AI Technology

連続発話可能な同時通訳システム

2012年8月

概要

当社は、対面業務における異言語間の会話を支援するための、連続発話可能な同時通訳システムを開発しました。利用者の連続的な発話を、その終わりを待つことなく順に解析し、翻訳に適した単位に区切って翻訳する、世界初の同時通訳システムです。2012年8月から9月にかけて、千葉市にご協力いただき、千葉大学と東京ベイ通信株式会社と共同で、本システムを用いた実証実験を千葉市観光情報センターならびに千葉市国際交流プラザで実施しています。

同時通訳システムの図

従来技術

これまでにも、外国人とのコミュニケーションを支援する目的で、音声翻訳アプリケーションやサービスが開発されています。しかし、従来の方式では、利用者は一文あるいは数文を発話した後に一旦発話を止め、システムが出力する音声翻訳結果を、対話の相手に見せたり聞かせたりする必要がありました。このため、利用者が伝えたい内容を簡潔な文で発話できるようにあらかじめ考えておく必要があったり、話し終えるまでその内容が相手に一切伝わらなかったりするといった課題がありました。このような問題は、お客様との円滑なコミュニケーションを必要とする対面業務などにおいて、音声翻訳アプリケーションやサービスを導入する障害になっています。

特長

今回開発した連続発話可能な同時通訳システムは、クラウド環境で動作する当社独自開発の音声認識サーバと機械翻訳サーバにより実現しました。音声認識サーバは、利用者が連続的に発話する自由発話音声を処理し、その認識結果をクライアント端末に出力します。機械翻訳サーバは、利用者の発話終了を待つことなく、受け取った認識結果を解析し、翻訳に適した単位を検出し次第、順次翻訳してクライアント端末に出力します。クライアント端末では、音声認識結果と翻訳結果を表示するとともに、音声合成で翻訳結果を読み上げることで、発声から訳出までの時間遅れを抑えた双方向同時通訳を実現しました。なお、実証実験システムでは、日本語と、英語および中国語との間の翻訳をサポートしています。

今後の展望

実証実験を通じて課題を明らかにし、早期製品化を目指します。