平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞

受賞日 2015年4月15日

4月15日、平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の表彰式が行われ、研究開発センターの青木亜秀主任研究員が、「高速無線LANのためのMIMO信号処理技術の研究」の業績を評価され、若手科学者賞を受賞した。

受賞者

  • 科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞
  • 青木亜秀
  • 研究開発センター ワイヤレスシステムラボラトリー 主任研究員

業績概要

高速無線LANの実現には、複数アンテナを用いてデータの大量伝送を行うMIMO(Multi-Input Multi-Output)の実用化と既存の無線LANとの互換性の保持が鍵を握っていました。

本研究では、従来知られていなかった無線LANにおける複数のアンテナから基準信号を送信した際の歪み特性の原理を解明し、MIMOにおける最適な基準信号の設計方法を導きました。この基準信号は、例えば、送信機と受信機の発信機のずれを補正するための基準信号です。従来方式では特定の角度で基準信号の歪が大きく劣化して仕様を満たすことができないが、本研究の基準信号を送信した場合、全ての角度で歪みを低減でき、仕様を満たすことができます。本研究の基準信号によって、「MIMOによる高速伝送」と「既存の無線LAN機器との共存」を同時に実現することに世界で初めて成功しました。

本研究で導いたMIMO用の基準信号方式は2009年に無線LANの標準規格IEEE802.11nに、2013年に最新の標準規格IEEE802.11acに採用されました。本研究成果は、標準規格化を通じて高速無線LANの普及と関連産業の発展に大きく貢献しています。

<科学技術分野の文部科学大臣表彰>
文部科学大臣が、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績を挙げた40歳未満の若手研究者個人を表彰対象としています。