株式会社ベネッセホールディングス様

再生可能エネルギー調達の
計画策定と調達支援

株式会社ベネッセホールディングス様

再生可能エネルギー調達の計画策定と調達支援

株式会社ベネッセホールディングス様の取り組み

【導入前の課題】


  • 自社施設への太陽光発電設備の導入計画(オンサイトPPA)について客観的な評価が必要だった
  • 再エネ調達計画において経営層を説得するための資料の作りこみに課題があった

【導入後の成果・効果】


  • 導入の基本計画に対し、将来シナリオを複数用意することで中長期のCO2削減目標にコミットすることができた
  • 経営層が決断に躊躇する、コストの課題に対し定量的かつ具体的な計画を立案し、経営層の理解を得ることができた

普段どのような業務をされていますか?


株式会社ベネッセホールディングス
サステナビリティ推進部 
孫 昌範氏

ベネッセグループは、サステナブル経営の推進のためサステナビリティ・ESGに取り組み、GX(グリーントランスフォーメーション)を積極的に推進しています。その中で私はESGの環境分野を8年ほど担当してきました。人的リソースに制約がある中でベネッセグループ各社の協力を得ながら従業員の啓発活動・勉強会を開催するとともに、GHG排出量の算定を行うなど省エネ・再エネ導入を推進しています。

ここ数年で業務の内容は様変わりしました。環境分野の取り組みといえば、これまでは節電やゴミ分別などと思われがちでしたが、地球温暖化や生物多様性の問題がニュースでも盛んに取り上げられるようになり、従業員の意識が大きく変化してきました。社内向けに働きかけを行っても理解を得やすくなりましたね。特に大きく変わったのは経営トップの考え方です。最近では経営トップからも具体的な要望が上がるようになりました。たとえば、社内で定期的に開かれているサステナビリティ推進委員会において、出席していた社長から社用車の電気自動車への転換を検討するよう指示が出るほど。これまでとはまったく違った経営判断に意識の変化を感じます。


ベネッセグループのGX(グリーントランスフォーメーション)に関する取り組み状況についてお聞かせください


ベネッセコーポレーションを中心とするGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みは2014年から始まり、現在はグループ全体を対象に、2018年を基準としたスコープ1・2の削減率を2041年に100%を達成してカーボンニュートラルを目指す計画です。2021年5月にはSBTイニシアチブより認定を受けたWell-Below2℃水準を1.5℃目標に更新しています。スコープ3については、2℃目標に沿って、2018年を基準に2030年、2050年に向けた削減目標を立てています。
2023年からはGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みをグループ各社に拡大した削減目標の策定がすでに決まっています。削減目標はグループ会社の積み上げではなく、まずグループ各社が目標を設定し、ギャップを把握した上で目標達成のためにベネッセホールディングスとしてどこをどのように手当てしていくかを検討していきます。2025年度にはスコープ3を含めた取り組みを正式に発動させる予定です。
GX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みにおいて再生可能エネルギー調達は非常に重要な課題です。当社では、現時点で対応策は4つあると考えています。まず、自社施設への太陽光発電設備の設置、いわゆるオンサイトPPA。そして他社の土地を活用したオフサイトPPAによる調達。化石由来電力より多少高くはなりますが電力会社の再エネメニューからの調達。また、テナントビルが多い塾教室などでは環境価値証書の購入も検討しています。


今回、依頼された経緯とポイントをお聞かせください


東芝さんとアクセンチュアさんとは2022年10月のCEATECでの名刺交換をきっかけにメールでのやり取りが始まりました。当初は大手のコンサルティング会社に依頼するとなれば桁違いの予算が必要だろうと躊躇しながらもご支援について相談したところ、当社の事情を踏まえながら短納期で予算に収まる提案をいただきました。3カ月足らずという限られた時間の中でのスピーディな対応でした。提案の内容についても、再生可能エネルギー調達の財務的なメリット・デメリットはもちろんのこと、オンサイトPPAで太陽光発電設備を設置した際の周辺環境への配慮といったESG的な観点や、太陽光発電パネルの選定に際して留意すべき個人情報漏洩や情報セキュリティの観点など、当社の持ち得なかった有用な助言も含まれていました。


ご相談いただいた内容はどのようなものだったのでしょうか?


