デジタルと人が共に創る未来

デジタル化が急速に進む現代社会において、私たちの生活やビジネスは、日々変化し続けている。そんな中、デジタル技術を駆使しながら企業の業務効率化や課題解決に取り組む是此田玲。エンジニアリングとセールスという2つの視点から、お客さまに対して、最適なソリューションの提案や、新しいビジネスを創出する支援を行っている。さまざまな人たちと真摯に向き合うことで厚い信頼関係を築いてきた是此田にとっての、“デジタル”について語ってもらった。


システムを通じて、お客さまのビジネスを支える


私はシステムエンジニアとして、大手の損保会社に対し、コールセンター業務の最適化を支援しています。コールセンターは、24時間365日稼働する業務です。そのため、業務に影響を与えないように、いかに効率よくシステムを改修できるかが重要になります。また、コールセンターのシステムには、日々変わる社会環境に適応しながら、継続して業務を支えていくことが求められます。改善に終わりはありません。お客さまの課題や要望の意図を的確に把握し、ニーズに応えること、そして業務全体を最適に行えることの両方を叶える方法を模索し、システムの改善提案を行っています。

近年、急な豪雨など天候の変化に伴い、自動車の事故や故障に関するコール数が急増し、オペレーターによる応答が追い付かなくなる事態が発生しています。これに対応するため、AIを活用してコール数を予測し、オペレーターを最適に配置する実証実験を行いました。また、変化する環境への柔軟な対応や、システムの開発や運用にかかるコストの削減を求める声もあります。これに対しては、お客さまが自ら開発の一部を進められるように、ローコードやノーコードに関連したシステムの内製化を支援するツールなども提案しています。

システムの最適化の検討にあたっては、業界固有の事情を考慮する必要があります。例えば、コールセンターにおいては、人材不足などを背景に、業務の自動化や効率化を図りたいという要望があります。そこでAIなどの活用による自動化の検討が進んでいますが、一方で、事故や故障といった緊急性の高いコールに対しては、完全な自動化が難しいともいわれています。交通事故が発生したとき当事者は動揺していることが多いため、オペレーターが対応することで、安心感を与え、当事者を落ち着かせることができるからです。自動化されたシステムではなく、人が対応することで、かえって短時間で対応を終えられるケースも少なくありません。

このような業務上のさまざまな事情を理解するためには、お客さまとの会話が非常に重要になります。私は、生じている課題に対してお客さまが「どう思っているのか」「それはなぜか」「大切にしている価値観は何か」など、本質を探りながら会話するように心がけています。このような会話の積み重ねにより、今ではお客さまから本音や困りごとを聞かせてもらえるようになりました。少し前に、新規ビジネスの創出に向けた相談を受け、共創による新しい取り組みも進めているところです。


人とつながりデジタルと共存する


さまざまな提案やプロジェクトを進めるにあたり、「人とのつながり」は欠かせません。仕事の面では、ほかの部門のメンバーや外部の方々など、多くの人たちの協力を得ることで、相乗効果が生まれ、より円滑に進められると考え、コミュニケーションを重視しています。例えば、外部のパートナーと協力して、コールセンターの改善提案をしたときのことです。現場のユーザー部門を含む多方面の関係者と会話する機会があり、最前線での課題やニーズなど率直な意見を直接聞くことができました。その結果、パートナーと共によりよい提案につなげられ、またお客さまとの信頼関係を築けたとても心に残る出来事となりました。

私は人と接することが好きです。だからこそ、人とのつながりは、仕事でのシーンだけでなく、プライベートでも同じように大切にしています。私は現在、個人的に健康事業に取り組んでいます。この活動は、訪れた方から健康に関する悩みを伺い、体質改善に向けたプログラムを提案するというものです。これは過去に、健康に向き合い心身ともに良い変化を感じて感動した、私自身の経験を基に始めました。同じように悩みを持つ方々に対し、少しでも人生を好転させるお手伝いができたらと思っています。健康に関する知識はさまざまです。新しい情報が、次々と出てきます。広い視野を持って、多くのことを学びながら成長し、自身の健康、そして周りの人たちの健康につなげていきたいと思います。また、この活動に関連してオンラインでの読書会を開催しています。参加した人たちと、本から得た学びや感想を共有し、意見を交換して理解や洞察を深めるイベントです。自分の学びが誰かの役に立ち、相手の学びが自分の役に立つことを、肌で感じられてうれしくなります。人とのコミュニケーションを通して、新たな気づきや発見を得ることを目指し、取り組んでいます。

わからないことがあっても、最近は、インターネットやSNSの発展に伴い豊富な情報が容易に手に入れられ、私たちはより多くの知識を獲得できるようになりました。朝、歯磨きをしながら、音声配信アプリを活用してさまざまな分野の人の話を聴くことが日課になっている私は、デジタルがもたらす生活の豊かさを日々感じています。すでに切っても切れない関係になっていると言っても過言ではないほど、デジタルは人々の身近に存在します。私たちに多くのメリットをもたらしてくれるデジタルですが、その一方で、人が深く考える行動が減っていることを感じ、私は気がかりです。情報があふれる世の中で、正しいことや自分に必要なことを見極めるためには、考える力や判断する力が重要となってきます。私は、デジタルに「依存」するのではなく、デジタルとアナログをバランス良く「共存」させる意識を持ち続けていきたいと思います。

デジタルは、これからも社会の要請に応じて変化・変容を続けていくと思います。その過程で、デジタルは私たちの生活をさらに豊かにし、社会課題に対して大いに力を発揮してくれるものと考えています。そのような時代のなかで、私はデジタルを効果的に活用しながら、人と人とが支え合える豊かな社会を実現したいです。

大切なことば

「あたえる人があたえられる」
これは、2008年にアメリカで出版された“The Go-Giver”という書籍の和文タイトルです。この本をきっかけに、私の価値観は大きく変わりました。いま私たちが豊かな暮らしを享受できているのは、自分の富よりも、世の中をより良くするところに情熱を注いでくれた人たちがいたからだと考えるようになったのです。世の中のために物事を成し遂げられる人は、「究極のGiver」なのだと感じました。私もGiverの精神を持ちながら、日々行動していきたいと思います。これからも心にとどめておきたい、大切な言葉です。

是此田 玲(KOREKODA Rei)

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
保険ソリューション技術部 技術第二担当


入社以来、システムエンジニアとして、CRMソリューションを担当。技術的な観点から改善提案を行いながら、お客さまの課題解決に向けた取り組みを広く支援している。人とのつながりを大切にし、プライベートでの活動も精力的に行っている。

執筆:井上 猛雄

  • この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2024年9月現在のものです。

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