III. フレッシュアイの誕生ストーリー

世界初の日本語ワープロから培った高度な日本語解析処理技術

 1998年は、東芝が世界初の日本語ワードプロセッサーを開発してからちょうど20年目になります。 この製品は仮名漢字変換、学習効果などを備え、 現代のワープロ普及の基礎となったものです。 フレッシュアイは、 この日本初の日本語ワープロを開発した研究開発チームのリーダー河田勉(現IP事業推進室長) らが中心になって誕生しました。

 このチームはワープロ開発で培った自然言語処理技術をさらに発展させ機械翻訳の研究も進めました。 機械翻訳が軌道に乗り始めた90年代初めは、 インターネットが飛躍的に発展した時期で、 東芝でもインターネット・ビジネスに参画する気運が高まっていました。

 こうした長年の言語処理に関する研究成果をインターネットで生かせないかと考えた結果、 日本語検索サービスのフレッシュアイが誕生したのです。

開発主体である「Advanced-I事業本部」

 フレッシュアイの開発および運営の担当は、 東芝社内でもユニークな部門であるAdvanced-I事業本部とその一部門であるIP事業推進室です。

 Advanced-I事業本部は、 マルチメディア時代を先取りした総合的な新事業領域を推進するために94年7月に発足した、 全社横断的な組織です。 もともとAdvanced-IのIとは、70~80年代に展開した東芝の社内運動I作戦に由来しています。 I作戦のIとは、Intelligence、Information、 Integrationの頭文字を取ったもので、社内にある先端情報技術を横断的に活用して、 時代のニーズに対応した新しい製品を生み出そうとするプロジェクトでした。 I作戦は、ラップトップ・コンピュータ、1メガDRAMメモリなどの代表的製品を誕生させ、 大きな成果を収めました。

 90年代に入ると、パソコンやインターネットが広く普及し、 技術面でも社会面でも大きな変革を迎えました。 こうした状況に対応する新たなI作戦として、 Advanced-I事業本部が設立されたのです。 合計約160人のメンバーが、DVDや電子商取引、 個人情報機器など様々な分野で、研究所や複数の事業本部と手を組み、 製品およびサービスの開発に取り組んでいます。

 フレッシュアイの事業化を担当しているIP事業推進室のIPは、 インフォメーション・プロバイダの略で、 情報サービスを中心とするビジネスを担当しています。

フレッシュアイ誕生までの経緯

 製品やサービスが生まれる背景として、 Needs オリエンテッド(需要先行)とSeeds オリエンテッド(技術先行)の二種類のケースがあります。 Advanced-I事業本部には研究所出身者も多く、 Advanced-I事業本部がNeedsを研究所がSeedsを提供する形でディスカッションする場を常に設けています。

 フレッシュアイの原型となったプロトタイプは、自分の好きな情報だけを入手するために、 個人のパソコン上にフィルタリングプログラムを搭載するというものでした。 研究所から「商品化したい」と持ち込まれましたが、Advanced-I事業本部では「パーソナルな情報収集需要は、 インターネットを使いこなすビジネス/マニア層に市場が限定されているので、 製品化は難しい」と考えていました。研究所のスタッフとこのアイデアを幾度となく検討する中で、 サーバー上に全文検索エンジンとフィルタリングエンジンを載せ、 全く新しい発想の検索サービスとして展開することを思いつきます。

 当時すでに全文検索エンジンもフィルタリングエンジンも独自に研究が進み、 技術的にはかなり完成度が高いものとなっていましたが、 どちらも製品化のめどは立っていませんでした。 しかし、日本中の新着のWebページを丸ごとフィルタリング/インデキシングし、 ユーザーにわかりやすく紹介するというアイディアが生まれたことで、 事業化へ向けて動き始めました。

 さらに事業化へ向けた社内ワーキング・グループが設定され、 コンセプトエンジニアリング部やデザイン部などにも参加を依頼、 人間工学に基づいた使いやすいサービスの検討を行ってきました。

 高性能なコンピューターを数多く利用したり、 人手によりきめ細かく分類された検索サービスはすでに実用化されています。 東芝では、今までにない検索サービスをユーザーに提供したいと考え、 「過去1ヶ月間に内容が更新された新しいページ情報だけを提供すること」と 「インターネット上の膨大な情報をユーザーのために編集すること」を特徴としました。 こうして、「フレッシュアイ」という名称が生まれ、 「ホットトピック」や「スーパートピック」、 「フレッシュアイエクスプレス」「フレッシュアイ編集部」といったアイデアが生まれてきたのです。 「フレッシュアイ」では、今後もサービスを向上させるため、 技術面で磨きをかけるとともに、ユーザーの声を積極的に取り入れていきます。


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