情報通信プラットフォーム
複数の監視カメラのフルHD映像を伝送可能な「無線マルチホップ映像伝送技術」を開発
2017年11月09日
概要
当社は、複数の無線カメラからのフルHD映像をバケツリレー方式で遅滞なく伝送することを可能とした「無線マルチホップ映像伝送技術」を開発しました。本技術により、監視カメラの設置環境に応じて無線ネットワークを自律的に構成することができるため、監視カメラを自由に配置・移動することや、複数ドローンカメラをつないだ広域な映像監視システムの構築が可能となります。本技術は、11月9日から開催されるTOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2017 に出展します。
開発の背景
防犯や防災などを目的に、建物や施設、市街地など様々な場所において監視カメラの普及が進んでいます。監視カメラシステムの構築にあたっては、映像通信のための配線敷設に大きな手間がかかっていました。また、一度敷設すると、設置場所を頻繁に変えるなどへの対応が容易ではありませんでした。
本技術の特徴
そこで当社は、新たに「無線マルチホップ映像伝送技術」を開発しました。無線マルチホップ通信では、カメラの映像を、複数の無線機を介してバケツリレー方式で通信します。そのため、映像通信のための配線は不要となり、また、アクセスポイントの通信範囲に縛られることもなく、自由に無線カメラを設置することが可能となります。
一方で、変化の激しい無線通信を複数回行う無線マルチホップ映像伝送においては、通信回線の品質が大きく揺らぐため、高精細な映像を遅延なく送信することが新たな課題となります。この課題に対して、(1)各無線機が自律的にネットワーク環境を観測し、安定した通信路を生成・維持する経路制御方式、(2)ネットワーク環境の確認処理の高速化手法、さらに(3)複数の経路を同時に利用する映像伝送方式を新たに開発しました(図1)。これらの技術により、5台の無線カメラを5ホップにつなぎ、フルHD映像(毎秒30フレーム)5本の1秒以内での伝送を実現しました。また、本技術をドローンに適用し、複数ドローンを用いた海上監視実験システムの実証実験(注1)にも成功しました。
今後の展望
当社は引き続き、本技術を活用した監視カメラシステムの実用化を目指し、カメラ台数の拡大、移動体搭載カメラを用いた伝送の安定性検証を進めてゆきます。
(注1)国立大学法人 東京海洋大学 近藤研究室と共同で実施