東芝欧州社が4月24日(英国時間)に発表したニュースリリースを抄訳したものです。

2025年4月24日
Toshiba Europe Limited

量子通信を全国規模の既存通信インフラへ適用可能とするブレークスルー技術を開発

  • 複雑な極低温コンポーネントに代わるシンプルな半導体技術により、標準的な通信インフラへの量子通信の導入が可能に
  • ドイツのコロケーション・データセンター注1と商用レベルのファイバーネットワークで本技術を実証
  • 長距離量子通信が、グローバルな量子インターネットの発展に貢献するさまざまな新技術の可能性を広げる

東芝欧州社は、量子通信の通信距離を拡大することが可能な量子暗号通信の新方式「ツインフィールドQKD(QKD:Quantum Key Distribution)注2」を、商用レベルのファイバーネットワークで世界で初めて動作実証しました。
これまで、「ツインフィールドQKD」は極低温光子検出器などの特殊な機器を備えた実験室での実証に限られていましたが、今回、複雑な極低温システムの代わりにシンプルな半導体ベースのデバイスに置き換えたシステムアーキテクチャーを構築し、既設の通信インフラで実証を行いました。250km超の既設の通信用ファイバー上で量子情報を伝搬し、一般的な室温のコロケーション・データセンターという動作環境下であるにも関わらず、量子情報が安定していることが示されました。本実証の成功は、国内外の距離を越えて実世界のアプリケーションでの展開に移行できることを示し、新たな量子インターネットの発展への道を開きます。
本技術の成果は、4月23日に発行された国際学術誌「Nature」に掲載されています。なお、 本研究の一部は、EU(欧州連合)が支援する量子暗号通信のプロジェクト「Horizon 2020 OpenQKD」、および総務省によるICT重点技術の研究開発プロジェクト「グローバル量子暗号通信網構築のための研究開発(JPMI00316)」によって実施されました。

詳細は、ニュースリリース全文(英語)と論文をご覧ください。