株式会社日本能率協会コンサルティング 様
見えなかった製造現場の動きを可視化
より確かな改善提案を実現する
「Meister Apps™ 現場作業見える化パッケージ」
1942年、第2次世界大戦中に各種工場の生産性向上を目的に結成された能率集団は、その後、社団法人日本能率協会へと発展した。コンサルティング事業の展開に向けて1980年に分社・独立したのが、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)だ。
日本初の総合コンサルティングファームとして国内随一の歴史と実績を誇る同社は、企業の経営戦略立案や研究開発、生産改革などを総合的に支援する中で、特に製造業の現場改善に強みを持つ。
そんな同社がコンサルティングの基礎となる作業員データの収集ツールとして導入したのが、東芝の「Meister Apps™ 現場作業見える化パッケージ」だ。
課題
- 作業員の観察・記録に多くの人的工数を要していた
- 作業場を撮影する方法ではカメラに映らないところでの動きが追えなかった
- 収集した情報を分析するまでに手間も時間もかかっていた
導入効果
- エッジデバイスやウェアラブルセンサを活用して作業員の動きを効率的に把握し、調査工数を削減
- 作業員の位置情報を網羅的に収集し、これまで把握できなかった現場の状況を可視化
- 収集データの見える化により分析を効率化し、より確かな改善提案を実現
製造現場の改善を支えるデータ収集の効率化を模索
JMACは、親会社の日本能率協会から数えて80年以上の長きにわたり顧客企業の現場改善に取り組んできた。もちろん経営戦略など現場以外にもコンサルティングの領域を拡大しているが、「特に現場を改善していくことにこだわりを持って脈々と続けてきました」と生産革新コンサルティング事業本部 TPI&Mユニットでシニア・コンサルタントを務める角田 賢司氏は言う。
「TPI&M」とは、トータル・プロダクティビティ・イノベーション&マネジメントの略で、総合生産性として製品競争力のQCDの革新を実現すべくコンサルティングサービスを展開している。同ユニットのコンサルタントの永石 誠之助氏は「企業に出向き製造ラインなどの現場を観察しデータを収集するなど、時にはお客様と共に汗をかきながらプロジェクトを推進しています」と説明する。
そのようにして大量のデータを収集し、データをもとに分析・検討を行い具体的な現場改善方法を提案するのが同ユニットの主要な仕事だ。「データ収集はコンサルタントによる手作業に依存する部分が多いため、IoTやDXといったキーワードでデータ収集や分析をもっと効率化できないか模索・研究してきました」と角田氏。
生産革新コンサルティング事業本部
TPI&Mユニット コンサルタント
永石 誠之助氏
生産革新コンサルティング事業本部
TPI&Mユニット シニア・コンサルタント
角田 賢司氏
見えなかった製造現場を可視化するツールとして評価
同社ではこれまで実施してきたコンサルティングや実証実験をもとに、製造現場を見える化し、分析する視点・手法を7つ(位置、作業、場面・状態、数量、危険、稼働、品質)に整理。その実現に役立つツールやサービスを「IoT 7つ道具」として認定する制度を2016年にスタートさせた。
「製造現場の見える化と分析に役立つツールやサービスをベンダー各社に登録してもらい、その中から当社が『IoT 7つ道具』と認定したものを『こういうツールやサービスを使うやり方もありますよ』とお客様に紹介するような形で使っていました」と角田氏。東芝のMeister Apps 現場作業見える化パッケージもその認定ツールの1つだ。
「『IoT 7つ道具』としてさまざまなツールやサービスを評価・活用する中で、東芝のMeister Apps 現場作業見える化パッケージは、作業員の身体的負担や“見られている・調べられている”という精神的負担が比較的少ないことに加えて、これまでのやり方では見えていなかったところも調べられるのではないかと考えました。顧客への提案だけでなく、自社のコンサルティング業務にも有効だと判断し、導入を検討することになったのです」と角田氏は振り返る。
網羅的なデータ収集で製造現場全体を俯瞰
現場で作業員のデータを収集する際は、1人の作業員の後ろに1人のコンサルタントが付き、どこからどこに移動して何をしたかを逐一観察し記録するというのが最も古典的な方法である。しかしこの方法は、作業員にとっては常にコンサルタントに“見られている”という精神的負担があり、一方のコンサルタントにとっても相当な労力を要していた。
また、作業員が10人~20人いる現場でも、担当するコンサルタントの人数が限られることから、すべての対象作業員のデータを収集できない場合もある。現場には部外者が入れないエリアがある場合もあり、そのエリア内のデータが取れないというケースも発生していた。さらに、苦労して収集したデータを分析のために対象作業員の作業場所や作業内容および作業時間をパソコンに入力し集計する手間と時間もかかっていた。
「作業員1人にコンサルタント1人が付いていくやり方のほか、コンサルタントが現場を巡回しながら、どこに何人の作業員がいてどのような作業をしていたかをチェックするワークサンプリング法や、定点で動画を撮影して作業員の動きを記録するタイムスタディ法といったものもあります。いずれもIE(インダストリアル・エンジニアリング)の基本的な手法ですが、これらの手法には、作業員の行動範囲が広かったり、作業員が持ち場を離れたりしたときに、どこで何をしているかが分からなくなり、分析精度が落ちてしまうという課題もあります」と、同ユニット コンサルタントの山川 みちる氏は語る。
