理念の実現を目指している。大場氏は全国の自治体に対し、「デジタルソリューション提供の実績を生かし、自治体DXに向け、最新技術も取り込みながら、業務の効率化と住民サービスの向上に貢献していきたい」と呼び掛けている。
- 本記事は時事通信社が運営するiJAMPで2026年2月に掲載された記事です。
- 東芝デジタルソリューションズ株式会社は、2026年4月1日付で株式会社 東芝に統合されました。

