デジタルで支える人と社会の新たなあり方
デジタル技術の進化が加速する現代、官公庁・自治体の業務を支えるシステムの構築に向けた提案活動を通して、さまざまな課題に挑む川井裕哉。クラウド基盤からアプリケーションまでの幅広い技術領域に対応し、利用者にとって使いやすいシステムを提案している。生成AIをはじめとした先進の技術に、積極的に取り組む姿が印象的だ。リーダーとしての自覚を持ち、チームのメンバーと共に課題解決に取り組んできた川井にとっての、“デジタル”について語ってもらった。
新たな価値をもたらす先進技術を貪欲に追求する
私は、介護保険や障害福祉の分野に関する官公庁・自治体向けシステムを中心に、新規案件や既存案件の提案活動や、要件定義、設計に携わっています。また、クラウド基盤からアプリケーションまで、システム構築に必要な幅広い技術領域を担当しています。
官公庁・自治体の現場では、業務を担当する職員が定期的にローテーションをすることがあります。そのため、初めてシステムに触れる職員が操作にすぐに慣れることが、スムーズな業務の遂行に欠かせません。そこで、操作の説明やデモンストレーションを行う研修会を定期的に開催しています。この研修会に参加される職員の方々から得られるフィードバックは大変貴重です。私たちは利用者視点の声も生かして、より多くの人にとって使いやすいシステムへと改善する取り組みを、継続的に進めています。
また仕事をするにあたり、生成AIをはじめとした先進技術の活用を積極的に推進しています。きっかけは、社内で開催されているAI技術者研修に参加したことです。この研修で取り組む課題は、参加者が自由に設定できるものでした。そこで私は、お客さまの業務の改善につながるような新しい提案に結びつけたい一心で、課題を決めました。課題の選定にあたり、注目した点が2つあります。1つ目は、私が担当している社会福祉系システムで取り扱う、全国の都道府県や市区町村の職員、さらには国民に提供されている公的データを利用することです。そして2つ目は、さまざまな事項を考慮して計算する必要があるために複雑となっている、介護保険料の算出についてです。この算出に、社会福祉系システムで取り扱っているさまざまな公的データやAIを活用する余地がないかを検討してみました。そのほかにも、官公庁・自治体での施策検討を支援できるようなデータ分析にAIを活用できないかなど、試行錯誤をしながら取り組みました。私はこの研修を通して、AIという技術に、新たな視点や気づきを得られるところや、アイデアを深掘りできるところにも、高い有効性を感じました。現在は、この研修で得た知識と経験を生かし、生成AIを、社内での業務効率化や官公庁・自治体の業務で活用されるシステムへ適用するための活動を続けています。
自分が設計したシステムが実際に稼働し、利用する人の業務を支えていることを実感したときや、先進の技術を取り入れて業務が改善できたときには、大きなやりがいを感じます。利用する人の役に立つ瞬間を迎えることができることは、この仕事の醍醐味だと思います。
人が楽になる仕組みをデジタルで実現する
デジタルは、いまや私たちの日常に欠かせないインフラです。スマートフォンやタブレット端末を介して多様なサービスが利用できる世の中で、デジタルの浸透はますます進んでいます。ビジネスや日常生活において、デジタルを効果的に活用することが、これからより一層求められていくと思います。
デジタルの進化とともに、人と人とのつながりもますます大切になっていると感じます。私は現在、官公庁・自治体における複数のシステム案件の技術担当をしながら、提案業務のリーダーとしてチーム全体の進捗を管理しています。各メンバーの能力に応じたタスクの振り分けやスケジュールの管理によりプロジェクトの進行を支えながら、メンバーが働きやすい環境づくりにも注力しています。例えば、業務フローの整備や最新のツールの活用推進、さらにはコミュニケーションが取りやすい雰囲気の醸成などです。自分に割り振られた業務をこなせばよかったころと異なり、全体を把握しけん引することは簡単ではありません。また一つ新しい能力を身に付け、深め、そしてメンバーとの関係を築きながら、自身の成長を楽しんでいるところです。
一方で、何事も自分一人で進めることには、限界があると感じています。以前、目にした「私は助けてもらわないと、生きていけない自信がある」という意味の言葉が、いまでも強く印象に残っています。チームをまとめるリーダーとして、あるいは一人の人間として壁に直面したときに、この言葉を思い出して、その意味を強く感じています。日々、周囲の助けを得ながら業務に取り組んでいることを改めて自覚し、チーム全員の力を合わせることの大切さを実感しています。
先進技術への対応にも、チームの力が欠かせません。例えば、AIやブロックチェーン、量子コンピューターといった技術は、これからのデジタル社会をさらに加速させていくと思います。これらの技術は、大量のデータを高速で処理したり業務の自動化を進めたりして、社会全体の効率化や新しい価値の創造に大きく貢献するでしょう。そのようなデジタルと上手に付き合い、私は「誰かが“楽をできるように”する」という考え方を大切に持ちたいと思っています。便利な仕組みがあると、その仕組みを利用する人たちの生産性が向上し、多くの人が楽になり、さまざまなことがより良い方向に進むと思うからです。多くの人の楽を増やせるように、私はこれからも新しい技術を積極的に学んで知識を深めながら活動し、社会に貢献していきたいです。
大切なことば
過去や、社会の流れ、他人の思考や行動など、自分では変えられないことに考えを巡らせ、変えようと行動しても、自分が苦しくなるだけだと思います。変えることのできない「定数」に力を注ぐことと同じです。それよりも、思考や行動を未来に向けて進めるために、変えることのできる「変数」に意識を向けたほうがよいことに気づきました。この言葉と出合ってからは、仕事も私生活も前向きに過ごせているほど、自分に変化をもたらしてくれた大切な言葉です。
川井 裕哉(KAWAI Yuuya)
東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
官公技術第一部 技術第二担当
入社以来、官公庁・自治体の社会福祉系システムの案件を担当。また、提案業務でのリーダーとしてチームをけん引している。先進技術に積極的に取り込みながら、チームの活性化、そしてお客さまへの新しい価値の提供に向けた提案活動を、精力的に行っている。
執筆:井上 猛雄
- この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2025年3月現在のものです。
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