デジタルの未来へ挑戦し先駆ける
進化の著しいクラウド技術を中心とした先進技術のトップランナーとして、開発現場で日々研鑽(けんさん)を積んでいる伊藤佳代。「Japan AWS Jr. Champions」に選ばれた実力派だ。未知の新しい分野へも臆せず行動を起こし、挑戦してみる気概を持っている。さまざまなことに積極的に挑戦し続ける伊藤にとっての、“デジタル”について語ってもらった。
日々学び、日々行動し、自分も周りも高めていく
私は主にAWS(Amazon Web Services)などのクラウドサービスを用いたシステム基盤の構築や運用設計を担当しています。システム基盤の構築では、何通りもある解決策の中から、要件やコスト、さらにはベストプラクティスなどを勘案しながら、最適となる構成を検討し、実現していくことが大切です。AWSなどのクラウドサービスは、新しい機能のリリースや既存機能の改善が非常に早いサイクルで行われ、日進月歩で進化しています。そのため、常日頃から最新の情報のキャッチアップが欠かせません。把握した最新の技術も活用しつつ、いかに過不足のないベストな構成にできるのか。業務にいつでも生かせるように、さまざまな条件で構成を考えることを習慣化しています。
このような目の前の業務に必要な知識にとどまらず、鮮度の高い先進技術をより多く身に付けたい想いがあります。そこで、国内外にあふれる最新の技術情報に積極的に触れながら、さまざまな技術を学んでいます。また、自分の知見を積み重ねるだけではなく、個人の知識をみんなで共有するための場を設ける活動も行っています。これは新しい技術や知識だけの共有の場ではありません。自分では当たり前だと思っていた知識がほかの方から有用だと喜ばれ、またその逆も起こっています。参加者が互いの知識を交換することで新たな気づきを得たり、理解を深めたりしています。吸収した知識を実際の業務で生かし、そこで感じたことを仲間に還元する。この活動を繰り返すことで、チーム全体のスキルアップを図っていきたいと考えています。
AWS を積極的に学び、アクションを起こし、周囲に影響を与えている社会人3年目までの若手技術者を選出する「Japan AWS Jr. Champions」という認定プログラムがあります。このプログラムに挑戦し、日々積み重ねてきた成果を試しました。第一期の選考で味わった悔しい思いを胸に挑戦した第二期で、見事、Jr. Championsの一員として認められました。選出の発表会で登壇の機会をいただき、自分の伝え方や伝えたいポイントなどを聞き手の立場で考えることの重要性を改めて感じ、またほかの登壇者のプレゼン術を学ぶなど、とても刺激を受けたことは忘れません。最近は、選出された技術者に限定されたコミュニティイベントに参加し、同士の方々と交流したり、特別セミナーやワークショップを受講したりするなど、さまざまな活動を通して知識や親睦を深めています。この機会を、自身の成長に向けて最大限に生かしていきたいと考えています。
Jr. Championsを選出する評価項目の中に、“Challenge”、“Influence”、“Output”があります。実際にプログラムに参加したことで、最新の技術情報をキャッチアップ(インプット)することはもちろん、これまで以上にアウトプットを意識するようになりました。例えば、ブログの執筆を始めたり、ユーザーコミュニティーや勉強会で登壇したりするなど、自身の行動が変わってきたことを感じています。次世代のJr. Championsに向けて、LT(Lightning Talk:ライトニングトーク)※を活用した発表の場や現役のJr. Championsとの交流の場を提供する企画など、後輩たちのJr. Championsへの挑戦を後押しするような新しい活動も考えているところです。
※ライトニングトーク:3分から5分ほどの短い時間で行われるプレゼンテーション。
技術の枠を超えた信頼されるエンジニアへ
仕事を進めるうえで特に意識していることが、2つあります。1つ目は、「できません」とは極力言わないこと、そして2つ目は、質問には素早く回答することです。私は日々の業務において、技術的な問い合わせをよく受けます。それは時として、複雑で難しい質問や、自身の業務担当範囲を超えるものもありますが、頼りにしてもらえたことはうれしいことです。最初から「できない」とは考えずに、何らかの解決方法を探る。質問者の助けにも、自身の知識向上にもつながるはずです。例えば、私が専門とするインフラの階層(レイヤー)より上位のアプリケーションレイヤーに関する質問にも、できる限り調べて答えます。
