世界最大規模のVPP事業者「ネクストクラフトベルケ」と新会社の設立に合意
― FIT終了後を見すえたエネルギーリソース運用支援サービスを提供 ―ニュースリリース
電力流通
再生可能エネルギー
戦略・施策
東芝エネルギーシステムズ株式会社
当社は、世界最大規模のVPP事業者であるドイツのネクストクラフトベルケ(以下、「ネクスト社」)と新会社「東芝ネクストクラフトベルケ」を設立することに合意し、このたび契約を締結しました。今月中に新会社を設立し、事業を開始する予定です。新会社では、日本国内を中心にバーチャルパワープラント(VPP)技術を活用し、再生可能エネルギー発電事業者や需要家、発電事業者を束ねるアグリゲーター向けに、計画値同時同量注1への対応や電力の需給調整市場における最適なトレーディング運用などの支援サービスを提供します。
新会社では、両社がこれまで培ってきた発電量・需要予測技術、電力市場取引技術および再エネや蓄電池などの分散電源の制御技術などを生かし、FIT(固定価格買取制度)終了後のFIP(発電事業者が市場価格で売電する場合に一定のプレミアムを上乗せする方式)以降の環境下で、発電事業者に課される計画値同時同量への対応を支援します。また、当社グループで開発した、電力市場における価格予測技術やネクスト社が欧州などで培ったトレーディング運用の経験を生かし、電力卸取引市場、需給調整市場や相対契約(PPA注2)における最適な取引支援によって事業者の利益向上に貢献します。これらのサービス提供により、再生可能エネルギーの普及促進を目指します。
新会社は、まずは日本国内で積極的に事業展開し、海外においては、両社の商流を生かしたビジネス拡大を検討していきます。
ネクスト社は、多数の再生可能エネルギーを同時に制御する技術を持ち、すでにFIP制度が取り入れられている欧州においてバランシング・リスポンシブル・パーティー注3を形成し、電力市場取引の豊富な実績を持っています。当社は、国内において電気事業者等からの節電要請に対し、多数の需要家の削減量を束ねて電気事業者等と取引を行うネガワットアグリゲータ事業や電力会社や自治体の特色を生かした各種VPP実証事業により実績を積み上げてきました。
当社は、エネルギー機器メーカーとして培ってきたノウハウにデジタル技術を組み合わせることで、エネルギー業界におけるサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業を目指していきます。
注1 発電事業者や小売電気事業者などが30分単位で発電計画と発電実績、需要計画と需要実績を一致させるように調整をおこなう仕組み
注2PPA(Power Purchase Agreement) : 発電事業者と小売電気事業者との間で締結する電力販売契約のこと
注3 複数の発電事業者を束ねて、需給バランシングを目指す管理者のこと
新会社設立の背景
日本では、2021年4月からは電力の需給調整市場が段階的に立ち上がる予定で、再生可能エネルギーや蓄電池などの分散電源の活用が期待されています。
また、FIT 制度のもと再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、2022年4月からは、再生可能エネルギーの主力電源化を見すえて、FIPへの移行が予定されています。FIP制度下では、発電事業者は、正確な発電量予測に基づく計画値同時同量の責務が課されるほか、変動する市場価格に応じた最適な取引によるマーケットリスクへの対応が必要となります。このような背景の下、当社およびネクスト社は昨年10月より技術・販売提携の検討を進め、今回の合弁会社の設立合意に至りました。
新会社のビジネスモデル
新会社の概要
社名 | 東芝ネクストクラフトベルケ株式会社 |
所在地 | 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 |
代表者 | 未定 |
事業内容 | エネルギーリソースアグリゲーションサービスの提供 |
設立 | 2020年11月(予定) |
資本金 | 1.8億円 |
議決権比率 | 当社51%、ネクスト社49% |
ネクストクラフトべルケ会社概要
社名 | ネクストクラフトべルケ |
所在地 | ドイツ・ケルン |
代表者 | ヘンドリック・ゼーミッシュ、ヨハン・シュヴィル(共同経営責任者) |
事業内容 | 多数のVPPリソースを最適制御するVPPシステムの開発。約8,000台の設備を運用し、電力市場にて取引する事業を展開 |
設立 | 2009年11月 |
資本金 | 1380万ユーロ(2018年) |
売上高 | 6億2770万ユーロ(2018年) |
調印式の様子
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