1961年、現在の総合研究所の前身である東芝中央研究所が、神奈川県川崎市・小向事業所に設立されました。以降、東芝の研究所は常に革新的技術の研究開発により数々の社会課題を解き、社会や人々の暮らしを豊かにしてきました。一方で昨今の社会課題の複雑化と深刻化に伴って、かつての垂直統合型の研究・開発モデルには限界も見え始めています。
私たちは、新しい時代を志向した研究所としてのあり方、そして研究者たちの働き方を問い直し、その解として先端研究開発のランドマークとなる「イノベーション・パレット」を2024年1月に開所しました。
エネルギー、気候変動、防災、公共・交通インフラ、物流・製造、情報セキュリティそしてデジタル化による豊かで創造的な暮らしの実現など、地球環境の持続性と社会の発展に向けた様々な課題に対して、世界中の人たちがボーダーを越え、情熱と発想を結集して取り組んでいます。
これからの研究開発に求められるのは、革新的な技術を生み出すことに加え、その技術を社会やお客様の価値に転換し、社会課題を解決していくことです。
そのためにイノベーション・パレットでは、研究者・技術者がボーダーを越えてお互いの個性、知識、経験、課題解決への想いを交わし合い、お客様やパートナーの皆様や、東芝内外のビジネスのプロフェッショナルとともに未来を描き、未来を創り出すオープンな場を目指していきます。

「多様な専門性や、色とりどりの個性を重ね合わせよりよい未来を生み出していく」
それが、イノベーション・パレットのコンセプトです。
私たちは、イノベーション・パレットで「新しい研究開発の姿」を実現し、「人と、地球の、明日のために。」を企業理念にイノベーションを創出し続けます。

「やりたいこと」に合わせて仕事場を選ぶ
Activity-Based Working (ABW)

イノベーション・パレットでは研究・技術者の偶然のすれ違いによるアイデア創発を目的として固定席が撤廃されています。集中作業、共同作業、対話、アイディア出しなど、活動別の最適空間を全員で共有します。在宅勤務も併用し、対面またはバーチャルでコラボレーション、コミュニケーションがとれるようシステム、ツール、什器によるワークプレイス環境に整えられています。

お客様や事業のプロとともに技術を磨く
共創空間

眺望の良い12階には、最大60人でのワークショップを行うことができる広大な共創空間「万般スクエア」があります。当社の創業者の一人である田中久重が工場に掲げた言葉「万般の機械考案の依頼に応ず」にちなんで命名されました。ワークショップのほか、ハッカソン、プロトタイピング、展示会・講演会を行うスペースとして活用しています。社内外のさまざまな人が気軽に集まるオープンイノベーションの中心地として活用し、開かれた研究所を実現します。

「生きたビル」をデータの宝庫に
ライブ実験場

オフィスエリアを含む、イノベーション・パレット全体を「ライブ実験場」として捉え、館内に設置したセンサー・カメラを含む各種設備から収集したデータを用いて空間・人・エネルギーなどを高精度に認識し、適切な最適化や制御に繋げる運用デジタルツイン*1を構築・活用する実証を行っています。人流などを推定して空調や照明などを快適かつ最適に制御する省エネ実証や、映像AIを活用して安心・安全を実現するロボット実証、蓄電池の高度な活用を実現するVPP(バーチャルパワープラント)実証などを通じて、新たな価値創出を狙います。

  • センシング技術とAIを活用して実世界で起こっている事象をバーチャル上にリアルタイムに再現し、過去・現在・未来を、運用中にシミュレーションする。現場の実機と連携し、ライブデータを用いたシミュレーション結果を現場の運用・制御に反映することが可能。

社内外との共創に利便性の高い立地

本社 ラゾーナ川崎東芝ビルからは、イノベーション・パレットまでバスで約15分。そのほか、川崎市・横浜市の東芝グループ製造・開発拠点からも概ね1時間程度で到着することができます。公共交通機関利用で東海道新幹線の発着する品川駅からは約30分、国際線も発着する羽田空港から約35分のほか、国道1号線(第二京浜)にも隣接しており、社外の皆様の来訪にも便利です。

→「イノベーション・パレットへのアクセス」へ

研究開発におけるイノベーションの創出、創造性、従業員のエンゲージメントの向上を達成するために、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を基軸とした新しい働き方を導入しています。研究開発業務は多岐にわたりますが、これまでの働き方では、実験室での実験や会議、在宅勤務以外の時間は、自分専用の一つの固定席ですべての業務をおこなうスタイルでした。
ABWでは固定席の概念がなくなり、論文を読む、メールで報告をする、リモート会議に参加する、チームメンバと会話する、アイディア出しをする、コードレビューをするといった、活動別に最適なスペースが用意されます。在宅勤務や実験も含めて、自分自身がもっとも使いやすいスペースをアクティブに選んで業務を進めることができます。
専門分野の異なる研究者・技術者同士が偶然に隣り合わせたり、すれ違ったりすることで会話が生まれ、未来を語り合ったり、お客様の課題の解決方法を一緒に見つけたりなど、これからの研究所にふさわしいオープンな環境を実現します。

建築規模:南館13階建(スカイデッキ含む)/北館4階建
着工:2022年8月
竣工:2023年11月
執務開始:2024年1月
建築面積:約10,400m2
延床面積:約73,400m2

エントランス
カフェ・食堂
イノベーション・パレット ガーデン