国内初、洋上風力発電所での「風車ウェイク」観測・評価を実施
~NEDO「風車ウェイクの観測および評価手法の検討に関する研究開発」に採択~
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2023年11月08日
東芝エネルギーシステムズ株式会社
当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「風力発電等導入支援事業/洋上ウィンドファーム開発支援事業」において、当社を代表法人とするコンソーシアムとして「風車ウェイクの観測および評価手法の検討に関する研究開発」を提案し、このたび、本提案が採択されました。本研究開発では、国内で初めて注1、洋上風力発電所で「風車ウェイク」の観測および評価手法についての実証を行います。実証期間は2026年3月までとなります。コンソーシアムには当社の他、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、一般財団法人日本気象協会、株式会社ウインドエナジーコンサルティング、一般財団法人日本海事協会が参加します。
風車の翼(ブレード)が回転すると、風の下流側には「風車ウェイク」と呼ばれる、風速が低下する場所や風の乱れが大きくなる場所が形成されます。風力発電所、特に大規模洋上風力発電所(ウィンドファーム)の発電効率をより高めるには、「風車ウェイク」の影響解析を正確に行うことが極めて重要です。当社は風力発電事業に参入以降、10年以上にわたり、「風力ウェイク」を含む風況観測や、解析に基づく風車の配置最適化に関する研究開発を進めてきましたが、研究施設でのシミュレーションや陸上の風力発電所における実証にとどまっていました。
本研究開発では、今年1月に商業運転を開始した秋田洋上風力発電株式会社の秋田港洋上風力発電所で、発電容量4.2MWの風車13台を対象に実証を行います。具体的には、最新のリモートセンシング技術を用い、風の風車への流入、風が風車通過後に生じるウェイク、さらに複数風車から生じるウェイク同士の相互干渉を同時に計測し、日本特有の環境下(海風・陸風、大気安定度注2、季節など)における風速欠損や風の乱れ、ウェイクによる風速の減衰などを評価します。実際の洋上風力発電所での「風車ウェイク」の観測・評価の実証は国内初となります。
今回、洋上風力発電所での観測を行うことで、日本特有の洋上環境を踏まえた上で、気象条件が風車ウェイクの形成に与える影響の評価手法を確立します。また、風車の大型化に伴いブレードの最高到達高度も高くなり、ウェイクの形成が洋上特有の気象条件の影響を受けると予測されており、その評価を併せて行います。
さらに、今回組成した産学連携のコンソーシアム体制にて、ウェイク観測手法を確立するための指針作成の検討を行います。
当社は、これからもエネルギー分野における豊富な知見・技術・ノウハウを生かし、デジタル技術と掛け合わせることで、エネルギーシステム全体の価値を向上させる開発を進め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
注1 2023年11月時点、当社調べ。
注2 対流や乱流により大気の状態の変化しやすさを示す指標。安定度が低い場合、発電効率が向上する一方、大気が不安定なため、風速や風向が変化しやすく、雷や突風の発生など風車に損傷を与えたりするため、これらを考慮した風況予測は重要となる。
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