具体的な依頼内容は大きく2つありました。
まず、ベネッセコーポレーションの自社施設への太陽光発電設備の導入計画(オンサイトPPA)についてです。かねて数社から提案を受けていたのですが、同じ方法で現地調査を行ったにもかかわらず金額に開きがあり、精度の高さに疑問が残りました。そこで、まずその妥当性について検証していただきました。各社の過去実績や提案内容を踏まえた信頼性についての評価もお願いしました。

もう1点はベネッセグループとしての再生可能エネルギー調達計画についてです。当初、カーボンニュートラル目標年度を政府と同じ2050年にするか、パリ協定の1.5℃目標に合致する削減率で目標年度を設定するか、あるいはその中間的な2045年でもシミュレーションを行い、再生可能エネルギー調達コストと導入が検討されている炭素税の経済的インパクトなども検討しました。しかしながら、市場の電力価格の変動リスクもあり、経営トップを説得することのできる提案にまで作り込むことができていませんでした。そこで東芝さんとアクセンチュアさんの専門的な知見やノウハウをもとに、当社の基本計画に対し、複数の将来シナリオを用意していただきました。

また、目標達成に向けてどのように再生可能エネルギーを調達するのが最もコストパフォーマンスが良いのか、SBTの観点から中長期削減目標について助言を受けました。


実際にコンサルティングを受けた効果についてお聞かせください


長期的なプランニングで考慮すべき外部要因などの変動要素を総合的に検討して定量化し、評価が難しい課題を明確に把握することができました。提案内容によっては経営トップが決断に躊躇する部分、特にコストの問題について具体的なストーリーを提案できるところはさすがに経験豊富だと思いました。
オンサイトPPAは15年から20年という長期契約スキームで、価格を固定化することで電力課題が経営課題にならない点が安心につながりますが、市場の電力価格が大きく下がる可能性も否定はできません。そこについても炭素税が導入される場合には再生可能エネルギー調達の方が安くなるシミュレーションが得られています。
現時点で一番の収穫といえるのは、中長期削減目標にコミットできたことだと思います。提案いただいたシナリオをベースにキャッシュアウトの予測もクリアに見えてきました。これまで2〜3年を費やしグループとしての環境目標設定に関して立案・答申を行ってきましたが、そこに一気にドライブがかかり、驚くほどスムーズに経営トップの理解を得ることができました。今後も引き続きリバイスしていく必要性は感じていますが、あらためてシナリオを見てもマクロ視点ではほとんどブレがなく、信憑性の高さを実感しております。
今後、実際に提案いただいた内容を推進していくフェーズに入ってまいります。いずれのシナリオの場合もキャッシュアウトの抑制など具体的な成果が上がること期待しています。


今後の展望やご要望についてお聞かせください


次回のサステナビリティ推進委員会では東芝さんとアクセンチュアさんの提案をもとに、サステナビリティに関するロードマップと再生可能エネルギー調達の方針についてコンセンサスを得たいと考えています。
ロードマップの見直し作業については、当面は年1回程度、その後も社会情勢を継続的に注視しながら、進捗状況に応じて随時見直しを検討したいと思います。さらにGHG削減の推進のみならず、生物多様性やサーキュラーエコノミーといった環境分野全般においても検討したいと考えています。


株式会社ベネッセホールディングス様 概要


株式会社ベネッセホールディングスは、「Benesse=よく生きる」を企業理念に掲げ、主に教育と介護を事業の柱として乳幼児から高齢者まで、学齢やライフステージ、関心に合わせたサービスを提供しています。

事業内容:「国内教育」、「介護・保育」、「Kids & Family」の3つの軸で事業を展開
従業員数:連結 16,637人(2023年3月31日現在)

株式会社ベネッセホールディングス様 コーポレートサイト

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脱炭素社会に向けたロードマップ作成から施策実行までカーボンニュートラルの実現を支援

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  • この記事の内容は2023年7月に取材した内容を元に構成しています。
    記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
  • BenesseとそのロゴはBenesseの商標、または登録商標です
  • その他、このページに記載されている社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。