オープンコミュニティで拡がる モノやヒトが繋がる新たな世界(第1回)

イノベーション、テクノロジー

2021年5月21日

東芝と東芝デジタルソリューションズが発起人となり2020年3月2日に設立された「ifLinkオープンコミュニティ」。現在120以上の企業や団体が参加し、IoT機器やWebサービスを組み合わせ誰でも簡単にIoTサービスをつくりあげることができる共創型IoTプラットフォーム「ifLink」を活用して、アイデア共創、異業種コラボレーション、共同商品開発、オープンマーケティングなどさまざまな活動を行っている。設立して1年となるifLinkオープンコミュニティについて、入会の動機やコミュニティでの活動内容などを伺うべく、ifLinkオープンコミュニティで活躍する4人のメンバーを招き、ifLinkオープンコミュニティ理事 コミュニティディレクターの千葉恭平、同理事 ifLinkディレクターの吉本武弘 両名のモデレートのもと、座談会を開催した。その内容を3回に分けてお届けする。


ifLinkオープンコミュニティ参加メンバーの横顔

千葉:
今回は、ifLinkオープンコミュニティで大切にされているマインドセットである「Give & Give」を体現して惜しみなく自ら、知見を提供し、志高く熱意を持って取り組んでコミュニティに貢献して下さっている4名の皆さんに参加いただき、お話を伺っていきます。まずは皆さんから自己紹介をお願いします。

安保:
デンソーの安保です。デンソーでは25年以上カーナビの開発に従事したのち、最近10年ぐらいはカーナビと連携するスマートフォン(以下、スマホ)アプリ「NaviCon」の開発に携わってきました。NaviConはスマホで探した地点をワンタッチでカーナビの目的地に設定できるというアプリです。他社のカーナビでも使えるよう通信仕様をオープン化しています。併せて、温泉アプリなどの約500種のスポット検索アプリとも連携しています。カーナビをご利用の方はぜひNaviConをインストールしてみて下さい。

千葉:
安保さんにはifLinkオープンコミュニティの立ち上げ前から関わっていただいており、ifLinkのレジェンドの域に達している方だと思っています。

山田:
リコーの山田です。社内では、RICOH Digital Services BU デジタルサービス開発本部 IoTソリューション開発センターの所長を務めています。センターには約90名の開発者が所属し、さまざまな開発に取り組んでいます。リコーというとコピー機というイメージが強いと思いますが、プロジェクターや電子ホワイトボードなど、オフィスの中にあるさまざまなデバイスを作ってきました。昨今、それらのエッジデバイスとクラウドサービスをセットで機能提供するケースが非常に増えてきたことから、これらをワンセットにしたサービス開発を手がけています。企画をする際に、机上だといいアイデアが生まれないので、外に出て活動するようにしているのですが、その一環として地方の大学との共同研究で地方での困りごとを一緒に解決する活動なども行っています。

千葉:
山田さんはifLinkのアイデア発想法で生み出されたアイデアを、すぐに実際に形にし、それを地方創生の活動や大学生との共同研究の場で実践されています。

梅原:
京セラの梅原です。本業ではIoTデバイスのモジュール開発をしており、主に標準品を使ったカスタム案件の開発にプロジェクトマネジャーとして従事しています。お客様の要望を自社のアセットを使ってどのように解決していくかを考え、その組み立てをするのが仕事です。その関係で、外に向いてたくさんの繋がりを作って引き出しを増やし、お客様に最適なサービスを提供していけたらということで、ifLinkオープンコミュニティに参加させていただいています。

千葉:
梅原さんは、「ifLink Open Community 2021 Winter Festival」(2021年2~3月に開催)で行われたIoTレシピコンテストで見事受賞されました。真のifLinkレシピクリエイターです。

行武:
インサイトテックの行武です。当社では「不満買取センター」という、日常にある人々の不満を買い取り、それを企業に提供して改善要望に繋げていただくサービスを提供しています。また、自然言語処理技術を活用したサービスも提供しています。私自身が元々半導体メーカーでIoT関連製品の開発のサポートを担当していたこともあり、以前から、開発の現場で生活者の声やニーズを活かせないかと思っていたのですが、ifLinkオープンコミュニティのことを知って「これだ」と感じました。ユーザーの声が製品に反映されるような仕組みづくりができたらと思い、参加させていただいております。

