コロナ禍により、多くの企業でテレワークの導入が急速に拡大し、「働く場所」の概念が劇的に変わりました。このような中、社員への研修や教育を行う現場も大きな影響を受け、その在り方を見直す必要に迫られています。3密回避の観点から、2020年は多くの企業で新入社員への集合研修の実施を、短縮、延期、あるいは中止と、何らかの変更を余儀なくされました。しかし、企業が成長していく上で人材育成は欠かせません。そこで今、注目を集めているのが、Web会議システムとeラーニングを使って、ライブ研修とオンデマンド配信を組み合わせる「ブレンディッドラーニング」です。ここでは、ニューノーマル時代に、より容易に効果的な社員研修・教育を実現するソリューション「Generalist/LM」をご紹介します。


コロナ禍で変わった集合研修の在り方


新型コロナウイルス感染症対策の一環として、多くの企業がテレワークの導入を加速させています。緊急事態宣言が解除された後も、テレワークはニューノーマル時代における新しい働き方のひとつとして、定着しつつあります。このような変化の中で、社員へ向けた研修や教育の在り方にも、大きな変化が起こっています。

これまで社員研修といえば、受講者を同じ場所に集めて行う講義形式の集合研修が大多数でしたが、コロナ禍では3密回避の観点から、一堂に会しての開催が難しくなりました。しかし、企業が安定的な成長と発展を続けるためには、人材の育成が欠かせません。このような状況の中、集合研修の代替として着目されたのが、リモートで教育が受けられる「eラーニング」の活用です。

そこで、東芝デジタルソリューションズは、コロナ禍にリモートでの研修を進めたい企業への緊急支援策として、2020年3月から6月末までの約4か月間、中堅・中小企業向けのeラーニングクラウドサービス「Generalist/LW」を無償で提供。さらに、この無償期間中に、新入社員や若手社員に向けた「社会人基礎力講座」や「テレワーク導入の基本講座」「テレワーク関連講座」などのコンテンツを、次々と用意したところ、120件を超えるお申し込みを受けるなどの大きな反響をいただきました。この反響とご利用いただいた声から、第2段として、8月から10月にかけて、内定者に向けた「社会人基礎力講座」や、Microsoft Officeの使い方を学ぶコンテンツなどを無償で提供。テレワークを推進する企業を積極的に支援しています。

このGeneralist/LWは、初期費用が無料で、使用料は利用頻度によってプランが選べる、オンラインで決済できることなどから、これを機会に本格的に導入されるお客さまが増えています。

集合研修の開催が難しくなり困っているのは、社員を抱える企業だけではありません。集合研修の機会が減少したことが影響し、そこで講義を行う講師の方々の仕事も激減しました。そこで当社は、講師の方々にも貢献したいと考え、Web会議システムに着目。テレワークの常態化が進むにつれて、企業では、Microsoft Teams(以下、Teams)やZoomなどのWeb会議システムが急速に普及しています。これを利用すれば、講師の方々もリモートから講義を行うことが可能となり、ライブ研修特有の受講者同士の一体感も醸成されます。

これまで、ブレンディッドラーニングといえば、集合教育の前後でeラーニングを使って事前の意識向上や事後の復習をし、学習の効果を高める「集合研修 × eラーニング」でした。しかし、テレワークが浸透してきたニューノーマル時代における、新しいブレンディッドラーニングは、集合研修をデジタル化した「オンライン研修 × eラーニング」が主流になると考えられます。


Generalist/LMが叶える新時代LMSに求められる5つの要素


さて、新しいブレンディッドラーニングを実現するLMSについて、詳しく説明します。LMSとは、受講者の成績や進捗、教材の振り分けなど、eラーニングによる学習を管理するシステムのことです。

  • LMS:Learning Management System

当社が提供する「Generalist/LM」は、LMSの機能を持った、東芝グループで働く約10万人の社員が利用することを想定して生まれたeラーニングシステムです。1,000名以上の社員を抱える企業を中心に、延べ7,400社に利用され、eラーニングの国内シェアNo.1を2009年から継続している実績があります。