「Meister Apps 現場作業見える化パッケージ」では、現場の各所に設置したビーコンをスマートフォンで検知し、位置や移動ルートを記録する位置記録機能を備えている。
また、リストバンド型センサを装着することで、加速度データから動作(手作業・台車移動・歩行・静止)を推定・記録できる行動推定機能も利用可能だ。
さらに、暑さストレスレベルや脈拍などを記録する見守り機能も搭載している。
生産革新コンサルティング事業本部
TPI&Mユニット コンサルタント
山川 みちる氏
これらの機能を活用することで、データ集計の効率化と、データ自体の精度も高まることに期待し、同社は「Meister Apps 現場作業見える化パッケージ」の採用を決定した。
「我々がこれまで把握できなかった部分も含めてデータを収集し、現場の動きを定量的に俯瞰することで、分析・提案の質向上に繋がります。お客様によりご納得いただきながら、よりよいご提案ができるという大きなメリットがあると考えたのです」と山川氏。
見えなかった製造現場のデータを可視化し、改善提案の精度を向上
Meister Apps 現場作業見える化パッケージの導入効果は、まず同社のコンサルティング業務における現場の作業状況把握のための時間と手間が大きく削減できたこと、そして可視化されたデータに基づき、より効果的な改善提案につなげられるようになったことだ。
ある工場では、高さのある設備が多数配置されており、動線も入り組んでいた。そのため見通しが悪く、設備を操作するオペレーターと段取り担当者の計10人ほどが分かれて作業していた。
現場では必要な段取り担当者がその場にいないことがあり、オペレーターが探しに行くといった時間のロスがたびたび発生していた。
「オペレーターと段取り担当者の位置データを丸1日記録したところ、段取り担当者が別の作業で遠くに行っていたとか、実は近くにいたけれど連携がうまく取れていなかったことが判明したのです。それらのデータに基づき、インカムなどの連絡手段を活用し、連携を強化するという具体的な改善案を提案することができました」と山川氏。
工場内の人員の動きを綿密に追うことで、問題点の分析と改善提案が的確かつ迅速に行えた事例といえる。
また、永石氏は顧客企業からの反応について次のように語る。
「本ツールは測定の際に作業員の方にはスマートフォンとリストバンド型センサを携帯してもらいます。作業員の立場からすると、スマートフォンは携帯するだけなので特に気にならないと思います。手首に装着するリストバンド型センサは作業性に若干の影響はあるかもしれませんが、大きくも重くもないため、多くの方に受け入れていただいています。一方、管理者の方々からは、データを確実に収集し高い精度で分析できる点を評価していただいており、現場改善をスムーズに進めることができています」
「見える化のツールなので、我々が見たい情報をきちんと収集できることを一番に期待していましたが、期待以上に楽にデータが収集できると身をもって実感しています」と角田氏は語る。さらに、山川氏も「広い構内での動きを俯瞰して定量化でき、高い分析精度の改善案をお客様にご提供できるのは非常に重要なところだと思います」と評価する。
実際に現場で利用するにあたっては、ビーコンの設置場所や、スマートフォンの持つ位置などまで細かく東芝からサポートを受けることでスムーズに導入することができ、とても助かったという。
データ活用の高度化でさらなる製造現場の改善へ
「Meister Apps 現場作業見える化パッケージ」を活用し、期待した現状分析のデータは効率よく確実に得られるようになった。今後は、コンサルティング業務として、収集したデータをいかに顧客のための改善提案に繋げていくか、だという。
今後のさらなる活用について、永石氏は次のように語る。「分析機能について、Excel出力データだけでなく、BIツールももっと活用していきたいですね。BIツールを活用し、取得したデータをその場で確認することで、よりタイムリーで実態に即した議論ができると考えています。また、リストバンド型センサの機能で、作業員の暑さストレスデータも収集できます。最近は作業員の熱中症に対する規制も強くなっていますので、そうした労働安全に関する依頼にも活用できると考えています」
またAI活用についても、実際にAIの導入・活用を進めている東芝からの提案や連携に期待を寄せている。
「Meister Apps 現場作業見える化パッケージ」は、こうしてコンサルティング業務においても製造現場の作業環境改善のためのツールとして活用されている。
東芝は、これからも製造業として培ってきた長年の知見を活かし、現場データの有効活用を支援することで、現場改善の推進と、より安全で働きやすい現場づくりに貢献していく。
SOLUTION FOCUS
IoTやAIの技術を活用し、現場の多様な作業データを収集・見える化し、さらなる作業効率の改善と安全で働きやすい作業環境の構築を実現することで、現場主体の課題発見とそれらを解決する「現場力」の向上を支援するソリューションです。エッジデバイスやウェアラブルセンサなどから作業員の位置・動作・状態・発話の情報を収集し、時系列に統合・蓄積して、多彩な見える化テンプレートを使って表示することができます。必要なソフト、ハードをオールインワンパッケージとして提供しているため、即日導入・利用開始が可能です。
この記事の内容は2026年6月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
COMPANY PROFILE
会社名
株式会社日本能率協会コンサルティング
創業
1942年(設立 1980年4月1日)
所在地
東京都港区芝公園3-1-22 日本能率協会ビル7階
事業内容
コンサルティング事業

