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画像の「輝き感」を強調し「てかり」を抑える光沢制御技術

2012年8月

概要

当社は、画像処理により画像の光沢を制御する光沢制御技術を開発しました。画像の「輝き感」を強調したり、「てかり」を抑制することができます。この技術は、広島で開催された2012年映像情報メディア学会年次大会で発表しました。

開発の背景

当社の世界初民生用4K2Kテレビの発売を皮切りに、高解像度パネルの市場規模拡大が予想されています。それに伴い、高解像度パネルと組み合わせる画像の質感を高める技術が注目されています。また、次世代OLEDパネルのような自発光パネルでは、高コントラストという特徴を生かした高質感映像処理が求められています。当社は、質感を表す要素である光沢に着目しました。

従来技術

従来は画像のコントラストを伸長し、画像の光沢を強調したり抑制したりしていました。しかし、この方法では画像の光沢領域の強調や抑制に伴って光沢領域以外の色が変化し、被写体の質感も不自然に変化してしまうという課題がありました。

従来技術

今回開発した光沢制御技術では、CG分野で一般的に使われる2色性反射モデルに基づいて、画像を鏡面反射成分(光沢)と拡散反射成分(物体色)に分離します。自然画に含まれるノイズを考慮して分離を行い、分離精度は平均5.87dB向上しました。次に、鏡面反射成分のみを強調・抑制した後、拡散反射成分と再合成します。こうして、テレビに表示される映像の「輝き感」を高めたり、カメラで撮影された人物の「てかり」を抑制したりすることができます。

光沢制御技術の特長の説明図

今後の展望

今後様々な画像に適用できるように、光沢の分離精度をさらに向上し、テレビやカメラなど幅広い機器への搭載を目指して研究開発を進めていきます。