  • 出典:株式会社 矢野経済研究所「eラーニング/映像教育ビジネスレポート 2018」

Generalist/LMは、今、LMSに求められているコミュニケーションツールとしての役割を備えた、より効率的で効果的な教育を実現。具体的には、新しい時代に適応した「モバイルデバイスの活用」「時間の有効活用」「コミュニケーションの活発化」「ライブ配信や動画の活用」「コンテンツ配信・共有」という5つの要素を満たす、充実した機能を備えています。

「モバイルデバイスの活用」においては、タブレット端末やスマートフォンでの受講やコンテンツの作成が、簡単にできることが大きな特長です。また、企業秘密を含むコンテンツはモバイルデバイスで受講できないようにするなど、コンテンツごとに知的財産(IP)の制御が可能です。また「時間の有効活用」に関しては、学習時間が3分前後の動画コンテンツを用意。移動時間や待ち時間、休憩時間などの隙間時間を使って、効率的に知識を習得するマイクロラーニングに対応できます。また、受講履歴を分析し、受講者の学習傾向を把握する仕組みを提供しています。

そして、「コミュニケーションの活性化」と「ライブ配信や動画の活用」への対応では、ソーシャルラーニングの仕組みを強化。TeamsやZoomなどのWeb会議システムとの連携により、講義を受講中に講師やほかの受講者とチャットができるため、集合研修のような質疑応答や情報共有が可能になります。また、講義を収録し、欠席者に向けた配信やeラーニングのコンテンツとして活用することも可能です。

Generalist/LMは、Teamsとの連携を強化しています。Office365の連携オプションを活用し、研修を管理するGeneralist/LMと、受講者との接点にTeamsを活用することで、研修の管理者は、研修の作成や受講の受け付け、アンケートの配布と回収、さらにはその集計や分析などが容易になります。また受講者は、Teamsから受講を申し込むと、自動的にOutlookに予定が登録されて当日の参加がしやすく、また受講とアンケートの回答もTeams上で行うため、快適な受講環境が整います。このように、受講管理業務の自動化を進めることで、コミュニケーション不足が懸念されるテレワークを推進するユーザーにとって、大変強力な研修ツールとして活用できるはずです(図1)。

さらには、動画配信サービスと連携し、ストリーミング配信や簡易的なライブ配信を手軽に行えるようにするなど、ユーザーのさらなる便利さを追求しています。

最後に、「コンテンツ配信・共有」では、クラウド上でコンテンツを共有する「コンテンツ・コミュニティ・クラウド(C3)」を用意しました。C3で共有されるコンテンツの中には、コンテンツベンダーが作成したものはもちろん、研修の講師が作成したコンテンツなども含まれます。Generalist/LMの利用者は、このC3に登録された中から、さまざまなコンテンツを受講することができます。

このほかにも、Generalist/LMは、「オンライン研修 × eラーニング」という新たなブレンディッドラーニングを支援する仕組みとして、タレントマネジメントシステムなどの人事情報とのセキュアな連携をはじめ、コンテンツの文字を音声に変換する、電子マニュアルを作成する、360度カメラで撮影した写真や動画をVRコンテンツ化するといったコンテンツを簡単に作成するツールなど、ユーザーにとってより利便性が高まる機能をオプションで提供しています。

  • VR:Virtual Reality(仮想現実)

みんなが活用できる研修・教育コンテンツのプラットフォーマーに


私たちは、今回ご紹介したLMSの機能をさらに充実させていくとともに、コンテンツの制作サービスや販売サービスなど、データサービスの拡充にも取り組んでいます。その先にあるのは、Generalist/LMのユーザー誰もが共通で使える、さまざまな研修と教育のコンテンツが登録されたプラットフォームの構築です。この仕組みの核となるのが、前述した「コンテンツ・コミュニティ・クラウド(C3)」。C3に優良なコンテンツが集まって、常に旬なコンテンツを提供できるように、コンテンツベンダー、さらには研修の講師の方々との連携を積極的に進めています(図2)。

東芝デジタルソリューションズは、「Generalist/LM」によるeラーニングやブレンディッドラーニング、そして受講履歴の管理にとどまらず、企業の成長に欠かせない人材育成をトータルでサポートできる人財管理ソリューション「Generalist」として、資格と業務経験の管理や、スキルマップによる社員のスキルの見える化、さらには社員の働き方の見える化、人事・給与の管理など、幅広くソリューションを展開しています。人材育成に課題を抱えている企業の方は、ぜひ、ご相談ください。

  • この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2020年12月現在のものです。

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