AI Technology

超解像技術の新方式

2011年10月

概要

当社は、写真や動画の微細な模様を維持したまま高解像度のディスプレイに拡大して表示する超解像技術の新方式を開発しました。画像の自己相似性という性質を利用することにより、従来の超解像技術でも再現できなかった微細な模様を生成しているため、被写体の繊細な質感を表現することが可能です。

超解像技術の方式の図

背景

近年、映像コンテンツおよび映像機器のデジタル化が進み、様々なコンテンツを多様なディスプレイで視聴できるようになってきました。コンテンツの画素数とディスプレイの画素数の組み合わせは多種にのぼり、様々な倍率での画像拡大/縮小が行われます。縮小は大きな問題になりませんが、画像を拡大するとぼけて画質が劣化します。写真の一部拡大など拡大率が高い用途においては、画質の劣化はさらに顕著になります。

超解像技術の新方式

当社は超解像技術を開発して世界で初めてTVに搭載するなど、高画質な多画素化技術の開発を進めてきました。より広範囲な用途に対して高品質な画像を提供するために、高倍率の拡大においても細かい模様まで表現することができる技術が求められています。今回、画像の持つ自己相似性という性質を利用することにより、従来の超解像技術でも再現できなかった微細な模様を生成する技術を開発しました。従来の超解像技術では、表示する画像と同じサイズの画像を利用して鮮鋭化していましたが、新方式では、より小さなサイズの画像情報を利用して細かい模様を生成します。画像を拡大する際には、まず入力画像から細かい模様成分を抽出し、細かさを損なわない方法で模様を拡大します。この拡大された模様を、従来の超解像技術で拡大された画像に付与することで、被写体の繊細な質感までを表現することが可能になりました。写真の拡大表示において従来の超解像技術と比較した主観評価では、従来の超解像技術に比べ新方式のほうが高画質であると回答した人が、その逆の回答をした人の2倍になりました。

今後の展望

本方式は、2011年9月9日に第10回情報技術フォーラム(FIT 2011)で発表しました。今後、高解像度パネルを搭載したTVやPC、プリンタの高質感印刷、カメラのデジタルズームなどへの搭載に向けて研究開発を進めていきます。