ニュースリリース

量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify™」、
東芝の量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」
を標準マシンに追加してサービス提供開始

2023年11月28日

株式会社Fixstars Amplify
東芝デジタルソリューションズ株式会社

 株式会社Fixstars Amplify(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:平岡卓爾)および東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田俊輔)は、株式会社Fixstars Amplifyが運営する量子コンピューティングクラウドサービス「Fixstars Amplify」において、ベンダ各社と個別にマシン利用契約を行うことなく利用できる標準マシンに、東芝デジタルソリューションズ株式会社が提供する量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」を追加し、Fixstars Amplifyのサービスとして提供を開始したことをお知らせします。これにより、大規模な組合せ最適化問題を高速に解くことができるSQBM+をより手軽に利用できるようになります。

 Fixstars Amplifyは、組合せ最適化問題注1を解決するシステムを開発・運⽤できるクラウドサービスです。従来型のコンピュータと量⼦コンピュータの両⽅を同様に使える互換性と、汎⽤性の⾼いアプリケーションを簡単に開発できる便利なSDK(Software Development Kit)が特徴です注2。各社が提供している組合せ最適化問題に特化した量子アニーリング注3・イジングマシン注4や数理最適化ソルバー注5、ゲート式量子コンピュータ注6を、それぞれの専門知識がなくてもクラウド環境で手軽に利用することができます。
 SQBM+は、株式会社東芝が開発した技術「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」注7を用いた組合せ最適化ソルバー「シミュレーテッド分岐マシン」を核とした量子インスパイアード注8最適化ソリューション注9です。既存の計算機を使用して、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることが可能です。各分野の専門知識を持つパートナーと連携・共創し、金融取引の最適化、産業用ロボットの動作の最適化、輸送トラックの移動経路や送電経路の最適化、創薬のための分子設計などさまざまな領域で複雑化する課題解決に向けた活用が期待されています。これまでも、Fixstars AmplifyでSQBM+をソルバーとする計算実行は可能でしたが注10、お客様にて個別にSQBM+サービスの実行環境を準備する必要がありました。

 今回、SQBM+が標準マシンに追加され、ユーザー登録・契約・サポートまでワンストップで対応する標準サービスとなりました。Fixstars Amplifyの利用者は、SQBM+サービスの実行環境の準備や管理が不要となり、SQBM+をクラウド環境で手軽にお使いいただけます。

 SQBM+を使用する際の価格は、Fixstars Amplifyのオプションサービスとして月額30万円(税抜)からとなり、購入後すぐにご利用いただけます。また、評価・検証フェーズ⽤に無料プラン(1カ月)も提供します。価格の詳細や無料プランのお申込みについては、こちらをご参照ください。
https://amplify.fixstars.com/ja/pricing

 東芝デジタルソリューションズの岡田俊輔取締役社長は、次のようにコメントしています。
「最適化問題への量子コンピューティングの活用は多くの実績と成果を生み始めています。今回、注目を集めている量子コンピューティングクラウドサービス「Fixstars Amplify」に当社の量子インスパイアード最適化ソリューションSQBM+が標準として組み込まれ、皆様にSQBM+の強力な能力を使い勝手良くご利用いただける環境をご提供できることを大変嬉しく思います。世界的に期待されている量子技術の産業化のために、さまざまな領域での利用が加速されることを期待しています。」

 Fixstars Amplifyの平岡卓爾代表取締役社長CEOは、次のようにコメントしています。
「この度、SQBM+の連携先として、Fixstars Amplifyサービスをご採用いただき大変嬉しく思います。研究と技術開発が絶えず進化を遂げるこの業界において、実用的なソリューションを提供することで、お客様が直面する問題を明らかにし、解決へと繋がる道筋を一緒に探求することが重要だと考えています。量子技術と現在の高速コンピューティング技術を適切に組み合わせて、社会実装をさらに推し進め、両社のお客様の業務課題に対する解決策をより手の届くものにしてまいります。」