ただし、回答には迅速さを心がけています。素早く回答することで、質問者のその後の検討時間を確保したり、コミュニケーションを取ってさらなる解決策に導いたりすること、何より相手に安心感や信頼感を与えられるのではないかと思います。使える時間は限られてはいますが、できる限り時間を捻出し、問い合わせ元を支援しています。このように、自身が持つ知識と粘り強さを生かし、さまざまな問い合わせに真摯に向き合い回答してきたことが、周囲の人たちに信頼されるきっかけになっていると思います。支援が終わった後も、同じ人からよく相談してもらえるようになりました。この姿勢を大切にしながら、これからも業務に取り組んでいきたいと思います。
SNSやリモートワーク、生成AI、クラウドなどのサービスや技術の登場により、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを介してあらゆることができる社会になってきています。今後もデジタルを活用した、私たちの生活を支援してくれるサービスが次々と生み出され、より可能性に満ちた社会になっていくものと考えられます。その一方で、忘れてはいけないのが、デジタル技術は脅威にもなりえるものだということです。例えば、生成AIを利用する際、ハルシネーションという事実に基づかない誤った情報を生成する現象が発生することがあります。この誤った情報に基づいて物事が判断されると、社会的な混乱や経済的な損失を引き起こす危険性があります。また、生成AIには、入力したデータが外部に流出したり、他人の著作権を侵害したりするリスクがあるともいわれています。そのため、デジタル技術を扱う私たち一人ひとりが持つデジタルリテラシーが重要になるのです。知識を持つ人たちが、多くの人々の共通認識となるように正しい情報を発信していくことも、これから社会全体でより一層デジタルを上手く活用していくために、欠かせないことだと感じています。
この先も新しい技術が次々と誕生することが予想されます。それらに追随できるスピード感を持って、さまざまな活動を続けたいです。業務に関わるところで考えると、既に社会の中で不可欠な存在となっているクラウドが、これまでより自然に私たちの生活に浸透している時代がくるでしょう。多くの人が、クラウドの基本的な知識を持ち、活用している姿も、十分に想像できます。私は現在、ITインフラレイヤーを中心に業務を行っています。これからは、技術の枠を広げて、アプリケーションレイヤーのような階層を超えた、あるいは階層をまたがった技術領域にも対応できる力を身に付けたいと考えています。幅広い分野で技術やサービスの開発に関わり活躍するフルスタックエンジニアを目指して多くの挑戦を続け、誰からも頼られる存在になりたいと思います。
大切なことば
行動しなければ、何も始まりません。たとえ上手くいかなかったとしても、少しずつ修正しながら動いていく。自分がやりたいと思ったことは、実際に表現したり動いたりして、具体的な形でアウトプットしていくことが大切だと考えています。学生時代は機械工学を専攻し、画像処理に関するプログラミングに触れていました。そのため、本格的に情報系の分野を学び始めたのは、会社に入ってからのことです。新しい分野への挑戦でしたが、「とりあえずやってみる」という気持ちでさまざまな行動を起こし、一つずつ着実に自分の中に吸収しています。今では多くの人を支援できるようになりました。
伊藤 佳代(ITO Kayo)
東芝デジタルソリューションズ株式会社
デジタルエンジニアリングセンター
マネージドサービス第一部
サイトリライアビリティエンジニアリング第三担当
入社以来、インフラエンジニアとして主にAWS(Amazon Web Services)を用いたシステム基盤の設計・構築を担当。東芝デジタルソリューションズが提供するクラウドマネージドサービスの開発や、案件を受注する前段階での技術的な支援、統合監視基盤の活用支援などを行っている。Japan AWS Jr. Championsに選出されるほどの実力者。若手向け教育やインターンシップの対応なども積極的に行っている。
執筆:井上 猛雄
- この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2024年12月現在のものです。
- この記事に記載されている社名および商品名は、それぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
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