SCiB™の使い方Blog データセンター向けUPS

SCiB™の使い方Blog

データセンター向けUPS

SCiB™でデータセンター向けUPS用電池容量を1/3以下に!スペースも半分に?

二次電池SCiB™は、従来の概念を覆す電池です。
この使い方Blogでは、これまで、SCiB™だからこそ実現できる、従来の概念を覆す使い方をご紹介してきました。

第3回となる今回は、データセンター向けのUPS (無停電電源装置)を題材に、データセンターで省スペースを実現できる事例をご紹介します。
SCiB™を搭載したUPSを導⼊すると、なぜデータセンターの省スペース化につながるのでしょうか。使い方のアイディアを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
なお、この事例は単純化したモデルであり、実際の運用とは異なる場合がありますので、ご注意ください。


電池で省スペース化ができる仕組み


データセンターは、24時間365日の稼働が求められます。平常時、その電源は電力網から供給を受けていますが、停電などによって電力供給が途切れた場合は、そのサービスが停止してしまいます。そのような事態に備え、電力供給が止まってから復旧するまでの時間、サービスを継続するために必要になるのが補助電源です。

補助電源としてはディーゼル発電機などが一般的ですが、起動して電力を安定化させるまでに数分の時間がかかることがあります。電池を用いたUPSは、その数分間をカバーするために用いられます。UPSは万が一にも止まることを許されません。そのため、通常は二重三重の補助電源が接続されています。このため、データセンターでは、サーバ以外にもUPSを含め多くの電源喪失対策用の機器が並び、土地面積を占めることになります。

データセンターの模式図

では、UPS用の電池にはどのような性能が求められるのでしょうか?実際に停電が起こった場合の動きで考えてみましょう。

停電~復旧までの流れは次の通りです。

  • 電力網からの給電が途絶えた直後、UPSが電池に蓄えた電力を放出し、サーバの稼働を継続させます。
  • その間にディーゼル発電機が起動します。
  • ディーゼル発電機が安定した電力を供給できるのは、起動後数十秒後から1分後。
  • 発電機の電力が安定したところで、「電池放電による電力供給」から「ディーゼル発電機からの電力供給」に切り替えます。
  • UPSに最低限必要な放電時間が2分から5分ほどとされているのは、数回のディーゼル発電機の起動不良に対しても対応するためです。
  • また地域によっても異なりますが、ディーゼル発電機からの供給を必要としない瞬間的な停電が起こるケースがあります。この場合、UPSからの電力供給のみでバックアップすることとなります。

一般の電池は、数分の放電のために30分以上分の電池を置かなければいけない!?


一般の電池は、基本的に長い時間放電する前提で設計されています。

一般のリチウムイオン電池


注ぎ口(=出力)が小さい
たくさんの容量が必要
使わない容量が常に余る

SCiB™


注ぎ口(=出力)が大きい
必要な容量だけ余ることなく
空になる

電池を、急須に置き換えて考えてみます。

急須は、湯呑と同じ大きさで、その注ぎ口の太さによって注げるお茶の量が変わります。
いま、湯呑を一杯にしたいとします。制限時間は5分です。
一般の急須は注ぎ口が細いため、どんなに急いでお茶を注ごうとしても30分かかります。つまり、5分間では湯呑をいっぱいにできません。そのため、制限時間内に湯呑をいっぱいにするためには、急須をたくさん用意して、同時に注ぐ必要がありますが、湯呑がいっぱいになると各々の急須にはお茶が余ってしまいます。

一方、SCiB™急須はどうでしょうか。急須本体の大きさに比べ、注ぎ口が太いため、わずか5分で全量を注ぐことができるのです。このため余分にたくさんの急須を用意する必要がなく、注いだ後に急須にお茶が余ってしまうこともありません。

上の例で、注ぎ口の太さは電池の放電のしやすさを、急須本体の大きさは電池の容量を示します。
高出力を特長とするSCiB™はたった5分で放電できますが、一般の電池は30分も掛かって放電します。SCiB™のように5分間で放電しようとすると、6倍の容量の電池を用意する必要があるということです。つまり、SCiB™には、電池容量を1/6に削減する効果があるのです(※)

  • 実際には、電気抵抗等を考慮する必要があるため、容量削減効果は1/6~1/3に低減します。

容量を小さくできるから、省スペース化︕


電池容量が小さいということは、電池の大きさも小さくなることを意味します。さらに、補助電源システムにおいて副次的に必要となる、冷却系統や、配電装置等の補機系統、電池室消火対策等の装置、空きスペースの削減も可能となります。つまり、SCiB™は、システム全体のスペースを最小化できるのです。SCiB™は、一般の電池よりもエネルギー密度が小さく、同じ容量当りの大きさはより大きくなりますが、容量自体を小さくできることによるスペースの削減効果の方が大きいため、UPSシステムとしては省スペース化につながります。


コスト削減には電池の⻑寿命 (フロート特性)が⼤事


UPSは、不測の電源喪失に備えておく必要があるため、常に電力を蓄えておかないといけません。一般の電池は、高い充電状態にあるほど劣化が早く進む性質を持っています。そのため、充電率が高くなり過ぎないよう、電池容量に余裕を持たせる必要があります。

電池特性グラフ|東芝の二次電池 SCiB™

一方、SCiB™は長寿命であるのに加え、高充電状態においても劣化が少ない電池です。UPSに搭載した電池が劣化してしまう心配も、電池交換をする必要もありません。電池が長期に渡って高い信頼性を持つこと、UPSの機器更新が不要になることによって、生涯コストの削減につながります。

UPS用電池の容量を減らし、電池の交換回数を減らすことは、資源利⽤の観点でも効率的でSDGsの実現にも寄与します。


まとめ


ここまで、SCiB™をUPSに導入する際のモデル事例をご紹介しました。

  • データセンターの省スペース化を実現!
  • 高出力放電によって電池容量を最小限に︕
  • 電池交換が不要で、補助電源システム全体のコストを削減!

SCiB™の高出力放電と長寿命が、トータルコストの低減につながることをご理解いただけたと思います。皆さんの課題やお困りごとを、下記リンクよりお聞かせください。解決のお手伝いをさせていただきます。

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