 両社は今後も、本環境を通じて、さまざまな分野で社会が抱える最適化問題をワンストップで解決できるプラットフォームの実現を目指してまいります。

東芝デジタルソリューションズ株式会社について
東芝グループのデジタルソリューション事業を担う企業としてIoTや人工知能(AI)などのデジタル技術や量子技術を活用した事業をグローバルに展開しています。東芝グループの幅広い事業領域で生まれるさまざまなデータの力を最大限に活用し、プラットフォーム化を推進することで価値あるサービスを次々に生み出し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。東芝グループの経営理念「人と、地球の、明日のために。」のもと、お客さまやパートナーの皆さまとともに、新しい価値を持続的に創造していきます。
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution.html

株式会社Fixstars Amplifyについて
量⼦コンピュータ等の最先端技術と社会をつなぐ架け橋となるべく、量⼦コンピューティングクラウド事業で社会課題に取り組んでいます。組合せ最適化問題に特化したクラウドサービスの提供とシステム開発サービス、コンサルティングによって、最適化された社会への歩みを加速していきます。
https://amplify.fixstars.com/ja/

注1:組合せ最適化問題
組合せ最適化問題は、製造、物流、⾦融など様々な業界で計算ニーズの⾼い問題です。考えられる組み合わせのパターンの中から、⽬的に対して最適な組み合わせを探します。例えば、物流の輸送計画や製造計画などの最適なパターンを計算できれば、事業活動の効率化や投資対効果の予測に役⽴ちます。⼀⽅で、考慮すべき変数や条件が増えるほど組み合わせパターンが急増する特徴があります。

注2:Fixstars Amplifyを用いたプログラミング
通常のプログラミングで必要となる「論理モデルの変換」「物理モデルの変換」「求解の実行」の3つのステップを自動化することで、より直観的な量子アニーリングプログラミングのワークフローを実現しています。
https://amplify.fixstars.com/ja/sdk#workflow

注3:量子アニーリング
金属の性質を熱処理により改善する「焼きなまし(アニーリング)」をソフトウェアでシミュレーションして最適化するために開発された「シミュレーテッドアニーリング」というアルゴリズムを量子の世界に応用して組合せ最適化問題を解くというアイデアが「量子アニーリング」です。

注4:イジングマシン
イジングモデル(統計力学において、スピンを持つ原子の格子によって磁性体の磁化の振舞いを説明するモデル)の形式に変換した組合せ最適化問題を解くハードウェアやソフトウェアです。

注5:ソルバー
数学の問題を「解決」するソフトウェアライブラリーをソルバーと呼びます。

注6:ゲート式量子コンピュータ
量子ビット(qubit)を用いて情報を処理するコンピュータです。量子の重ね合わせという性質を利用して、複数の状態を同時に扱うことができます。これにより、計算の並列性を高め、膨大な計算問題を効率的に解決できます。また、量子もつれと呼ばれる特性を利用して、複数のqubit間の相関を作り出すことができます。これにより、高度な計算を行うことが可能となります。さらに、量子回路(ゲート)を設計・開発することで、qubitの状態を変換し、最適化や機械学習、シミュレーションといったさまざまな用途に汎用的に適用できます。

注7:シミュレーテッド分岐アルゴリズム
世界最速・最大規模の組合せ最適化を可能にする画期的なアルゴリズムの開発について
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1904-01.html

注8:量子インスパイアード
量子力学の原理に基づく計算手法(量子計算)から導出もしくは直接的な着想を得て開発された新しい計算手法のことで、疑似量子と呼ばれることもあります。

注9:量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」の提供開始について
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/0302-2.html

注10:SQBM+の活用を加速するFixstars Amplify SDK
https://amplify.fixstars.com/ja/customers/voice-sqbm

  • SQBM+は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
  • Fixstars Amplifyは、株式会社Fixstars Amplifyの日本またはその他の国における登録商標または商標です。
  • その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
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