P2C(Power to Chemicals)
P2C(Power to Chemicals)

CO2から
有価物の原料を作り出す

トランスデューサ技術研究部門 清田 泰裕
2020年度入社 材料系エネルギーコース

トランスデューサ技術研究部門 清田 泰裕
2020年度入社 材料系エネルギーコース

P2C(Power to Chemicals)
P2C(Power to Chemicals)

CO2から有価物の原料を作り出す

CO2を資源化する鍵となるセルの研究開発

私の取り組んでいる研究は、P2C(Power to Chemical)と呼ばれる、CO2(二酸化炭素)を電気分解してCO(一酸化炭素)に変換し、ジェット燃料や化成品など役に立つもの(有価物)を作り出すための原料として活用する技術です。電気分解の際に化石燃料由来の電力ではなく、太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いればトータルでCO2を減らす効果が期待でき、カーボンニュートラルに貢献できます。CO2の電気分解には、燃料電池の技術を応用して作られたセルと呼ばれるものを用いますが、私はセルの中に入る電極の材料選定や作製方法などを研究しています。セルの変換効率を上げていくことに加え、社会実装のための重要な要素として、セルの寿命を長くするための取り組みをしています。事業化への取り組みも進んでいて、トラックのコンテナ1つ程度のサイズで年間約250tのCO2が処理できる大型セルを用いた実証実験も行われています。

社会実装に向けて事業部サイドと開発を進める

事業部では商用に向けた大型セルの開発を進めています。我々はCO2電解のノウハウを持っており、事業部サイドは燃料電池などで培ってきた大型のセルスタック技術などを持っているので、頻繁にコミュニケーションを取り、相互にフィードバックしながら社会実装に向けての開発を進めています。研究の進め方は、基本的には個々人がテーマを持っているので、チームプレイというよりは単独作業が多いです。実験室の作業用スペースでセルを組んで評価し、その結果を解析して次のアイデアを試し、週1回のミーティングでチームにフィードバックするというサイクルです。私は1日のほとんどを実験室で過ごしていますが、P2C以外のテーマでも電気分解に関連する技術に取り組んでいる仲間がいるので、気軽に話をしたり、困った時にも相談したりできる環境です。現在は、目前にある事業化のための研究と、その先を見据えたさらに高効率で長寿命化を目指した研究の二本柱で進めています。一方で、もう少し深堀りしなければ事業化は難しい技術の見極めなど、技術を冷静に俯瞰して見ることも総合研究所の役割の一つだと思っています。


ある出勤日のスケジュール


07:00:出社

  • メールチェック
  • スケジュールの確認

07:15:準備

  • 実験室の立ち上げ
  • 当日の実験作業の確認

07:30:実験・データ解析

  • 実験の待ち時間にデータ解析や資料作成

10:00:会議

  • 定期的な進捗の確認

12:00:昼食

  • 新棟に新設された食堂で食べたり、カフェでパンを買って食べることが多い

13:00:技術動向調査・事務仕事

  • Web閲覧や特許・論文調査で最新技術動向のチェック。簡単な事務仕事はお昼頃にまとめて行うことが多い

13:30:実験再開

15:30:休憩

  • 構内のコンビニやカフェでコーヒーを買って気分をリフレッシュ

17:00 :退社


ある在宅勤務日のスケジュール


07:00:勤務開始

  • メールチェック
  • スケジュールの確認

07:15:論文閲読・論文執筆

  • 在宅勤務の日などに普段からチェックリストに入れておいた論文を読んだり、書き物をする

10:00:休憩

12:00:昼食

13:00:英語教育プログラムへ参加

  • 教育プログラムへの参加の機会が多いことも弊社の魅力の1つ

16:00:事務作業

  • 翌日のスケジュール確認
  • ToDoリスト作成

17:00:勤務終了

研究の過程で見えたスピンオフ的な発見にも注力する

学生時代は有機半導体や熱電材料などの研究をしていました。基礎物性の研究がメインで、学術的に魅力的な分野でしたが、研究成果が実際に社会に出ているところを見てみたい気持ちもあり、企業での研究開発に興味を持ちました。東芝は私の専門としていたテーマだけでなく様々なジャンルに根を張って幅広く研究をしていることや、社員と話をしてベンチャースピリットがあり研究者の裁量で自由に研究させてもらえる文化があることも知り、面白そうなことがやれそうだと感じました。現在はCOを経由して有価物が作られていますが、CO2から直接有価物としてエチレンやエタノールなどを作る電解技術にもトライしていきたいです。電極の性能向上のための研究をしていると、目的とは違った物理現象が見えてくるときがあります。それは研究の本筋とは関係ありませんが、スピンオフ的にそれを突き詰めていくことで論文を書いたり学会発表をしたりすることにつなげ、大きな発見の種となりそうなことを積極的に探していければと思いながら実験しています。まだ誰も気づいていないと思われる現象について周囲の人に『こういうアイデアはどう?』と相談する瞬間や、データをまとめていくプロセスで『これはもしかしたら新しい発見なのでは!?』と思えるのは研究者冥利に尽きる瞬間です。アンダーザテーブル*やボトムアップで事業化した事例が東芝にはいろいろありますが、そのような発見ができたら企業で働いている研究者としては最高かなと思います。

  • アンダーザテーブル:各人のリソースの1割程度を予定業務以外のことに使うことを推奨する仕組み

学生の皆さんに一言


『いろんなことに興味を持って、いろんなことをやってみてください。』

僕はものづくりが好きで、学生時代から電子工作や木工をしていました。そこで得られた知識は現在の研究に関係ないと思われがちですが、実験のシステムを組むときなどに装置やプログラムを自分で工夫して作ることができ、やりたい実験を素早く行うことに役立っています。だから学生としての研究はしっかり取り組んでもらって、それだけでなく自分の興味があることになんでも手を出して深掘りしていくと、思いもよらない場面で役に立つときが来ると思います。