千葉:
コミュニティでは、ifLinkで取り組みたいテーマや実現への想いを持つ会員の発案によりメンバーを集めて共創・開発を行う「部活」を行っているのですが、行武さんは「秒速!社会の不満不便発見トレーニング部」の部長として活躍なさっています。また、IoTレシピコンテストで受賞されたifLinkレシピクリエイターでもあります。


ifLinkオープンコミュニティとは何か

吉本:
ここからifLinkオープンコミュニティについてディスカッションをしていきたいと思います。まず、このコミュニティで私たちが何をしようとしているのかについて簡単にご説明します。
GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が席巻したスマホを活用したデジタル世界での競争の時代は終わり、IoTにより私たちの身近にあるモノがタッチポイントとなって便利なサービスが使えるようになる「サイバー・フィジカル」の世界での競争の時代が始まりつつあります。このサイバー・フィジカルの世界を実現するには、IoTを誰もが簡単に使えるようにし、ユーザー起点でコトが起きる場を作ることが重要です。多様な企業・人が集まってきて新しい発想を生み、それを素早く形にしたり、小さな企業でも事業が作れるようになることや、そうしたマインドセット、カルチャーを作っていくことが必要です。そのようなことができる場が、ifLinkオープンコミュニティなのです。

株式会社デンソー 情報通信事業部 情報通信開発部 事業開発4室 上級CX 安保正敏氏


ifLinkオープンコミュニティに参加した動機

千葉:
皆さんがifLinkオープンコミュニティに参加された理由についてお聞かせ下さい。

安保:
さきほどお話ししたNaviConは現在約500種のアプリケーションと連携していますが、その連携のために、これまでは一社一社に「一緒にこんなことをしませんか」と説明して回る活動をしてきました。今後、クルマが通信機能を装備しコネクテッドカー化されると、さらに多彩な機能が提供され、サービスの組み合わせも無限大に拡がりますが、そうなると一社一社に声をかけていくような活動では追いつきません。クルマとサービスを繋ぐ標準的なプラットフォームが必要だと思っていた時に、ifLinkオープンコミュニティを知りました。オープンコミュニティで色々な人と知り合える場があり、ifLinkという実際に繋ぐ手段もある。参加すれば一気に仲間を作って共創ができるという期待感から、参加を決めました。

山田:
リコーは大量生産品の開発に長けた会社ですが、ロングテールのニーズは大量生産品では拾えません。お客様ごとに細かくカスタマイズしたり、フィットするようにアレンジしようとすると、個別の追加開発が必要になります。このようなマスカスタマイゼーションのニーズは昔からありましたが、特にソフトウェア領域によるカスタマイズのニーズが近年益々増加していて、カスタマイズやアレンジにもスピードが求められるようになっています。そのための取り組みの一つとして、お客様の要望を受けてから2日でプロトタイピングに持っていく「48時間プロト」というものがあるのですが、これを実現するにはどのような仕組みや仕掛けが必要なのかを皆で真剣に考えてきました。そのような中で知ったのが、ifLinkです。IF(条件)-THEN(アクション)を設定して繋ぐだけでプロトタイプができるというシンプルさにも共感しました。メーカーがカスタマイズするという選択肢だけでなく、使う人(最終顧客)がカスタマイズできる。つまりifLinkのコンセプトであるIoTの民主化により「究極のロングテール対応」が実現できると考え、我々が目指す究極の答えに近いところにあるサービスだと思い、コミュニティに参加しました。

株式会社リコー RICOH Digital Services BU デジタルサービス開発本部  IoTソリューション開発センター 所長 山田哲氏

梅原:
参加の動機は、一社だけで課題を解決することに限界を感じている中でのifLinkオープンコミュニティのコンセプトへの賛同、共感です。
例えば、IoTのサービスを考える際、京セラの人間であれば、最適かどうかはともかく、まずは京セラのアセットを使って解決しようとします。製造業は大量生産から少量多品種に変わり、今後は個別最適という流れになる中で、本当に大切にすべきはお客様の要望に応えることであって、京セラの持つアセットを使ってもらおうとすることではありません。ifLinkオープンコミュニティでは、皆が得意分野を持ち寄って課題を解決していく。また、さまざまな企業が参加しているので、単純にデータを取得するだけでなく、データの見せ方やマネタイズの方法なども含めて解決していくことができる。顧客に最適化されたサービスを構築していく中で自社のアセットが価値を最大にして、課題解決に貢献できることが目指せる活動だと思っています。このようなコミュニティの存在意義・価値に強く共感したことが参加の動機となりました。

行武:
インサイトテックが持つ2,000万の不満の声には、特定の商品に対することだけでなく、生活の中でふと気づいたアイデアや改善要求などが含まれています。しかし、このようなデータは、現在のところ一部の会社でしか活用できていません。例えば、製造業など、より幅広いお客様に提供できれば、データの価値がもっと出ると思っていました。また不満データを活用することで「課題発見のコモディティ化」のようなことが実現できるのではと考えていたのですが、そんな時にifLinkを知り、IF-THENの前のところに不満データという装置があれば一気通貫で課題解決に繋がるのではと思っています。

【第2回はこちら】
【最終回はこちら】


執筆:中村 仁美
撮影:鎌田 健志


関連情報

ifLinkオープンコミュニティ(一般社団法人ifLinkオープンコミュニティ)
自分でつくれるIoTプラットフォーム ifLink 

 


  • この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2021年5月現在のものです。

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